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多様性に富み、個性豊かな日本各地のクラフトビールを“特別”から“当たり前”へ

日本のクラフトビールを通じて自由な価値観を提案する専門家

松原真人

松原真人 まつばらまこと
松原真人 まつばらまこと

#chapter1

飲食店やヘアサロン、ギャラリーで。新たな顧客獲得のためにクラフトビールを

 日本各地のクラフトビールをセレクトして販売している「リベルタス」の代表・松原真人さん。神奈川県相模原市、小田急江ノ島線「東林間駅」の西口近くに実店舗の「BILLY'S BEER STORE(ビリーズ・ビア・ストア)」を構え、訪れた人に味の特長や醸造家の思いを伝えています。

 「国内におけるクラフトビールの醸造所はこの5年で2倍以上に増え、2024年時点で約800カ所あるといわれます。定番品に加えて四季折々の限定品もあり、中には週替わりで新作を発表する醸造所もあります。選択肢が多いため、飲食店の皆さんの『料理に合わなかったらどうしよう』『仕入れが24本単位なのでリスクが大きい』といった懸念を払しょくするのが私の役割です」

 松原さんの店では常時70種類以上がそろい、いずれも1本から購入できるためテイスティングにも便利。醸造所のロケーションや、ビールが生まれたストーリーも聞くことができます。

 「バックグラウンドを知ることで口にした時の喜びや高揚感も変わりますよね。また、ボトルや缶だけでなく樽生を置きたい店には、私が家庭用冷蔵庫を活用した提供方法などを提案します。果物のようなフレッシュな香り、ずっしりと濃厚な味わい、軽やかな飲み口など、多様性に富んだ品を低コストで導入し、他店と差別化できます」

 ビールの販売数量が減少する中で、クラフトビールのファンは高感度かつ好奇心旺盛で良質な生活様式を好む傾向にあり、マーケティングの対象として貴重な存在とか。

 「ヘアサロンやギャラリーとコラボレートしているケースもあります。ビールを核にした新規顧客の獲得などに、ぜひご活用ください」

#chapter2

アパレル業界で商品企画などに従事し、クラフトビールと出合ったのを機に創業

 松原さんは大学卒業後、先輩が勤めていたアパレル企業に就職。婦人服の百貨店営業として店舗運営の基礎を学び、店頭の商品構成、販売員の採用、売り上げや在庫管理などの業務に携わります。

 「幼い頃からギターに触れてバンド活動にも打ち込んできたので、本音では音響設備のメーカーに入りたかったのですが、ファッション業界と相性が良かったのかトータルで20年ほど在籍しました。商品企画も経験し、商品ラインの立案、原価計算、素材調達を任されました。次に世界で初めてジーンズを開発したメーカーの日本法人に転職し、主に百貨店営業を担当して店舗運営のスキルを磨きました」

 トレンドをつかんで商品展開するノウハウを蓄える中、居酒屋の店主がベルギービールに魅せられ、店で扱うようになったのがきっかけでクラフトビールと出合います。その店に集まる地元仲間の一人がビールの輸送に用いる使い捨てのプラスチック樽を開発、製造、販売する会社を興し、松原さんも参画します。

 「しかしコロナ禍になり、私自身も病気で生死の境をさまようほど重篤になりました。おかげさまで回復しましたが、今後について考えた時、大昔に友人に言われた『お前には自由が足りない』との言葉も忘れられず、人生の集大成にしようと『リベルタス』を立ち上げました。店名はラテン語で『自由』を意味します」

 店舗とオフィスは幼少期を過ごした場所にオープンし、昔からの友人が集い、新たに知り合った仲間とも親交を深める場所にしています。

松原真人 まつばらまこと

#chapter3

気軽に足を運べるよう店頭では軽食や生ビール、Tシャツなどのアパレルも展開

 松原さんにとって仕事の醍醐味は、クラフトビールを介して人々がつながり、純粋に楽しむ姿を見ることだとか。

 「国内のビール市場においてクラフトが占める割合は2%未満です。酒類の消費者自体が減りつつある中にあっても、果敢にチャレンジが続けられています。私は本格参入して数年ほどですが、この短期間でも日本のクラフトビールの質は相当な勢いでレベルアップしています。せっかくの盛り上がりを守りたいですね」

 店で扱う中で売れ筋は、地元であれば横浜のREVO BREWING(レボ・ブルーイング)の味と価格のバランスが魅力の「ONE」。茅ヶ崎のBarbaric WORKS(バーバリックワークス)が手掛けるシリーズも、みずみずしい口当たりで注目しているそう。

 どの銘柄も個性派ぞろいで、パッケージデザインから強いこだわりを感じるとのこと。ガラスケースや部屋にボトルや缶を置くだけでも画になると言います。

 「いずれはクラフトビールという区分が無くなり、おいしいビールとして当たり前になるよう願っています。当店では多くの人にご賞味いただき、クラフトビールを自宅で楽しむライフスタイルを定着させていきたいですね。ホットドッグなどの軽食も用意し、入れ替わりで生ビールを提供したり、イベントに出店したり接点づくりをしています」

 店内では大好きなアメリカンカジュアルを基調としたオリジナルのスウェットやTシャツ、キャップにトートバッグ、ペットの洋服なども展開。気軽に足を運んでほしいと呼び掛けます。

(取材年月:2025年2月)

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専門家プロフィール

松原真人

日本のクラフトビールを通じて自由な価値観を提案する専門家

松原真人プロ

小売業

株式会社リベルタス

裕福で熱心なファンが多いことで知られる国産クラフトビールを、飲食店や小売店が導入する際に支援。常時70種類以上をそろえる自身の店舗では業者にも1本単位で販売し、新規顧客開拓のヒントを提供している。

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