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豊富な実務経験を基に、複雑化する人事労務の課題に取り組む

人事労務の経験と知識を生かし中小企業を支援する人事の専門家

太田勝巳

太田勝巳 おおたかつみ

#chapter1

41年間、大手メーカーで人事労務に携わった経験と知識が強み

 「従業員をサポートする人事は、近年重要性を増していて、問題解決には言葉づかいや話の運び方、相手の事情を理解した繊細な対応を必要とする仕事です」と語るのは、「太田社会保険労務士事務所」の太田勝巳さん。

 大手電子部品メーカーの人事労務に定年まで従事した後、社会保険労務士の資格を生かし、労務手続き代行や人事コンサルティングを手掛けています。

 「自社の人材育成や配置、処遇などに苦慮する経営者の方は少なくありません。社労士としてのお手伝いはもとより、前職で培った知見を、中小企業の課題解決に役立てたいと思います」

 中小企業は慢性的な人手不足で、就業規則作成や勤怠管理、採用計画といった業務を外部に委託している所もあります。社外監査役や顧問として助言をしている太田さんは、「本当に困った時だけ社外の専門家に頼り、後は社内で課題に向き合いながらノウハウを蓄積して継承し、人を育てることが大事」と提言します。

 「例えば、採用活動は結果が出るまで4〜5年かかります。求める人材に来てもらうには、確固たるビジョンを構築するなど体制を整える必要があります。経営者に社員の気持ちを伝え、社員にはトップの思いを伝達して、風通しのよい社風を作っていくことが重要で、相応の時間を要します」

 クライアントに向け、細やかにアドバイスする太田さん。「大手は人がそろい、分業のイメージかもしれませんが、私は給与計算から保険、福利厚生まで幅広くカバーしました。工場、営業所、研究所、本社と、機能が違う現場を見てきたことも強みです」

#chapter2

相手の理解を得るためには、人事の原理原則に沿って、丁寧に誠実に対応することが大切

 大学院で原子力を専攻し、技術職を希望していた太田さん。配属されたのは工場の労務部門でした。「大学の恩師に『もったいないなあ』と言われ、大学の仲間に会っても何をしているか言えないぐらいショックでしたね」と当時を振り返ります。

 「『いつかは研究開発に』という望みがかなう気配もなく、10年ほど、うじうじしていましたが、この道でやっていくと腹をくくりました。毎年100人ほど新人を採用し、研修を経てそれぞれの職場で成長する様子を見守ることに、やりがいを感じはじめたからです」

 長いキャリアの中でも忘れられないのは、子会社で管理本部長を務めていた時に担当した、海外工場閉鎖に伴う人員整理です。「日本とは法律や文化、習慣が異なるのでわからないことばかりでした。会社の方針は決定しているので、私にできるのは、社員一人一人と誠実に向き合うことだけでした」

 経験から得たのは、海外だろうがやるべきことに違いはなく「人事の原則は一緒」ということでした。つまり、可能な限り情報をオープンにして、相手の状況をおもんぱかりながら話を聞くこと、それが「人事の原理原則」だと気づいたのです。
 
 「人事の仕事はトラブルになりそうなことを早めに察知して、『原理原則に基づいたやり方』で丁寧に進めることに尽きます。工場を閉めるセレモニーには全スタッフが参加してくれて安堵しました」

 自分が同じ立場だったら、どう接してもらいたいかを熟考し、「人事の原理原則」に誠実に向き合うことを心掛けてきた太田さん。その姿勢は今も変わりません。

#chapter3

年金事務所での経験も踏まえ、中小企業の実情に即した提案で組織運営をサポート

 2019年に社労士として独立した太田さんは、2年間にわたって日本年金機構が運営する年金事務所で相談業務にも携わりました。

 「年金は受給要件などが複雑ですから、わかるまで何度でも説明をさせていただきました。サッと済ませることもできますが、私は時間をかけてでも、足を運んでくださったみなさんにきちんと理解してもらいたい。そういう性分なんです」。これからも実直に、そして目の前の人への配慮を忘れずに、縁をつむいでいきたいと言います。

 「従業員規模が違う大企業の人事制度や評価制度を、そのまま中小企業に導入することはできませんし、それが正解でもありません。知恵を絞り、クライアントさまの実情に応じたシンプルで、運用しやすい仕組みをご提案することが使命だと考えています」

 企業が抱えている課題や経営者の悩みは千差万別。「退職まで一社に身を置いた私にとって、さまざまな企業の経営に関与できることは刺激になりますし、何より勉強になります」と力を込めます。

 会社員時代は意識せずに使っていた「引き続きよろしくお願いします」という言葉。今は、「自分の仕事に満足してもらい、期待されているのだ」というメッセージとしてありがたく受け取ります。
 「年金問題や働き方改革、パワハラ、セクハラといったハラスメントがクローズアップされる現代において、人事の担う役割は大きくなっています。『素早く、丁寧、適切』をモットーに、円滑な組織運営に貢献していきたいですね」

(取材年月:2022年6月)

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専門家プロフィール

太田勝巳

人事労務の経験と知識を生かし中小企業を支援する人事の専門家

太田勝巳プロ

社会保険労務士

太田社会保険労務士事務所

41年間、一貫して大手メーカーの人事や労務に関連する仕事に携わった経験と知識に基づき、中小企業の経営支援や人事労務のコンサルティングを実施。年金事務所で年金相談に応じるなど、年金業務の専門性も有する。

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