近年の経済状況と物流データから見る軽貨物事業の魅力
「副業=お小遣い稼ぎ」 「本業に支障が出る」 「優秀な社員が流出する可能性がある」
数年前までは、そんなネガティブなイメージが先行していました。
しかし時代は大きく変わっています。
特に、首都圏を中心に情報感度の高いビジネスパーソンたちは、すでに「副業」をキャリア形成の手段、あるいは新たな価値を創造する“自己投資”と捉え始めています。
今回は、中小企業の経営者が知っておくべき「副業の現状と可能性」、そして人材活用という視点での“攻めの副業戦略”について、実例やデータを交えてお届けします。
社員の副業意識はどう変わっているのか?
2021年から継続的に行われている調査によると、副業に関する意識は「やや横ばい」ではあるものの、注目すべきは「副業をしたくない」と答える人の割合が増加している点です。
実際に、「3%→5%→10%」と年々増え続けており、その背景には以下のような声があるとされています。
・リモートワークから出社勤務に戻ったため時間が減った
・自由な時間が副業で削られるのが嫌
・本業が忙しくて副業の余力がない
つまり「副業=働きすぎ」と感じている人が一定数いるということです。
一方で、企業側の姿勢はというと…実に約7割の企業が副業を容認しているというデータもあります。
これは、副業を「リスク」ではなく「可能性」と捉える企業が確実に増えていることの表れでしょう。
経営者に問われる「副業との向き合い方」
副業には、大きく2つのタイプがあります。
① キャリア資産型副業
本業のスキルをさらに磨いたり、新たな専門性や人脈を広げる副業。
例)フリーの営業支援、コンサル業、EC運営、講師業、ライティングなど。
② 短期収益型副業
報酬重視で、単発や労働集約的なものが多い副業。
例)アルバイト型、軽作業、怪しいSNSバイト、いわゆる“闇バイト”など。
このうち、企業として肯定的に捉えるべきは明らかに「キャリア資産型」の副業です。
これは本人の成長につながるだけでなく、本業にも好影響を与える好循環を生み出す可能性を秘めています。
たとえば、営業職の社員が副業で異業種向けの営業代行をすれば、異なる業界知識やプレゼン技術を習得できます。結果として、本業での視野が広がり、提案の深度が増すこともあるでしょう。
歴史に学ぶ、副業の意義
「副業は最近のトレンドだ」と思われがちですが、実はそうではありません。以下のような例を見れば、副業はむしろ**時代の転換点で重要な役割を果たしてきたことがわかります。
・ 江戸時代の下級武士は、低収入と時間的余裕から内職をしていた
・ 明治の文豪・夏目漱石は英語教師でありながら、作家としても成功
・ Appleのスティーブ・ジョブズは、当初ゲーム会社で働きながら副業でPC開発
・ Instagram創業者ケビン・シストロムは、Google退職後に転職し、夜間にアプリ開発を学び起業
いずれの事例も「本業+副業」の相乗効果が生んだ偉業です。
つまり、副業は単なる副収入ではなく、未来の本業を育てる土壌にもなり得るのです。
中小企業が副業を「武器」にする方法
ここで、実際に副業を社内制度として導入・促進する企業の視点で考えてみましょう。
副業を取り入れることで、どんなメリットがあるのか?
- 社員のスキルが自然とアップデートされる
- 離職防止(=会社にいる間にやりたいことができる)
- 社外人脈の形成によって、予期せぬビジネスチャンスが生まれる
- 将来的に「社内起業」や「新規事業部」の人材育成にもつながる
もちろん、すべての副業を無制限に認めればいいわけではありません。
企業として「推奨する副業の種類」「競業避止」「勤務時間外のみ可」といったルール設計が重要です。
ですが、本質は「副業を制限するか」ではなく、「副業をどう味方につけるか」です。
副業の未来=企業の未来
終身雇用が崩れ、多様な働き方が求められる今、「副業」は避けて通れないテーマです。
特に人材確保や育成が課題となっている中小企業こそ、“副業を通じたスキルの内製化”という視点が必要です。
企業として副業を容認することは、リスクではなく信頼と成長の投資です。
社員の未来に投資できる会社こそが、これからの社会で選ばれていくのではないでしょうか。
副業は「個人の挑戦」であると同時に、「組織の可能性」でもあります。
自社の未来のために、副業をどう活かすか——経営者としての視点が、今問われています。