踊る女性を輝かせる社交ダンスのドレス選びのプロ
千葉順子
Mybestpro Interview
踊る女性を輝かせる社交ダンスのドレス選びのプロ
千葉順子
#chapter1
男女が手と手を取り合い、フロアを縦横無尽に踊る社交ダンス。ダンサーの動きに合わせて翻るシフォン。ライトに照らされキラキラと輝くラインストン。その煌めきはダンサーの汗さえ美しく演出します。
社交ダンスのその華やかさを支え、女性たちが一番輝いて見えるドレスを紹介してくれるプロが千葉順子さん。盛岡市でネットショップ「ドレスサロンひよこ」を運営し、自宅ではレンタルサロンを開いています。
「ダンサーが愛用したドレスをメンテナンスして、美しく仕上げ、買いたい方、借りたい方へと橋渡しする。それが私の仕事です」。
自らも競技ダンサーである千葉さんは、26年間勤務した盛岡市のIT関連企業を退職した後、2006年ネットショップを立ち上げました。
きっかけは自らの経験からでした。「ダンスを始めた頃、競技会に出るドレスをどのように買ったらいいかわからなかったのです。当時はまだインターネットで地方のお店を探すのが困難な時代だったんですよ。もちろんネットでお買い物などもできませんでした。欲しい衣装が手に入らないのなら、自分でその場所を作ってみようと思いました」。
ある時、千葉さんは、競技ダンスのメーリングリストからヒントを得ます。プロの競技ダンサーが着用したドレスを譲ってもらえるという記述があり、すぐさま行動を起こします。自身で運営するホームページ『ひよこ組』の掲示板で「着ていないドレス」を譲ってほしいと呼び掛けたのです。
「プロの選手は、同じドレスを競技会で何度も着ることはありません。オーダードレスは1着40~60万円が相場。既成品で安いものを探しても20万円はします。当時は今のようにドレスが量産されていなかったため価格帯も高かったのです」。
千葉さんが、ドレスを譲りたい人から、「愛用したドレスの写真」を受け取り、紹介文とともに掲示板に載せると、「このドレスが着たい!」とどんどん反応があり掲示板を通したドレスの橋渡しが始まりました。「ひよこ組さんからドレスを買った」と評判が立ち始め、利用者が増えていきます。千葉さんは趣味の延長ではじめたドレス掲示板を仕事にすることを決意します。
#chapter2
千葉さんの元に届くドレスは色、サイズ、形、状態も多種多様。販売価格は、売り主が希望する値段を考慮しながら査定して決めます。必要に応じて専用のクリーニングや補修をします。ドレスを輝かせるストーン(スワロフスキー)が落ちていれば貼り付け、ファスナーや金具のチェックをし、交換を行い、次のお客様が心地よくドレスを着られるよう、手間と時間をかけて整えていきます。
販売できる状態に整えた後は、写真撮影して、Webサイトに掲載します。
IT関連企業で働いていた強みをいかし、サイトの運営も制作もご自身ですべて行っています。「ドレスの魅せ方はダンスをしている私が一番わかっていますから、写真ひとつとってもドレスの動きがわからないと上手に演出できません」。それが千葉さんの強いこだわりと溢れんばかりのドレスへの愛と情熱なのです。
「決して安い買い物ではありませんので、試着して納得して買ってもらうのが最良といえます。ネットでドレスを販売する人やショップがまだ少なかった時代でもあり、試着したうえで購入でき、しかも代金は後払いというのは当時としてはかなり画期的だったと思います。」
千葉さんは「気に入ってもらったものだけを買ってもらうことにしています。」といつでもお客様目線。ダンサーに愛されたドレスを次のダンサーに託し、もう一度輝いてもらう。そこにやりがいを感じているのです。
「お客様との信頼関係で、送料と試着料だけで全国どこへでもお届けしています。試着は一度に3着まで可能。3着送って3着とも戻ってくることもあれば、1着ご購入いただき2着戻ることもあります。」
代金は購入者から入金されると、メンテナンス等の諸費用と手数料を差し引き、売り主へと振り込まれます。購入者から希望があった場合は、ドレスのリメイクなどを行うこともあるとか。裾のフリルを豪華にしたり、ストンを増やしたりデザインを変えたりと、もっと素敵にしたい!そんな要望にも応えます。
「自分もダンサーであるからこそ、ドレスがフロアでどう動き、人々をどのように魅了するかがわかるのです。それは着る人やその踊りによって変わります。そのべストを見出し、アドバイスし、作り上げ新しい命を吹き込むのです。」ダンサーに愛されたドレスを次のダンサーに託し、もう一度輝いてもらう。千葉さんは、そこにやりがいを感じています。
「高価な1点もののドレスを3分の1から半額程度で販売していますが、ぜひ試着してご自身が納得したうえで購入を決めてほしいと思います」
試着は3着まで1泊2日が基本。最大でも2泊で返却というのがルールです。ネット上で見て決めるのではなく、お客様がご自宅でゆっくり着用し、習っている先生やリーダーさんとも相談しながらドレスのデザインやサイズを確認できます。高価なドレスであるからこそ、そうした丁寧なサービスが喜ばれ、高く評価されるのでしょう。お客様のマナーも良く、試着したドレスが戻ってこなかったという事故はこれまで1度もありません。
スタンダード、ラテンを踊るダンサーでもある千葉さんは、ドレス選びのアドバイザーとしてもお客様をサポート。ネット上で評判が広がり、顧客は10代~80代と幅広い年代層で全国からリピーターも増えています。
#chapter3
「ネット上で全国のお客様にレンタル・販売を行っていましたが、ありがたいことに評判が広がり、近隣の方からドレスを見に行きたい、試着をしてその場でアドバイスをしてほしいという声が聞こえるようになりました。ネットでは全国のお客様を相手にできますが、地元のお客様にも何かできることはないかと考えたのです」。
そこで2011年、千葉さんは自宅を改装して実店舗『ドレスサロンひよこ』をオープンさせました。お店の中には、400着以上のドレスが揃っています。
「サロンにいらした方は、2~3時間かけてじっくりとドレスを吟味していきます。みなさん『ここに来ると幸せ』と言ってくださいますね」。
サロンは完全予約制で1日1~2組のみ受付。多い方では10点も試着することがあり、そこからサイズやデザイン変更などのリメイク相談や、打ち合わせが必要となるため、時間はたっぷり確保します。訪れるのは競技ダンサーや学生、地元のダンス教室の発表会に出演する方など様々です。
「私自身が現役の競技ダンサーなので、ドレスはもちろん髪型やメイク、小物のコーディネートに至るまで細かく相談に乗っています。」
要望があればメイクの講座や出張サービスも行っているという千葉さん。
また、お客様の発表会に出かけ、踊っている様子を写真撮影してプレゼントすることもあるのだとか。自分が手掛けたドレスが生き生きとお客様と華麗に踊る姿を見届ける、そんな姿勢にも千葉さんのドレスとダンスへの並々ならぬ愛情がうかがえます。
「ホテルでの発表会ではドレスを回収して帰り、お客様の返却のお手間もかけないようにしています」。
千葉さんにとって預かったドレスは、どれもかわいい子どものよう。「きれいにして次の方へお嫁入りさせてあげたい」という想いで、誠実に大事に扱っています。以前に比べて競合他社が増え2~3年売れないドレスもありますが、基本的には売れるまでお預かりしているそう。最近はメルカリやヤフーなども使い、広く販路を見出しているそうです。
ショップ名の由来となっている『ひよこ組』とは、千葉さんのご主人であり、ダンスのパートナーでもある英明さんとのお名前から文字を取った(ひであき・よりこ)ダンスペアの名称です。お二人は1997年から夫婦で全国遠征しながら活躍する現役の競技ダンサーなのです。
趣味で始めたダンスが、今では責任を持ち合わせた仕事にもなっています。千葉さんにとって、ダンスとは生涯をかけて愛するものであり、彼女の笑顔をより一層輝かせる存在なのでしょう。
(取材年月2020年2月)
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Profile
踊る女性を輝かせる社交ダンスのドレス選びのプロ
千葉順子プロ
社交ダンスのドレスを売買・レンタル
ドレスサロンひよこ
約400着の新品・中古ドレスを揃え、レンタル・販売、購入前に商品を試着できるネットショップとサロンを運営。現役競技ダンサーとしての経験を生かしたドレスの売買を手掛け、お客様のドレス選びをサポート。
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