PROFESSIONAL
STORIES

Mybestpro Interview

地域の人たちと一緒に高齢者を支える仕組みづくりに尽力

福祉を通して地域コミュニティの構築を目指すプロ

畝和弘

福祉を通して地域コミュニティの構築を目指すプロ 畝和弘さん
畝和弘さんイベントでの仕事風景

#chapter1

「弘和会がいれば安心」と思ってもらえるように、福祉の可能性を追求

 能登半島を中心に羽咋市と輪島市に9拠点、24事業所を運営する社会福祉法人弘和会の理事長・畝和弘さん。石川県輪島市で生まれ育った畝さんは高齢者や障害者が地域で可能な限り暮らし続けることを支援することが自分の役割だと考え、高齢者の「自己実現」、障害者の「自立支援」のためのその人らしい介護を軸に、利用者の想いや願いを中心に考えたケアを実践しています。

 畝さんの考え方のキャッチコピーは「福祉は人づくり、まちづくり。クリエイティブでおもしろい」。その言葉通り、畝さんの福祉に対する考え方はとても柔軟で創造的です。高齢者の自己実現のためには、まず周囲の人たちの理解と協力が重要だと考え、地域の啓発活動を重視し、元気な高齢者が、支援が必要な高齢者を支える仕組みづくりに尽力しています。

地域の高齢者が買い物に行きたい時に、近所の人たちで助け合って送迎を行う場合には法人社用車を無料で貸し出すなど地域貢献事業を率先して遂行しています。

 他にも地域の高齢者のための「みんなの保健室」を設置し、看護師による健康相談やバイタルチェックを実施。「認知症カフェ」では地域のボランティアが地域の高齢者のお世話をしながら認知症への理解の推進と認知症についての相談機能の充実を図っています。「地域の人たちに弘和会がいれば安心と思ってもらえる存在を目指しています」と、畝さんは優しい笑顔で話します。

#chapter2

利用者の思いに応えるため、さまざまな福祉サービスを実現

 畝さんの介護の原点は高校生の時にさかのぼります。当時、デイサービスに通う祖母を自宅がある3階から1階まで背負って移動することが日課でした。そして学業に邁進し、社会人としての経験を積んだ畝さんは原点に戻り、地域の高齢者のためのデイサービス事業を開始。事業を運営する中で利用者から「台風の夜に1人で家にいるのは寂しいから、施設に泊まりたい」という声があったそうです。畝さんはそれぞれの心に寄り添ったサービスを提供するため、利用者が通い慣れたホームに宿泊できる小規模多機能型居宅介護などさまざまな事業を展開していきました。

 そして畝さんは現在もなお、利用者のための福祉の可能性を追求し続けています。石川県は漆器や農林水産業の人が多い土地柄、国民年金の高齢者が多い実情を踏まえ、国民年金の人も自己実現できる介護を受けることができる仕組み作りを実現化。国土交通省の「空家等対策」と厚生労働省の「住居確保」をリンクさせ、空家を高齢者のシェアハウスとして活用しています。特別養護老人ホームや高齢者向けサービス付き住宅は高額のために、金銭面の問題で入居が難しい場合もあります。しかしシェアハウスであれば、国民年金の人も住み慣れた地域にある住まい(施設)で、適切な生活支援を受けることが可能です。

 もし認知症になった場合には24時間365日サポートが必要なため、自宅で介護する場合には家族への負担も大きくなります。しかし、シェアハウスであれば専門スタッフが24時間365日見守り、介護を行っているので安心です。畝さんは現在シェアハウスを1軒テスト運営していて、今後さらに展開をしていく予定です。

地元石川での地域コミュニティのイベント風景

#chapter3

「仁・人・和」を経営理念に、地域福祉の向上を目指す

 冒頭でも紹介した様に、高齢者の「自己実現」と障害者の「自立支援」のために、その人らしく生きていくための選択的介護を重要だと考えている畝さん。時間を管理されることなく、その人の思いや願いに寄り添ったその人らしい介護には利用者の「自由」があります。人間にはこの自由こそが必要であり、それが生きる力につながると畝さんは話します。以前、自宅から離れた入所施設で泣くばかりの日々が続き、何も食べることができない障害者の人がいました。その人の両親が心配し、自宅からも近い畝さんが運営するグループホームに入居することに。そこで地域の人たちと関わりのある生活が始まり、自分らしい日々を送ることで生き生きとした笑顔が戻ったそうです。

 畝さんは障害者の就労支援の一環としてのカフェ運営をはじめ、農業と福祉を関連付けた「農福連携」、伝統工芸と福祉を関連付けた「伝福連携」など、利用者が地域の人と関わる環境づくりを大切にしています。農業では農薬や肥料を使用しない自然栽培に特化したお米や野菜づくりに取り組んでいて、収穫した大豆は甘納豆に加工して販売。また、伝統工芸においては輪島塗箸の製造を試みていて、福祉の可能性を広げています。

 これほど多岐に渡る事業においても一貫しているのは、高齢者や障害者が可能な限り地域で暮らし続けることを支援すること。その仕組みづくりに情熱を注いでいる畝さんを筆頭に、現在150名のスタッフが共に同じ方向を向いて邁進し続けています。地域で支え合い、住み続けて良かったと思える街づくりと地域福祉の向上を目指し、固定概念にとらわれないクリエイティブな発想で福祉のあり方を追求する畝さん。イベントや農作業の記念写真に写る人たちの生き生きとした表情がこれまでの畝さんの業績を物語っています。

(取材年月:2020年11月)

リンクをコピーしました

Profile

専門家プロフィール

畝和弘

福祉を通して地域コミュニティの構築を目指すプロ

畝和弘プロ

福祉事業

社会福祉法人 弘和会

在宅サービスやグループホームを軸に、高齢者や障害者の思いや願いに沿ったその人らしい介護を実践していて、地域の理解を深めるための啓発活動も積極的に行っている。

\ 詳しいプロフィールやコラムをチェック /

掲載専門家について

マイベストプロ石川に掲載されている専門家は、新聞社・放送局の広告審査基準に基づいた一定の基準を満たした方たちです。 審査基準は、業界における専門的な知識・技術を有していること、プロフェッショナルとして活動していること、適切な資格や許認可を取得していること、消費者に安心してご利用いただけるよう一定の信頼性・実績を有していること、 プロとしての倫理観・社会的責任を理解し、適切な行動ができることとし、人となり、仕事への考え方、取り組み方などをお聞きした上で、基準を満たした方のみを掲載しています。 インタビュー記事は、株式会社ファーストブランド・マイベストプロ事務局、または北陸放送が取材しています。[→審査基準

MYBESTPRO