PROFESSIONAL
STORIES

Mybestpro Interview

バックオフィスの働き方が変われば、企業はもっと成長できる

バックオフィスの業務効率化及びExcel活用のプロ

平井裕

平井裕 ひらいゆう
平井裕 ひらいゆう

#chapter1

事務業務の改善と仕組みの作り方を共有するコンサルティングで、自走をサポート

 「経理、会計、人事、総務などバックオフィスの働き方が変わったら、企業は今よりもっと強くなれます」と話すのは、「シンクインク」代表取締役の平井裕さん。事業活動を支える事務を最適化するためのコンサルティングを手掛けています。

 「例えば、人材派遣業の会社では、エクセルで行っていた請求書作成や給与計算をシステムで自動化することで、1人当たり月間10~20時間の残業時間を削減できました。製造業の会社では、売り上げや人件費のデータをシステムに取り込む際に、複数のエクセル操作を自動実行するマクロ機能を導入。2人で2日かけていたことが、1人2時間で済むようになりました」

 クライアントが自ら考え、実践していく“自律自転”を目指す平井さんは、仕組みを納品して終わりではなく、ノウハウの共有を重視しています。

 「企業の成長に合わせて、仕組みも変えていかねばなりませんが、変更の仕方が分からず、その都度コンサル費用がかかるとしたらどうでしょう。仕組みに合わせるために、仕事のやり方を変えないでおこうという本末転倒な事態にもなりかねませんし、ついには、使われなくなったりします」

 課題に向き合わないままでいると個々の実務がブラッシュアップされず、組織自体も停滞することに。自分たちで解決していけるよう、業務フローの見直し方や組み立て方、エラーが起きたときの対処方法などを、伴走しながら伝えていきます。

 「最終的には、自分たちで仕組みを作れるようになり、当方は必要ないという形で卒業していただくのを理想としています」

#chapter2

人材不足の時代に必要なのは業務の効率化。企業に合わせて施策を構築

 平井さんは大学卒業後、都市銀行に就職。中小企業への法人営業、オーナーへの事業承継対策や資産運用、M&Aアドバイザリー業など幅広い分野を担当しました。ものづくり企業の経営者から請われて転職を決意。取締役経営管理部長およびIPO(新規株式公開)準備の責任者という要職に就きます。

 「社内ルールの整備や、多岐にわたる日常業務の仕組みづくりに取り組みました。バックオフィスの業務改善を通して、そこで働く人たちの意識改革が進めば、組織は見違えるほど強くなるということを実感したのです。得た知見をもっと多くの企業のために役立てたいと、2022年に開業しました」

 前職でさまざまなタイプの仕組みづくりに携わってきたことから、どんなツールを使えばその企業のプラスになるかを的確に判断。プロジェクトチームを組んで案件に臨みます。現場の作業を自ら体験もすることで、机上の空論ではなく実態に即した施策を打ち立てます。

 「多いご依頼は、大きく二つのケースに分けられます。一つは、大手企業の特定の部署で、業務が属人化してしまっているのを解消したいというケース。もう一つは、スタートアップから次第に業績が伸びるにつれ、増加した業務を効率化したいというケース。事務スタッフを増やす前に、仕組み化することで対応できないかとお問い合わせいただきます」

 人手不足が進み、採用が難しくなることが予測される昨今。貴重な人材を適切に活用し、生産性を上げていくことがますます重要になると言います。

#chapter3

事務処理にかける時間を削減することで、仕事への姿勢や働き方にも変化

 平井さんが心掛けているのは、現在の作業レベルの一段上、二段上の提案です。
 「紙ベースで管理をしている会社が、いきなりRPA(業務の自動化)を取り入れても、現場は混乱してしまいます。まずはエクセルによるデータ管理を促し、数値を手入力しているのであれば、関数を使ってみませんか?とお伝えします」

 特に薦めたいのが、エクセルの「パワークエリ」という機能を使った業務フローの構築。新たなツールを導入する手間もコストもかからないのがメリットだとか。
 「外部データの取得や変換、加工ができるもので、マクロより手軽に扱えて、作業内容に合わせた変更もしやすいんです」

 事務処理にかける時間を削減することは、バックオフィスメンバーの仕事への姿勢にも変化をもたらします。他部署の改善点を探すようになったり、営業やマーケティングなどをサポートするようになったり。プラスアルファの効果を数多く見てきた平井さんは、企業で働く一人一人もクライアントだと考えています。

 「事務系の人材は、決められたやり方に忠実に守ること、つまり、敷かれたレールの上を走ることが得意な方が多いかもしれません。しかし、業務がどんどん自動化されるこれからの時代において、求められるのは、レールを自分で敷いて走れる人材です。今後は個人向けのセミナーも行っていきたいですね」

 バックオフィスを担う誰もが業務改善のスキルを身につければ、働き方はもっと自由になる。平井さんはそんな未来を描いています。

(取材年月:2023年7月)

リンクをコピーしました

Profile

専門家プロフィール

平井裕

バックオフィスの業務効率化及びExcel活用のプロ

平井裕プロ

業務改善コンサルタント

シンクインク株式会社

特定のツール導入を進めるのではなく、企業の実情に適した仕組みづくりを柔軟に提案。導入後のフォローも丁寧に行います。バックオフィスの人材が業務の効率化を経験することで、能動的に動ける人材へと変わります。

\ 詳しいプロフィールやコラムをチェック /

掲載専門家について

マイベストプロ神戸に掲載されている専門家は、新聞社・放送局の広告審査基準に基づいた一定の基準を満たした方たちです。 審査基準は、業界における専門的な知識・技術を有していること、プロフェッショナルとして活動していること、適切な資格や許認可を取得していること、消費者に安心してご利用いただけるよう一定の信頼性・実績を有していること、 プロとしての倫理観・社会的責任を理解し、適切な行動ができることとし、人となり、仕事への考え方、取り組み方などをお聞きした上で、基準を満たした方のみを掲載しています。 インタビュー記事は、株式会社ファーストブランド・マイベストプロ事務局、または神戸新聞社が取材しています。[→審査基準

MYBESTPRO