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子どもたちが楽しいと大人も楽しくなる。音楽を楽しく学ぶ工夫をピアノレッスンに凝縮

子どもが楽しめるピアノレッスンのプロ

米田紀子

米田紀子 よねだのりこ
米田紀子 よねだのりこ

#chapter1

ひな祭りやこいのぼり、イモ掘りもレッスンに活用。手作り教材で子どもたちの心をつかむ

 未就学児から小中高生、保育士や幼稚園教諭を志す学生に加え、園やピアノ、リトミック教室などの先生に向けたコースを展開する「ピノンピアノ教室」。主宰の米田紀子さんは、「生徒のみなさん、特に小さなお子さんたちは体や道具を使いながら、笑顔いっぱいで音楽に触れてほしいですね」と話します。

 共通するのは、楽しく学ぶことです。ピアノに向かっているだけでは飽きてしまう子もいるため、米田さんは長年の講師経験をもとに独自の教材を作成。音符カードを並べたり指の体操をしたり、遊びを通じて音楽に親しめるよう工夫しています。また指導に携わる人たちには、子どもとの接し方やレッスン方法を教えています。

 「教室では、ひな祭りやこいのぼりといった季節感も取り入れています。例えば、秋の味覚のサツマイモ。遠足などでイモ掘りをするお子さんもいるので、興味を持ってもらえます」。米田さんは、肌触りの良いフェルト生地で五線シートを手作り。畑をイメージした茶色のフェルトには、五線譜に見立てた5本の糸が縫い込まれています。五線の下には小さなサツマイモが埋まっていて、ツルを引っ張るとサツマイモが五線の上で音符になる仕掛け。音階や楽譜について直感的に理解する助けになっています。スルスルと動くサツマイモに、子どもたちは大喜びだとか。

 「ピアノの基礎だけでなく、さらなる高みを目指す方にも技術を磨いていただけます。コンクールで優秀な成績を収める生徒さんもたくさんいらっしゃいます」

#chapter2

子どもや家族に寄り添うピアノ教室でありたい

 レッスンの様子を収めた動画を保護者にLINEなどで共有している米田さん。子どもの成長を見守る大人の存在はとても大きく、自身が母親になった時に深く実感したと語ります。

 「親にとって、子どもの喜びは自分の喜びでもあるんですね。子どもが生まれて分かるようになりました。だからこそ、ご両親をはじめ、おじいちゃん、おばあちゃんなど、お子さんの周りにいる方々を大切にしたいと思っています」

 サツマイモなど季節に合わせた五線シートは、「お母さんたちにも好評なんですよ」とうれしそうに語る米田さん。今では孫もいるそうで、家庭のイベントも大事にしてほしいと、振り替えレッスンにも柔軟に対応しています。

 「旅行のご予定などがあれば、優先していただいて構いません。お子さんに、いろんな体験をさせてあげることが重要ですから」

 細やかな配慮を心がけると共に、きちんとけじめもつけることで保護者との信頼関係を築いているのも特徴です。練習をしてこない生徒がいた場合は「お金を無駄遣いしていることになるのよ。お月謝を払うために、ご家族が一生懸命働いていることを忘れないでね」と諭すこともあるそうです。

 「みなさんにとって充実した時間になるように、『心が安らぐ空間づくり』にも力を入れています。待合室は広めのスペースに、ぬいぐるみや絵本、マンガなどをそろえているので、生徒さんの弟や妹を連れてきていただいても大丈夫です。わが家のようにくつろいでください。早めに来て宿題をしている子もいますよ」

米田紀子 よねだのりこ

#chapter3

レッスンが嫌いな子には違ったアプローチで。ピアノが苦手な園の先生にはわかりやすく学ぶコツを伝授

 生徒一人一人に寄り添い、丁寧にサポートすることを心がけている米田さんのもとには、生徒の母親たちから「私も子どもの時に、こんな先生に習いたかった」との声が寄せられます。

 幼稚園に通うある男の子は、初めてのレッスンの時に「黒いイスが怖い」と言ってピアノの前に座ることを拒みました。そこで米田さんは、本人の好きな色の黄色い座布団を母親に用意してもらい、人気絵本の「どうぞのいす」(ひさかた出版)を贈りました。すると男の子に変化が表れ、ピアノに触れるようになりました。

 「難しいと思っていたことでも、『こんなに簡単にできるようになるよ』ということを伝えるのが得意なんです。相手が子どもでも大人でもそれは同じです」

 保育士や幼稚園教諭の中には、仕事で必要なピアノが実は苦手だという人もいます。例えば、ドミソやレファラといった二つ以上の音を奏でるコード(和音)には規則性や法則性があり、理論を学ぼうとするととっつきにくい面があります。

 そこで米田さんは、笑顔と泣き顔それぞれを描いたお月さまのイラストを用意。明るい曲調の長調と、悲しい曲調になる短調に合わせて、お月さまが笑ったり泣いたりする歌を歌いながら長調と短調を入れ替えていくと覚えやすく、園でも活用できると言います。

 「私は、どうしたらみんながピアノを上手に弾けるようになるかを、考えるのが大好きです。この教室が、生徒さんに音楽を楽しむ気持ちを伝える場所になればと願っています」と語りました。

(取材年月:2022年1月)

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米田紀子

子どもが楽しめるピアノレッスンのプロ

米田紀子プロ

ピアノ講師

ピノンピアノ教室

ヤマハ音楽教室などでの講師経験を活かし、ピアノレッスンに楽しんで取り組みながら音感や基本技術を学ぶ指導および指導法を提供。子どもを飽きさせない手作りの教材や道具を活用して音感を育む指導内容に強み。

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