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調律歴20年あまり、1万台以上のピアノの調律や修理に携わってきたピアノ技士

ピアノ調律・修理・整備のプロ

徳田裕一

ピアノ調律・修理・整備のプロ ピアノ調律師の徳田裕一さん
ピアノ調律師の徳田裕一さん 調律風景

#chapter1

音律調整のほか保管・維持・音場効果についてもより良い状態を求めて作業

「ピアノは、きちんと手入れすれば100年以上使うことができる寿命が長い楽器です」と話すのは、「音楽工房 ピアノサロン」の徳田裕一さん。

調律歴は20年あまり。これまで1万台以上のピアノの調律・修理・整備を手掛けきたベテランピアノ技師です。

 神戸市を拠点に兵庫県内、大阪、京都と主に関西エリアからの依頼に対応。音律調整にとどまらず、保管・維持・音場効果についてもより良い状態を求めながら作業にあたっています。「サービスの質を維持するため、調律は多くて1日3~4件まで。良い音と弾き心地にするだけでなく、長く使っていただけることに重きを置いた作業を心がけています」

 調律時間は2時間程度。新規依頼の場合は、ピアノの状態を確認し良い状態を保つために分解掃除から始めるそうです。「部品交換などの修理が必要な場合は、必ずお客さま立ち会いのもと作業手順や費用、どんな不具合が発生するのかについて説明します」と徳田さん。音や弾き心地の感覚に納得いかない場合は、作業後半年以内であれば作業工賃無料で再調整するアフターケアも実施しています。

 高度な修理技術を駆使し、多くのピアノに息吹を与え、命を吹き込む徳田さん。時には古い部品の代わりに丈夫でさびにくい現代の部品を使うこともあり「ピアノの寿命を延ばすために部品や素材の研究も欠かせない」と言います。
徳田さんの仕事は「ピアノ調律師」と呼ばれていますが、技術者としての自覚と誇りから自身を「ピアノ技師」と名乗っています。

#chapter2

ピアノのコンディションにより持ち帰り修理、訪問調整にも対応

「買い替えをすすめられた」「大規模修理で、多額の費用を見積もられた」といったピアノの修理も行う徳田さん。「子どもの頃に使っていた愛着のある古いピアノを、もう一度よみがえらせたい」という思いにも寄り添います。

「コンディションにより、工房に預かるなどピアノを移動させなくてもすむ場合があります。ピアノをご自宅に置いたまま、アクション・鍵盤などの持ち帰り修理、数回の訪問調整で対応することも可能です」

 また「ジャズしか弾かないので鍵盤を軽くしてほしい」「グランドピアノに似せた重めのタッチにしてほしい」といったリクエストにも対応。鍵盤の重さを変えることでどういった影響が出るのか、デメリットを含めて説明し「納得していただいた上で作業しています」と話します。

 また、2本ペダルのグランドピアノを3本ペダルに変更することも。「1980年代、一次的に2本ペダル仕様になっていたヤマハ製グランドピアノであれば、ほぼ確実に3本ペダルにできます。出張修理も可能なのでまずはご相談ください」

 さらに引っ越し・移設・中古売買・防音対策など、ピアノに関するさまざまな困りごとに応えています。

「予算や住宅事情により、大掛かりな防音工事ができない場合もあります。簡易対策として、ピアノの裏側に毛布をかけると布が音を吸収してくれるので、ある程度効果を期待できます。また、湿気対策として乾燥剤を毎年替え続けるよりも、場所を変えたり湿度を調整できる除湿器や空気清浄機を置いた方が経済的かも」と徳田さん。必要に応じて、ピアノを快適に楽しむためのアドバイスや提案も行っています。

ピアノ調律師の徳田裕一さん 調律風景

#chapter3

ピアノの仕事は天職、丁寧な仕事ぶりにより顧客を開拓

 徳田さんが、ピアノ調律の仕事に出会ったのは小学生の時。家にあったピアノの内部を調律師に見せてもらいメカニカルな構造に興味を抱いたそうです。高校卒業後、ヤマハピアノテクニカルアカデミーでピアノ調律を学び、1994年にヤマハ工場のリニューアル部門に所属。長年、手入れされず傷んだピアノや災害などで被害を受けたピアノを毎日修理していました。
「ピアノは時代によって少しずつ造りが違うのですが、さまざまな時代のピアノに触れながら学ぶことができました」と当時を振り返る徳田さん。工場勤務でピアノへの興味をさらに刺激されたと言います。

 神戸に戻ってから独立し、現在のピアノサロンを設立。他の調律師から断られた難しい修理依頼も引き受け、技術を磨いてきました。1つ1つの仕事に丁寧に取り組む誠実な人柄が評判を呼び、口コミで固定客を獲得。「修理できないとあきらめていたピアノが直った」と喜んでもらえることがやりがいで「ピアノの仕事は天職」と笑顔を見せます。

「ピアノに関することは全て知っておかないと気がすまないので、わからないことがあったらすぐに調べるんです。性格的な向き不向きだけでなく、身長や体重、1オクターブ離れた鍵盤をしっかりと抑えられる大きな手など、体格的にも適正があり調律師になってよかったと思います」
ピアノの構造や歴史について真剣に説明する表情から、ピアノへのこだわりと愛情が伝わってきました。

(取材年月:2018年12月)

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徳田裕一

ピアノ調律・修理・整備のプロ

徳田裕一プロ

ピアノ調律師

音楽工房ピアノサロン

ピアノ調律歴20年以上 調律したピアノ1万台以上。長年の経験で得たノウハウで、良い音・弾き心地にするだけでなく、長く使うことに重きを置いた調律を行う。アンティークピアノの修復技術にも定評がある。

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