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いつかは必ず発生する災害。必ず予防して被害を最小限に抑えることが当たり前の世の中に

防災・減災・危機管理のプロ

永井あゆみ

永井あゆみ ながいあゆみ
永井あゆみ ながいあゆみ

#chapter1

企業のBCP策定や社員教育をワンストップでサポートする「トータルコーディネート防災」を提案

 「災害は必ず発生します。必ず起こることは必ず予防して被害を最小限に抑える、それが当たり前の世の中にしたいんです」と理念を語るのは、「My first」の代表、永井あゆみさん。企業に向けて“トータルコーディネート防災”を提案しています。

 「このプランでは、緊急時の行動指針などを示す防災マニュアルをはじめ、事業活動を守るためのBCP(事業継続計画)やBCM(事業継続マネジメント)を策定します。備蓄品の選定や、社員への防災教育と防災訓練も実施。各企業に応じた対策のアレンジから、罹災後の業務再開に向けた支援までをワンストップで提供します」

 地震や台風のみならず、ゲリラ豪雨や熱中症、感染症など多様化する災害。従業員の安全確保や自社の信頼性の担保に加え、円滑な事業復旧による地域への貢献といった観点からも、企業に求められる責務は小さくありません。
 また危機管理を洗い出す工程で、防災以外の社内の問題が発見されることが往々にしてあるのだとか。

 「スマホに頼りっきりの今、通信が機能しなくなった途端に何もできなくなってしまうように、情報収集や連絡の取り方、何かあった際の責任の所在など、組織が抱えるさまざまな課題を突如として浮き彫りにするのが災害です」

 また永井さんのもとでは、被災地への寄付やボランティアも取りまとめています。
 「少しでも力になりたいという声が多い一方で、何ができるか、どうすればいいかが分からない方、あるいは募金がどう使われるのか、必要な物資は何で、それが本当に必要としている人のもとに届くのか心配されている方が結構いらっしゃって。当方でお手伝いすることにしました」

#chapter2

個々の意識を変えていくことが、社会全体の危機管理につながる

 1995年1月17日、当時神戸市内で小学生だった永井さんは、阪神・淡路大震災に直面しました。2011年の東日本大震災では知人を多く亡くし、2018年には以前住んでいた岡山県で西日本豪雨(平成30年7月豪雨)に遭遇しています。

 「水害に遭った地域に住んでいて、亡くなられた人はいなかったのですが、建てたばかりの家が水没して、またローンを組み直して建て直すというようなお話をいろいろと伺いました」

 災害を身近なものとして生きてきた永井さん。会社勤務を経て社会保険労務士の道へ進み、多くの企業と接する中である違和感を覚えます。
 「被災した経験がある人とない人とでは、危機管理に対する意識が全然違うことにびっくりしました。ある日突然起こることも、大事なものを失って悲しんだりインフラが止まって混乱したりすることも分かっている。対策できることがあるのになぜしないんだろう、なぜ無関心でいれるんだろう、と疑問を感じました」

 日々の生活であったり、税金や法律といった社会的な制度や仕組みであったり、危機管理はいろいろなことに通じているため、欠かせない施策だと強調します。
 「防災は、重要性を理解していても、ほとんどの人ができていない最たるものだと思うんです。自分事として捉え、適切に備えていくことが自分の命を守ることにつながります。個々人の変化があって、その先に社会の変革がある。一人一人の意識が変わっていけば、少しずつ世の中が良くなるのではないでしょうか」

永井あゆみ ながいあゆみ

#chapter3

自分たちに必要なものは何か、環境などと照らし合わせながら考え、選択していくことが大切

 地球の温暖化が進む昨今、毎年のように集中豪雨やゲリラ豪雨による風水害や土砂災害、記録的な猛暑の中で熱中症による被害がニュースで取り上げられています。日頃の対策や発生時に取るべき行動は、災害の種類や地域環境によっても異なってくると永井さんは指摘します。

 「水害が考えられる地域では、まずはその場所から逃げなければいけません。持ち出せないほどの備蓄品を抱えるのは現実的ではないんですね。また性別などによっても避難時に必要となる備品は異なりますから、市販の災害キットで事足りない物も多いです。過去のデータや経験知はもちろん大切ですが、気候変動が叫ばれる中にあって、今後どういう被害があるかは未知数。だからこそ、自分たちに必要なものは何か、環境などと照らし合わせながら考え、選択していく力が求められるのです」

 永井さんは、子どもや高齢者、ハンディキャップのある方といった災害弱者へのサポートにも力を入れていきたいと語ります。

 「医療機関、介護・福祉施設などにトータルコーディネート防災が浸透すれば、地域としての対応能力も上がりますし、地元の人たちの意識も変わってくるでしょう。企業の防災力を高めるために、NPOを立ち上げて資格のようなものを作りもしています」

 取り組むべきテーマとして認識しつつも、人材や費用、時間、ノウハウがないと悩んでいる企業に向けて「自然は私たちの都合に合わせてくれませんので、ぜひ当方にご相談ください」と呼び掛けます。

(取材年月:2023年3月)

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永井あゆみプロ

防災コンサルタント

My first合同会社

防災マニュアルやBCP(事業継続計画)、BCM(事業継続マネジメント)の策定、社内の防災対策や教育、訓練、備蓄品の選定といった防災対策のアレンジから、罹災後の業務再開に向けた支援をワンストップで提供。

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