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速い・強い・きれい・切れ味が軽い。「宮村流刃物研ぎ」で刃の切れ味を復活

速い・きれい・長持ち・軽い切れ味を実現する刃物研ぎのプロ

宮村和秀

宮村和秀 みやむらかずひで
宮村和秀 みやむらかずひで

#chapter1

家庭用からプロ用まで、包丁・ハサミなど刃物の研ぎ直しに完全手研ぎで対応

 「刃の切れ味を保つにはお手入れが大切。しかし研ぎ方によってはかえって切れなくしてしまう可能性もありますから、注意が必要です」と話すのは、「包丁の宮村」の宮村和秀さんです。

 鍛冶屋産業において長い歴史を持つ、兵庫県・播州地方の加古川市が拠点。包丁やハサミ、ニッパー型爪切りといった刃物全般の研ぎ直しを行い、家庭用から、飲食店や理美容サロン、和洋裁、園芸といったプロ用まで手掛けます。オリジナル包丁も販売し、独自のメソッド「宮村流刃物研ぎ」を動画で伝える活動もしています。

 動画サイト・YouTubeの中で、宮村さんは鮮やかな手業を披露。まず自然の岩石から作られた天然砥石(といし)に少量の水をかけ、片刃の和包丁の先から一気に根元まで研ぎあげます。刃先を二段階以上に分けて研ぐのが、約40年かけ研究開発した「宮村流」の基本。食材と接して切る部分である刃先に「本刃付け」をすることにより、切れ味と強さを増します。本刃付けとは、本来の切れ味になるよう、使用目的に合わせた形状に研ぎ直すことを言います。

 機械を一切使わない完全手研ぎ。天然砥石と手技だけで「速い・強い・きれい・切れ味が軽い」をモットーに仕上げます。

 「高級すし店で板前を務めるお客さまは、当方で包丁を購入した際、来店されたゲストに『おいしくなったけど、ネタを変えたの?』と聞かれたそうです。『変えたのは包丁だけです』と答えると驚かれたとお聞きし、うれしかったですね」

#chapter2

仕上がりを左右する“研ぎ”の世界に魅了され、大工から研ぎ師へ

 宮村さんは高校卒業後、大工に弟子入り。カンナ、ノミをはじめ、職場にはさまざまな刃物がありました。

 「『大工は道具が命』と、日々の道具の手入れを教わりました。特に『カンナがけができて初めて一人前』と言われるほど、木材の表面を滑らかにするカンナは扱い方が難しい。何度も挑戦し、仕上がりは道具次第、切れ味が最重要と実感しました。参考書や専門書を読んだり、先輩方に聞いたりしてもなかなかうまくいかなくて。試行錯誤しているうちに、研ぐ技術そのものを磨きたいと思うようになりました」

 奥深い“研ぎ”の世界に魅了された宮村さんは技を探求。休みの日は1日中ノミやカンナを研ぎ続け、手を削ってしまったことも。家具職人に転身したのち、刃物研ぎの名人と呼ばれる人のもとに通います。

 「大工の頃も家具作りでも『なんでこんな早よ研げるんやろ』って名人がいるんですよ。でも職人は、手取り足取り教えてはくれません。言葉や動作を自分なりに解釈して研いでみて、一つ一つ検証して改良を加え、独自の方法論ができあがってきました」

 「包丁の宮村」を開き、研ぎ師として独立したのは1995年頃。納得いく切れ味を求め、ホームページを通じてオリジナル包丁の販売も始めました。家庭で使いやすい三徳包丁からプロ仕様の包丁まで品ぞろえ。購入すると宮村さんが「本刃付け」を行ってから発送します。このひと手間をかけることで切れ味が長持ちすると言います。

宮村和秀 みやむらかずひで

#chapter3

研ぎ直し依頼を受けるとともにネット動画で技術を発信。刃物を一生の相棒に

 2018年にYoutubeチャンネルを開設。宮村流刃物研ぎを発信し始めたきっかけは、知人の料理人の言葉でした。
 「道具がうまく研げないばかりに辞めていく若い料理人が業界にはたくさんいる。宮村さんが研ぎ方を広めて、助けになってやってくれませんか」

 配信では、三段階に分けて研ぐ「三段研ぎ」、五段階の「五段研ぎ」、包丁の表側を最後に研いで仕上げる「表の法則」など、自らの“研ぎの極意”を惜しみなく解説。ニッパー型爪切りやなた、おの、植木バサミといった特殊な刃物の研ぎ方や、砥石についても伝えます。 
 動画を参考に実践し、コメントや質問を寄せる視聴者も多く、研ぎ直しや包丁購入の依頼も入ります。その多くが前述のようなすし職人や人形細工師など、道具に高い精度を求めるプロフェッショナルです。

 刃物の多くは職人が丹精込めて作り上げたもの。使い込むほどに自分の手になじむのが魅力で、個々に適した研ぎ方を知ることで末永く愛用してほしいと語る宮村さん。
 「40年やっても、まだまだ進歩できると思っています」と意欲を見せ、現在のところ“究極の刃付け”と自負する『宮村流極薄三段研ぎ』について、こう語ります。

 「研ぎ跡がつかないギリギリの角度で本刃付けし、さらに緩い角度で三段に研ぐ。私にとっても最高難度の技です。先日、常連のお客さまの包丁にこの研ぎ方を施したところ『いつも以上によく切れます!』と喜んでくださいました」

 刃物を持ち主の“一生の相棒”にするため、これからも宮村さんは研ぎの技術を磨き、発信し続けます。

(取材年月:2024年4月)

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宮村和秀

速い・きれい・長持ち・軽い切れ味を実現する刃物研ぎのプロ

宮村和秀プロ

刃物研ぎ師

包丁の宮村

40年の研さんで築き上げ、今なお進歩を続ける独自の刃物研ぎメソッド「宮村流」は機械を使わない完全手研ぎで、刃物の切れ味復活させます。

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