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体と心にやさしいオーダーメイド医療に取り組む内視鏡専門医

がんの早期発見・早期治療・予防に取り組む消化器内視鏡のプロ

三戸岡英樹

三戸岡英樹 みとおかひでき
三戸岡英樹 みとおかひでき

#chapter1

自由診療による内視鏡検査や、大腸・直腸のポリープ・早期がんの日帰り手術に注力

 JR芦屋駅からすぐのラポルテ本館3階にある「芦屋三戸岡クリニック」は、消化器内視鏡を専門とする自由診療・完全予約制のクリニック。同院院長の三戸岡英樹さんは、内視鏡検査、カプセル内視鏡検査、ESD(内視鏡的粘膜下層剥離術)を含む早期がん(食道・胃・大腸・直腸)の手術(日帰りを含む)などに力を注いでいます。

 医師だった父の背中を追いかけ医療の道を志した三戸岡さん。港町神戸への憧れから神戸大学医学部に入学。卒業後、須磨赤十字病院(現・神戸赤十字病院)で研修を始めた頃が内視鏡治療の草創期だったと振り返ります。
 「医師として患者さまに直接寄与したいという思いから消化器内視鏡の分野を選びました。内視鏡は、自分で病気を見つけてその場で治療する。そして技量の優劣がはっきりでる分野です。高いパフォーマンスを発揮するためにごまかしがきかないことが、私の性分に合っていました」

 神戸海岸病院、神戸海星病院の消化器病センター長などを歴任。国内で数多くの内視鏡検査に取り組み、世界十数カ国で講演やデモンストレーションを開催して手技を紹介しました。さらに、精密機器メーカー「FUJIFILM」のアドバイザーとして内視鏡機器開発に協力するなど臨床以外の場でも活躍してきました。

 2006年にクリニックを開業した三戸岡さんは、高い精度で腫瘍を診断する拡大内視鏡など先進の機器を備え、保険診療では難しい胃カメラ+大腸カメラ同時検査、日帰りESDなどに対応。検査時の負担を軽減する意識下鎮静法や、食用色素により微細な病変の発見につなげる経口色素カプセル法などを用いて診療を行っています。この方法は1995年日本消化器内視鏡学会賞を受賞しています。

#chapter2

鎮静剤により、昼寝をしている間に終わる内視鏡検査を実施

 患者と医師、双方が納得できる妥協のない医療の実現を目指している三戸岡さん。自由診療を採用した理由についてこう語ります。

 「40~50代で、大腸がんになる可能性のあるポリープを取り去れば、発がんリスクは低下します。食道がん、胃がんや大腸がんで亡くなる方は、早期発見ができず治療が遅れたケースです。内視鏡検査を定期的に受けて、がんを初期の段階で見つければ体を傷つけずに手術できます。初期の段階のがんは症状がありません。症状がないうちに患者さまがいつでも気楽に受けることができる『つらくない』検査・治療を実施する必要があると確信しました。『つらくない』をとことん追求するために自由診療を選んだのです」

 通常、大腸内視鏡検査は検査前に、約2リットルの腸管洗浄液を飲む必要があります。この洗浄液を「飲みづらい」と訴える人が多いことが、大腸内視鏡検査のハードルの一つと考えた三戸岡さんは「内視鏡的洗浄液注入法」を考案しました。

 「検査前に、腸管洗浄液を内視鏡(胃カメラ)を通して患者さまの小腸と胃の中に慎重に注いでいきます。この手法は勤務医時代、寝たきりで洗浄液を飲めない患者さまに、内視鏡を通して洗浄液を胃腸に注入し検査を完遂した経験を生かしたものです」

 同院の内視鏡検査は、洗浄液の注入も含め鎮静剤を使用します。眠っている間に検査・治療するので、不快な気分や痛みなどを感じることがないそうです。「患者さまにも『昼寝をしに来てくださいね』と言っているんですよ」と笑顔を見せます。

三戸岡英樹 みとおかひでき

#chapter3

生活環境を健全化すれば、本来の健康を取り戻せる

 さらに負担の少ない検査を行うため、三戸岡さんは大腸カプセル内視鏡検査を導入。「口から飲み込んだカプセル型カメラで小腸・大腸内を撮影します。一時脚光を浴びたのですが、カプセルを腸へと運ぶため、大腸内視鏡検査以上に多量の腸管洗浄液を飲まねばならず、普及が進んでいないのが実情でした」

 そこで、直径2ミリのチューブを鼻から胃に挿入して腸管洗浄液を直接腹部に注入する経鼻チューブ注入法を開発。「私も大腸検査で洗浄液を飲むのが苦手」と自らこの方法を試し、これなら楽に検査を受けてもらえると確信しました。

 「これまで数多くの患者さまのポリープやがんを内視鏡で治療してきました。しかし、治療は患者さまの体に起こった最終的な発露を治しているに過ぎず、がんになった体そのものを健全化しているわけではない」と語る三戸岡さん。健康を回復し病気の再発を防ぐため何をすれば良いかを追求し、たどりついたのが「生活環境の健全化」でした。

 2020年に、同院附属の「健腸研究所」で「体の養生、食の養生、心の養生」を組み合わせて本来の健康を取り戻す試みを開始。自身が断食と食養生で健康を取り戻した経験を患者に伝えると共に、交流を深めた栄養学や合気道の専門家と連携して指導にあたっています。

 また、合気道の有段者でもある三戸岡さんは同研究所に道場を設けています。合気道の他に、健康に関するセミナーや映画鑑賞などを開催するフリースペースとしても活用しています。「私の余生を使って、治療だけではなく病気にならない体をつくる手だてを伝え、患者さまの健やかな未来に貢献したいですね」と力強く話しました。

(取材年月:2021年7月)

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三戸岡英樹

がんの早期発見・早期治療・予防に取り組む消化器内視鏡のプロ

三戸岡英樹プロ

医師

医療法人社団 芦屋三戸岡クリニック

内視鏡一筋40年。痛みや不安に配慮した大腸内視鏡検査・治療に取り組んでいる。腸管洗浄液を飲まない大腸内視鏡・大腸カプセル検査・日帰り大腸ポリープ・がん手術に対応。

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