部品調達、生産改善の両面からモノづくり企業を支えるプロ
清水正樹
Mybestpro Interview
部品調達、生産改善の両面からモノづくり企業を支えるプロ
清水正樹
#chapter1
「調達・購買業務は利益を産む重要な業務です」と話すのは、「ロアゾー・ブラウ」代表取締役の清水正樹さん。ベンチャーや中小のモノづくり企業に向け、調達・購買業務の重要性を説き、自らコスト削減や生産効率化を行う実務を伴ったコンサルティングを行っています。
「調達は、部品の発注、納期調整、支払いをするだけの仕事と考えがちです。例えば、自分のお金を使うときに、値段を比べたり、セールを利用したりと、出費を抑える工夫をする人は多いでしょう。会社の支払い業務でも、家計管理と同じく支出を抑えることに目を向けると、利益増大の第一歩となります」と清水さん。
常に意識しておくことは、「利益とは売上と支払いの差であり、それを拡大し続けること」。余計な支払いを少なくするコスト削減が必須だと力を込めます。
また生産現場の見直しも手がけます。ある女性作業者が多い工場で、重く大きな部品を運ぶために周囲の作業者が手を止めて手伝っている状況に遭遇。すぐさま納品時の荷造りに重量制限を設けました。「生産性の改善には働く人の意欲が大きく関わるため、作業の一つ一つまで現場をよく見ることが大切です」
一口にコスト削減といっても、部品の仕入価格を下げるのか、加工時間の短縮を目指すのか、企業によって有効なアプローチ法は異なります。調達だけでなく生産現場の改善にも精通しているのが清水さんの強みです。
#chapter2
前職では、海外調達に長年従事し、積極的に新しい業務に取り組みました。当時社内では初となる加工部品のコンテナ輸入を手がけたそう。「当初は手探りで始めたため知識もなく、申告書類の不備で税関から呼び出されたり、表記ミスで不要な関税を支払ったりしたこともありました。海外企業との取引は、商習慣や考え方の違いもあり、事は簡単に運びません。ましてや安心して取引できる企業を見極めるのも一苦労」と話します。
海外企業を何社も現地訪問して信頼できる企業の選別眼を養い、さらに税関手続きや法規制も熟知しています。そうした経験をもとに、海外輸入部品を増やして原価低減に一役買っています。また数多くの品目を扱う場合、輸入経費も軽視できません。最後にトータルコストを抑えるために「乙仲(輸出入業者)」と交渉します。
学生の頃からなんとなく「会社が黒字を続けるのは大変そうだ」と思っていた清水さん。一方で、「いつかは自らモノづくりの会社を興したい。少しでも稼げるようにするにはどうしたらいいか」とも考えていたそう。
当時はいわゆる売り手市場で、大手企業が新卒を大量に採用していた時代でした。「大きな企業に就職するよりも小さくても勢いある会社の方がなにかと人手が足りずいろいろな仕事に携わることができ、会社組織と役割を早く理解できる」という視点で会社を選択。そこで体得した知識・ノウハウを活かして、今よりも“もうかる仕組み”を考える機会とアイデアを共有したいと考えています。
#chapter3
現在、数社で“利益を産む調達部門の組織づくり”をコーチングしています。うち一社は自社生産を始めた美容機器メーカー。その企業にはもともと購買部門がなかったため、すべての調達業務を代行しつつ、業務の引継ぎができるよう実務レベルで教えることに。組織作りは終わっていませんが、購買担当の育成につながりました。「『相談してよかった』と言ってもらえたときの達成感はクセになりますね」とにっこり。
多くのベンチャー企業が倒産する現状を憂う清水さん。〝コストダウンの重要性〟や〝利益を生む調達〟をテーマに、企業向けセミナーの講師も務めています。「売上目標に力が入るのは当然としても流出する資金をいかに小さくするかに注意を払わないと、すぐにお金が続かなくなってしまいます」と清水さん。大学生にも成長企業で得た知見を伝えるセミナーを開催しています。
「企業は永続しないといけません。安定した経営で、働く人とその家族が安心感を得られてこそ、本業に打ち込むことができます」
会社名の「ロアゾー・ブラウ」は、フランス語とドイツ語を組み合わせた「青い鳥」の意。由来は、前職時代に営業トークをアドバイスした何人かの取引先担当者からの言葉にあります。PRをしっかり聞いてもらえるようになり売上げアップにつながったという彼らから、「清水さんはわたしにとって幸せを運ぶ青い鳥です」と言われたとか。今後も社員の幸せにつながる利益を導く存在として、頼りになってくれるでしょう。
(取材年月:2021年9月)
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Profile
部品調達、生産改善の両面からモノづくり企業を支えるプロ
清水正樹プロ
調達・購買のコンサルティング
株式会社ロアゾー・ブラウ
アドバイス、実務サポートの両面で「結果出し」にこだわります。場合によっては調達先の選定、調達業務の請負にもお応えします。特に原価削減では実績ある海外仕入れの紹介だけでなく輸入業務も代行します。
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