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外国人材の教育により必要なスキルを養い、現場で活躍できるようサポート

日本の企業で活躍できる外国人材を各国から紹介・養成するプロ

豊田崇志

豊田崇志 とよだたかし
豊田崇志 とよだたかし

#chapter1

外国人材に特化した職業紹介を手掛け、特定技能制度の登録支援機関として就労者を支援

 「日本の人口減少やグローバル化を背景に、高度な技能を持った外国人のニーズは年々高まっています。日本語をはじめ、介護などのスキルを持った人材をマッチングさせることで、海外と企業の架け橋としてお役に立ちます」

 こう話すのは、神戸市の「英慧人材サービス」代表の豊田崇志さん。事業者に求職者をあっせんする有料職業紹介業を、外国人に特化して展開。国内の人手不足を補う特定技能制度の登録支援機関として、雇用する企業に代わって特定技能者の出入国から就労、生活をサポートしています。
 また、監理団体の委託を受けて、習得した技術を自国に持ち帰って広める外国人技能実習制度にも対応。各種カリキュラムを用意し、即戦力として活躍できるよう後押ししています。

 「一般に日本人よりも教育を受けた外国人材の方が、職場への定着率が高いと言われています。特に介護施設の場合は、入居者に対して配置するべき職員数を定めた『人員配置基準』の充足につながるなど、メリットは大きいですね。また都道府県によっては、技能実習生を迎え入れることで補助金が交付されることもあります」

 現場業務が安定するなど外国人材の登用は利点が多いですが、豊田さんは「雇う側も、安心して働ける環境作りが必要」と指摘します。
 「受け入れた人材が失踪する事業所は、労働環境や待遇で何らかの問題があるように思えます。私どもは、外国人材から出たクレームは企業にお伝えし、必要ならば追給などもお願いしており、外国人を頭数でしか見ないところには派遣をお断りしています」

#chapter2

1カ月間しっかりと日本語や生活ルールなどを教育。介護福祉士取得に向けた講座も開講

 外国人材の紹介に際しては、希望する企業に登録をしてもらったのちに、豊田さんが必ず客先へ出向いて面談します。
 「本来、営利企業としてはクライアントが多いに越したことはないのですが、残業代の未払いなど派遣先が法令違反を起こすと、私たちの信頼にもかかわってきます。ですので、受け入れの狙いや熱意を細かくヒアリングし、外国人の活用を真剣に考えている企業を選定しています」

 諸外国から豊田さんの元へ人材を送り出す、現地のパートナー選びも重要な任務。中国、インドネシアに繰り返し足を運んで適正に活動してくれるかどうかを見極め、最低限の日本語を身に付けた上で来日してもらうよう求めています。
 入国管理局(現・出入国在留管理局)でトップを務めた監理団体の外部理事とともに、現地の送出機関で、日本の入国管理法に関するセミナーも開いています。

 外国人材は来日してから約1カ月の間、豊田さんたちのもとでしっかりと指導。専任講師による日本語教室のほか、生活マナーを覚えるガイダンス、有給休暇など労働者の権利について習う講習も行います。
 「特に観光都市である神戸は、ごみ出しのルールが厳しいので、分別については丁寧に伝えるようにしています」

 就労後の教育にも力を入れており、2021年からは日常的な場面で使われる日本語を理解できる外国人材に向けて、介護福祉士の国家試験の対策講座をオンラインで開講。初の受験となった2023年は、11人中10人が合格したと言います。

豊田崇志 とよだたかし

#chapter3

料理人から「素材を生かす点で共通している」人材派遣の仕事に転身

 これまで、外食産業や食品加工業、建設業、介護福祉分野などの人材を育て、事業者へとつないできた豊田さん。以前は調理師として腕を振るっており、兵庫県芦屋市に日本料理店を構えていました。しかし、市街地の再開発事業にかかったため店を畳み、人材派遣会社を設立。異業種に挑戦することにしたのです。

 「当初は日本人を対象にしていたのですが、1990年代後半ごろから市場経済が落ち込み、非正規雇用が増えるとともに、実務の質が低下していると感じました。一方、異国で我慢強く、勤勉に働く外国人を見て、これからは外国人材が求められる時代だと思い、2007年に英慧人材サービスを立ち上げました」

 多忙な豊田さんですが、今でも台所に立ち、トマトソースを自前で作ったパスタや、圧力鍋を使った本格テールスープなどを手掛けます。かつては生業だった料理ですが、現在は貴重な息抜きの時間だとか。
 「料理人と人材派遣の仕事は、素材を生かすという点で共通しています。魚でも肉でも、下ごしらえをすることでおいしく仕上がるように、私たちも外国人材にきちっとした教育を施し、能力や専門性を職場で生かせるようにお手伝いしているのです」

 豊田さんは2024年10月、神戸市長田区に日本語学校を開設予定。日本の大学で学ぶ留学生でも難しいと言われる、日本語能力試験N1レベルを取得できる場を目指しています。
 「外国人材を入れてよかったとクライアント企業から言われるよう、今後も地道に取り組みたい」と語ります。

(取材年月:2023年7月)

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専門家プロフィール

豊田崇志

日本の企業で活躍できる外国人材を各国から紹介・養成するプロ

豊田崇志プロ

職業紹介及び日本語教育

英慧人材サービス株式会社

日本語の実習のほか、ごみ出しなどの生活ルール、労働者の権利についても講習。介護導入講習や介護福祉士資格の国家試験対策講座も開設し、2023年1月の試験ではベトナム人10人の合格者を出している。

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