書類作成や新人教育を代行し、建設・土木現場を支援するプロ山村大輝

書類作成や新人教育を代行し、建設・土木現場を支援するプロ

山村大輝

煩雑な書類作成や新人育成を代行し、働き方改革を実現に導く

　建設土木業界が直面する「2024年問題」に頭を抱える経営者は多いでしょう。2024年4月から適用される働き方改革関連法に基づく、長時間労働の上限規制により、時間外労働への対策は待ったなしの状況です。函館市にある「UNITED」代表取締役の山村大輝さんは、「建設土木業の総合サポート」を掲げ、業務効率化や人材育成の支援を行っています。

　創業以来、数多くの実績を誇るサポートが、書類作成代行です。着工前に各官庁に提出する施工計画書から、発注者への工事完了報告書までトータルで引き受け、ドローンによる進捗状況の撮影などICTも活用します。
　「多くの現場事務所では、現場作業を終えてから、残業して書類を作ることが常態化しています。業界全体で工事書類のスリム化を図る動きはあるものの、新技術に伴って書類が増えるなど、対応が追い付かないとの声は多いです。アウトソーシングで丸投げしていただき、現場をラクにします」

　最近増えている依頼が、新人や若手の教育です。自らも現場経験を有する山村さんは、現場目線を大事に、深刻化する「人材不足」の課題解消につなげます。
　「いきなり現場に入ると、覚えるべきことが多すぎて、新人がすぐ辞めてしまうケースはよくあります。家庭教師のように、現場作業から書類作成まで、仕事の流れを実践的に教え、2年ほどかけて一人前にします。第三者が入ることで日々の悩みも気軽に話せるメリットも。会社にフィードバックし、橋渡し的な役割も担います」。顧客からは「離職率が大幅に下がった」「新人の成長や悩みを把握できる」などの評価が寄せられているそう。

インフラ整備工事から経営コンサルティングまで、サポートの幅広さが強み

　書類代行や人材育成にとどまらず、トンネルなどのインフラ整備工事や建設会社の経営コンサルティング、異業種からの新規参入・事業承継の支援など、事業は多岐にわたります。
　「『これもできる？』という要望に応えていくうちに、どんどん幅が広がりました。できることを限定しすぎず、『困っていることは何でもお手伝いします』というスタンスが意外と気に入っています。〝住民説明会のチラシをつくって〟〝会社式典のスピーチを考えて〟など、よろず相談窓口のようにいろいろな悩みが舞い込みます」と笑顔を見せる山村さん。

　根底にあるのは、業界全体を良くしたいという思いです。建設土木サポート業のすそ野を広げるため、2022年には「土木サポート協会」を立ち上げました。
　「情報交換の場をつくり、業界全体の底上げにつなげたいと思いました。これからの時代は、一社だけが勝ち抜くのではなく、それぞれが得意分野を生かして活躍できる多様性が求められます。私どもと同じ、サポート業に興味があるという事業者も増えているので、ノウハウを共有します」

　今後は、映像コンテンツを活用した企業の魅力発信にも力を入れたいと話します。
　「どの会社も困っているのが、人手不足の問題です。過酷なイメージから若い人に敬遠されがちですが、ものをつくる現場にはかっこよさもあり、そこにいる人たちは誇りを持って仕事をしています。リアルな映像を通して土木や建設業のイメージを変え、発展に貢献したいですね」

クリエイティブなものづくりに専念できる体制づくりで、業界を盛り上げたい

　山村さんは、地元・函館市のゼネコンで約16年勤務しました。道路や橋梁工事の現場作業から監理技術者まで、実務経験を積みました。その後、家業を継ぐため、実家が営む建設会社へ。約6年役員を務めるも、折り合いがつかず独立し、2019年に「UNITED」を設立しました。
　「後継者問題を抱える事業者は多いので、自らの経験を失敗例としてアドバイスに生かしています。事業の柱に書類作成代行を考えたのは、私自身が現場にいたときに『こんな会社があったらいいのに』と思ったことがきっかけです。社名のユナイテッドは、〝みんなで力を合わせる〟の意。業界内で協力し合って、『共により良い未来を創ろう』との思いを込めました」

　業界で書類作成代行はまだ一般的ではなく、危機的状況で相談を受けることが多いと言います。
　「最近も『1週間後の提出期限に、間に合いそうにない』と依頼があり、緊急対応により事なきを得ました。〝断らない〟がモットーなので、こちらで対処できないことでも、全国のネットワークを生かして手を尽くします。『本当に助かった』と喜ばれることが原動力です」

　建設や土木に携わる人に向けて、山村さんはこうメッセージを送ります。
　「建設土木業は、未来を創るクリエイティブな仕事です。書類作成や日常業務に押されて、現場で働く人が、本来の面白さを感じられなくなっているのではないでしょうか。煩雑な業務は私どもが引き受けますので、良いものをつくることに専念してほしいですね」

（取材年月：2024年3月）

建設・土木現場の実務を総合的にサポートし、業界の未来を創る

煩雑な書類作成や新人育成を代行し、働き方改革を実現に導く

インフラ整備工事から経営コンサルティングまで、サポートの幅広さが強み

クリエイティブなものづくりに専念できる体制づくりで、業界を盛り上げたい

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