経営者の意思決定をサポートする会計のプロ甲賀伸彦

経営者の意思決定をサポートする会計のプロ

甲賀伸彦

月次巡回監査と月次決算でタイムリーな意思決定を促す

　税理士の甲賀伸彦さんは、「税理士法人トップマネジメント」釧路事務所の代表を務めています。釧路市を中心に、医療法人、社会福祉法人を始めとしたさまざまな企業に、会計業務を通して、経営の意思決定のサポートをしています。

　甲賀さんの事務所の特徴は、顧客企業に月次巡回監査を導入し、月に一度、担当者が訪問している点にあります。
　「月次巡回監査にこだわるのは、経営の意思決定には、売上、原価率、利益率など、タイムリーな数値の把握が重要だからです。正しい情報をもとにしなければ、正しい経営判断はできません。月次決算によって、業績管理や財務状況の把握が可能になり、企業の黒字化にも役立っています。中小零細企業だからこそ、毎月巡回監査をきちんと行っていくことで利益が出るなど、効果は大きいです」
　
　また、年度ごとに予算を立てることも重視。「過去・現在・未来という3つの数値をそろえることで、顧客の意思決定に役立ちます」と話します。さらに、経営にもPDCA（Plan、Do、Check、Act）が重要と考え、「予算を立てる→それを実行する→顧客と共にチェックする→さらに顧客がアクションを起こせるようにサポートする」というサイクルで経営を回していきます。
　
　「私たちは、いわばビジネスドクター。とりわけ、病気にならないような“健康診断”に力を入れています」
　月次巡回監査を行っていることが奏功して、企業支援策の「持続化給付金」の申請などもスピーディーに行えたそうです。
　「顧客が気づく前に給付の申請を提案できたケースもあり、喜んでいただきました。手続きはすべて無償です。コロナの影響で売上が落ちた顧客でも、最終的な利益はプラスになったところもあります。現在、顧客の60％が黒字を達成。やはり月次巡回監査の成果だと思います」

トップダウンでなくボトムアップ型。事務所運営も「ガラス張り」に

　甲賀さんは節税対策にも、税理士としての本領を発揮しています。「当たり前のことですが、節税対策は合法的な手段しか取りません。毎年、納税をしながらも、内部留保を積み上げていく顧客も多いです。税金の納付は世の中のためになること、税金を納めるときには、『社会に貢献できてよかったですね』とお客さまと話しています。お陰様でお客さまに税務調査が入ることも、非常に少ないです」

　甲賀さんは、「あそこの税理士事務所は、お固い！」という評判を耳にしたことがあるそうです。「そのときは、うれしかったですね。融通がきかないのは、きちんとした仕事をしているという評価と同義です。何よりのほめ言葉ですね」と相好を崩します。

　「これからも、まじめに経営したい会社をサポートしていきたいですね。それが、世の中の役にも立つことだと思っています」

　釧路事務所に加え、2019年には横浜事務所もオープン。トップマネジメントグループとしては総勢17人体制です。これら事務所の成長は、働きやすい体制づくりを抜きには語れません。会計業務の品質マネジメントシステムISO9001を取得し、職員全員が同じ品質で職務を遂行しています。年頭には、事業計画書を作成。目標達成に向けて、PDCAサイクルを回しています。

　「トップダウンではなく、ボトムアップ型の事務所でありたい」と、職員が自由に意見を言い合える風土を醸成し、事務所の財務状況をオープンにするなど、ガラス張りの経営を行っています。こうした取り組みに表れる甲賀さんの仕事への理念と熱意が、顧客からの信頼につながっているのかもしれません。

お世話になっている地元釧路のためになる仕事を

　大学時代、簿記3級の資格を取得するために入学した経理の専門学校で「面白そうなやつだな」と講師に抜てきされたことが、税理士の道へ進むきっかけとなりました。

「生徒さんには、個人商店をサポートする“店主の奥さん”も多く、実務上の疑問点などを聞かれることもありました。自分なりに調べて回答して、初めて『ありがとう』と言われたとき、ゾクゾクっと鳥肌が立ったんですよ。そのとき、とてもやりがいを感じて、会計を仕事にしたいと思いました」

　大学院修了後は、社会勉強とお金の流れを知るために外資系金融機関へ。バブル景気に沸いた時代。甲賀さんは毎日のように100万ドル単位のお金を動かしていたそうです。その後、税理士の資格を取り、地元の釧路で税理士事務所を開業。「男を磨け！」が信条という甲賀さんですが、一国一城の主あるじになったことで、それを実現しました。

　やさしい物腰で親しみやすい甲賀さんの人柄を感じられるのが、多方面での社会貢献活動です。ロータリークラブに所属し、開発途上国に井戸をつくる活動に参加。また、2014年からは北海道釧路方面公安委員に就任しています。

　甲賀さんは最後に、「お世話になっている釧路のために働きたい。また地元で納税したいので、ふるさと納税はしないと決めています」と地元愛も語ってくれました。

（取材年月：2021年2月）

「会計情報は、経営の意思決定のためにある」を理念に、顧客にとって安全性の高い経営をサポート

月次巡回監査と月次決算でタイムリーな意思決定を促す

トップダウンでなくボトムアップ型。事務所運営も「ガラス張り」に

お世話になっている地元釧路のためになる仕事を

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