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人生に寄り添う写真で、思い出を語り合う幸せなひとときを届けたい

コミュニケーションを大切にし「記憶を記録する」写真撮影のプロ

大玉泰規

大玉泰規 おおたまひろき
大玉泰規 おおたまひろき

#chapter1

七五三や結婚式といった記念写真、卒業アルバム、証明写真など幅広く撮影

 「今は、スマートフォンで簡単に撮影やデータ編集ができるようになりました。写真が手軽で身近になったからこそ、またSNSなどにアップする機会も増えたからこそ、ポーズやライティングにこだわった、プロの手による仕上がりの違いを知ってほしいですね」

 そう語るのは、1937年に北海道帯広市で創業した「ミドリ写真舘」の代表・大玉泰規さん。祖父の代から続く老舗の3代目として、地域に根差して活動。百日祝いや七五三、成人式といった子どもの成長に伴走し、ウエディングやマタニティーなど新たな家族のスタートにも立ち会ってきました。

 「お気に入りのワンシーンを部屋に飾っていただき、見る度にタイムスリップして、当時の情景や気持ちがよみがえる、そんな幸せな時間をお届けできたらと考えています」

 この世に生を受けて旅立つその日まで、人にはさまざまなライフイベントがあります。節目節目に携わる写真館は、「揺り籠から墓場まで、その方の人生を記録する場所」と大玉さん。喜びだけではなく、悲しい場面もありますが「ご家族を見守るホームドクターのような存在になれれば」と力を込めます。

 「スタジオにお越しいただく以外に、行事への同行も可能です。公園などに赴くロケーションフォトも受け付けており、結婚式の前撮りで利用するカップルもいらっしゃいます」

 他に、学校の卒業アルバム、食品や商品といった広告素材、パスポート、免許証などの証明写真に対応。そりを引く「ばんえい競馬」の血統種の種付けを撮ることもあるそうで、案件は多岐にわたります。

#chapter2

心をほぐすコミュニケーションで、良い表情を引き出すこともプロの技

 スタジオの上が住居で、祖父や父の背中を見て育った大玉さん。家族の記念日などをカメラに収め、子や孫へつないでいく様子に心をひかれていたそうです。

 「祖父の時代は、薬剤を塗ったガラス板に被写体を写す方法でした。その後、白黒フィルムが登場して父親の代にカラーとなり、現代はデジタルが主流となりました」

 自身が家業を継いだ1990年代初頭には、写真加工ができるソフトウエア「Photoshop」が登場。テクノロジーが進化しても、かなえられないこともあるとか。
 「ポートレートなど、後からいくらでも修正できると思われるかもしれませんが、現場でしかできない演出もあります。顔や足の角度、照明によって出来栄えが変わります」

 クライアントのとっておきの瞬間を捉えるため、丁寧なコミュニケーションを心掛けるのは昔も今も同じだと話します。
 「例えば、『あごを引いて胸を張って』では力が入ってしまいますが、『肩を楽に下げてください』とお伝えすることで自然に背筋が伸びます。お客さまの緊張を和らげる声掛けをするのもプロの技です」

 心を開き、信頼してもらうことで良い表情を引き出し、一瞬のシャッターチャンスを逃さないようにすることも、プロに求められる要素です。
 「人間観察から始まり、お客さまに寄り添う奥深い仕事です。AI(人工知能)で、本物と見間違うようなフェイク画像を制作できようになりましたが、今後はリアリティーと理想のバランスをどう取るかが大事になると思います」

#chapter3

1973年から撮影したネガを保管し「記憶」を記録するアーカイブの役割も

 数多くの家族の歴史を紡いできた大玉さんのもとには、「父が逝去したので遺影用に焼き増ししてほしい」といった依頼も入ります。
 「お父さまの具合が悪く、みんなが集まる最後の機会になるかもしれないと、帯広に帰省したタイミングで家族写真をご要望された方でした。ご本人は離れて暮らしているので、お父さまが亡くなった実感がなかったようですが、在りし日の姿を見て『撮影して良かった』と涙をこぼされ、感無量でした」

 また両親を自分の自宅に呼び寄せ、実家を解体するので、写真で残したいというオファーもありました。
 「お母さまが、散らかっているところを片付けようとしたので『そのままで大丈夫です』とお伝えしました。台所の食卓や蛍光灯についた長いひもなど、日常を切り取ってあげたいと思いました」

 1973年以降のネガは全てストックしていて、いつ頃の撮影だったかが分かればプリントできると言います。
 「『家族写真が色あせてきたので新しくしたい』という声に応えるなど、写真館には、大切な記憶を保管するアーカイブの役割もあるんです」

 アルバムやフレームのデザインを選んだり、実際に手に取って「あの時にこんな事があった」と振り返ったり、形にすることでデータにはない楽しさも広がります。

 「場所や着る服を考えるなど撮影自体が思い出作りであり、エンターテインメントの要素があります。プロが手掛けた『人に見せたくなる写真』で生活空間を彩り、会話のきっかけにしてもらえたらうれしいですね」

(取材年月:2023年11月)

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専門家プロフィール

大玉泰規

コミュニケーションを大切にし「記憶を記録する」写真撮影のプロ

大玉泰規プロ

カメラマン

株式会社ミドリ写真舘

地域の人々の人生を記録し続けている3代続く写真館。顧客とのコミュニケーションを重視し、顧客の理想を反映した写真撮影に努め、その写真を見て心が和み、幸せな時間を過ごせることを願い撮影する。

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