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「人手が足りない、でも温かい料理を提供したい」。その思いを独自の仕組みでサポート

施設の厨房における人手不足に向き合い解決策を提示するプロ

石井則好

石井則好 いしいのりよし
石井則好 いしいのりよし

#chapter1

「調理済み食材+再加熱器」のオペレーションシステム「快傑!モリッケ!」を提案

 日本で深刻化する人材不足。高齢者施設も例外ではなく、介護職のみならず調理スタッフの採用でも苦戦を強いられているようです。

 「弊社が拠点を構える北海道では、特に過疎地域で働き手がいません。そればかりか、今まさに厨房に立っている方の高齢化が進み、八方ふさがりの施設も多いです」と石井則好さん。

 自身が代表を務める「Co(コウ)」では、給食作業の効率化を図るため、調理済みの真空パック食材と再加熱器を組み合わせたオペレーションシステム「快傑!モリッケ!」を開発。必要なのは「食材を盛り付ける」「器ごと機器に入れてスタートボタンを押す」「出来上がった料理を配膳する」の3ステップのみと言います。

 「調理経験が無くても1人で約50人分を準備できます。しかも作りたてのようにホカホカで、食べた人はほっこりとあったかい気分に。社名の『コウ』には幸福や、幸せを運ぶコウノトリといった意味を込めているので、この仕組みを広めて多くのおじいちゃん、おばあちゃん、スタッフさんに笑顔の素を運びたいですね」

 温かくておいしいだけでなく、応用栄養学を専門とする北海道文教大学の松本准教授がメニューを監修。さらに社内の管理栄養士がバランスの取れた内容を考えます。

 「施設で作るのが一番という思いも尊重しますが、現実は『調理する人で味が変わる』『先に完成した料理が冷めてしまう』『そもそも人がいない』ですよね。人手、時間、コスト、将来性などに限界を感じているなら、無料でデモンストレーションするので、その利便性をぜひ体験してください」

#chapter2

イベント時には料理を振る舞い、施設と共に入居者を楽しませる姿勢が自社の強み

 以前は大手自動車会社に勤め、整備士や営業マンとして活躍していた石井さん。会社員として働きながらも、頭の片隅にあった起業への憧れを再認識します。

 「ある日、妻がふと口にした『人を助ける仕事がしたい』という一言で目が覚めました。それから二人で『手を差し伸べるべきは誰だろう』『お年寄りかもしれない』『しかも食事に困っているらしい』などと話し合い、一緒に高齢者向けのお弁当事業を始めることにしました」

 一人暮らしの人の自宅に赴き、顔を合わせて弁当を手渡す機会もあり「ありがとう。これで今日も生きられる」「こちらこそ、ありがとうございます」と、言葉を交わしたことが今も記憶に残っているとか。施設ごとに食材を送っている現在も「気持ちはあの頃と同じです。対面で話せなくても、温かい食事を提供できることを誇りに思います」と語ります。

 「とはいえ、真空パックで実現できるメニューには限りがあります。だから夏祭りなどのイベント時には施設に出向き、厨房を借りてその場で唐揚げや天ぷらを作ったりします。また、施設近くのお寿司屋さんと交渉し、生ちらし寿司を用意することもありますね。施設の大小は問わず、私たちの手間は気にせず、共に入居者を楽しませるスタンスが弊社の強みです」

 石井さんが手掛けたシステムは自衛隊にも受け入れられ、道内の分屯地に朝食を手配しているとのこと。品質やコストに加え、的確に栄養管理されている点が採用理由のようです。また、官公庁と取引できる全省庁統一資格も保有しています。

#chapter3

「モリッケ」は省スペース化にもつながるため、施設の設計段階から相談を

 今後は過疎地を中心にサポートの範囲を広げていきたいと力を込める石井さん。「手作りの食事を出さなければならない」という固定観念から離れられない施設に、新たな視点もたらしたいと言います。

 「弊社の資料を何度も読み返し『覚悟を決めて肩の荷を下ろした』という施設さまもいました。私たちのご提案で厨房スタッフにゆとりが生まれたら、介護職の支援にも回れますよね。『モリッケ』と手作りの献立を併用すれば、もっと気楽に“こだわり”を守れます」

 北海道以外からの依頼には提携会社を紹介し、また調理工場を各地に展開しようと計画中です。

 「現在は仙台で試験的に稼働させていて、スタッフ3人で1日に約600食をまかない、七つの施設に配送しています。ラーメン店程度のスペースがあれば十分に開業できるので、少ない負担で全国どこでもトライ&エラーを繰り返せますね。工場との連携を強化し、災害時にも安定して食事を供給できるよう体制を整えています」

 新規で高齢者施設を建てるなら、設計段階から声を掛けてほしいとも。自社のサービスを導入してもらうことで厨房を縮小でき、入居者用の部屋を増やせるだろうと提言します。

 「とにかく、一緒に考える機会を頂きたいですね。私たちが大切にしているのは毎日食べても飽きない家庭の味で、これからも皆さんの『人生の食卓』を再現し続けます。また、認知症対策のケトン食を学び、がん患者の食習慣を考える『命の食事』の認定チューターでもあるので、各種アレンジもご相談ください」

(取材年月:2023年11月)

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石井則好

施設の厨房における人手不足に向き合い解決策を提示するプロ

石井則好プロ

加工食品製造・販売

Co株式会社

高齢者施設などで深刻化する厨房スタッフの人手不足を解消すべく、真空パック食材と専用調理器によるオペレーションシステムを開発。スタッフ1人で約50人分の食事を提供できる上、作りたてのような温かさも魅力。

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