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住み手と一緒につくる、ひとり一人にしっくりなじむ木の家

ひとり一人の暮らしに寄り添い・多様な木の家を手掛けるプロ

ねぎもとあやこ

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#chapter1

日本の気候風土に根付いた「木のルール」を大切にしながら、木造住宅や古民家再生に取り組む

 「家は心と体が安定する場所。洗練されたデザインも素敵ですが、自分にしっくりなじむ空間であることが大切なのではないでしょうか」と語るのは、「建築設計 LEFTHANDS 一級建築士事務所」代表のねぎもとあやこさん。新築や古民家再生を手掛け、木とともに歩む建築を実践しています。

 梁や柱の木組みを扱う中で感じるのは、日本の気候風土に根付いた「木のルール」の奥深さだといいます。樹種ごとに異なる特性や強度、木目の美しさ、歳月を経て変化する色や質感。そうした木々が奏でる「リズム」を生かすことで、私たちの暮らしに寄り添う住空間が生まれるのです。

 「例えば、山の北側に生えていた木を家の北側に使うといった考え方を学びました。木を一本の素材としてだけではなく生命体としてあつかう先人の知見を、大切にしていきたいですね」

 国産材を使いたい、合板や接着剤は避けたいなど、多様な要望に応じるのもプロの役割。古民家再生においては、もともとの建築の良さを大事にしながら手を入れていきます。「設計者はデザインをする人」と思われがちですが、それはあくまで一面にすぎません。たとえ部分的な改修でも、建物全体のバランスを見極めることが、ねぎもとさんのポリシーです。

 目指すのは、施主と共につくり上げる心地よい空間。
 「お客さまも私も、お互いが出会ってよかったと思える、そんな家づくりを続けていきたいですね」

#chapter2

季節を感じながらのプランづくり、暮らし方や思いを丁寧にヒアリング

 ねぎもとさんの設計は、時間をかけてじっくりと進むのが特徴です。それは、移り変わる季節の中で施主の方にも家について考えて欲しいという思いがあるから。夏と冬で光や風の入り方がどう変わるのか、周囲の環境を読み解きながら、最も心地よいかたちを探っていきます。
 
 まず敷地において、玄関や駐車場の位置等を施主と共に話し合います。家全体のボリュームを俯瞰しながら、どこにリビングを配置するか、各空間をどうつなげていくかを、多彩な提案を比較してもらうことから設計が始まります。いきなり完成の間取り図を描くのではなく、設計の各プロセスでヒアリングを行うことで、漠然とした要望が少しずつ形を成していくのです。

 「質の高い建築を実現するには、工事監理も欠かせません。窓の高さや仕上げ材など、あらかじめ仕様を決めていても、実際の現場で確認すると印象が異なることもあります。だからこそ、施工の現場できめ細やかにチェックし、家ができていく過程をお客さまにも見ていただくことで、より深い安心感につながるのではないでしょうか」

 また、建築士は「調整役」であり、同時に「伴走者」でもあるとねぎもとさん。
 「家づくりはお金も労力もかかるので、『うまくいくんだろうか』と不安になる方も多いんです。だからこそ現場に関わる人たちをつなぎながらものづくりのための良い雰囲気をつくっていくのも私の役目だと思っています」

 職人とも対話を重ね、知識を引き出しながらよりよい家づくりを追求。丁寧な設計と施工監理が信頼につながっています。

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#chapter3

木造に25年以上携わった経験を生かして、家づくりのスタートを支える「建築カウンセリング」も始動

 ねぎもとさんは、広告業に携わる父が素人ながら自ら間取りを描いた家で育ち、幼い頃から建築に興味を深めました。進学した熊本大学では、環境デザインに配慮した建築を創造する「くまもとアートポリス」に関わり、世界的な建築家と交流する機会にも恵まれました。建築という世界に触れ、「人生が楽しくなった」と振り返ります。

 卒業後は東京で都市計画や建築設計の実務経験を積み、広島に戻ってからは資金を貯めてヨーロッパを放浪。旅先では、人々が自ら家の外壁を塗り替え、住環境をつくりだす姿に出会いました。その光景に目にして、「大きな建物を設計することだけが建築ではなく、自分たちの心地よい空間をつくることもまた建築」と気づき、その後の設計にも影響を与えています。

 帰国後、29歳で設計事務所を立ち上げ、木造住宅を中心に25年以上にわたって多様な住まいづくりを手掛けてきました。時を重ねるごとに、建築への思いはさらに深まり、現在は「木を利用したまちづくり」にも目を向けています。
 「今の時代は、木造でも大規模かつ耐火性の高い建築が可能になりました。木の良さを理解したうえで、まちの中に木造の建物を増やしていき、次の世代につないでいきたいのです」

 さらに新たな取り組みとして「建築カウンセリング」も始動。「作成してもらったプランを手直ししたい」「相続した家の活用法を一緒に考えてほしい」といった相談から、家づくりを始めたい人の言葉にできない問いにも、建築に関するあらゆるテーマに応える場を開設。思いを引き出し、空間づくりのスタートを建築士として支えます。

(取材年月:2025年9月)

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一級建築士

建築設計 LEFTHANDS 一級建築士事務所

木造住宅や古民家再生の経験を生かし、環境や多様な暮らし方にあう計画を提案。日本の自然環境にある木材を生かし、構造・意匠・素材の木のリズムでととのえ、安心感と温もりに満ちた住空間を実現します。

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