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「住み慣れた家で、自分らしい、自分が望む人生を送りたい」という声に応え、訪問介護でサポート

高齢者と障がい者の生活をサポートする訪問介護のプロ

溝口裕利子

溝口裕利子 みぞぐちゆりこ

#chapter1

必要な時に必要な人に支援が行き届くよう365日24時間態勢で、重度訪問介護にも対応

 「年齢を重ねても、障がいがあっても、『住み慣れた家で自分らしい人生を送りたい』という希望をかなえる方法があることを多くの方に知ってほしいですね」と話すのは、「Mana」の代表・溝口裕利子さん。安芸郡熊野町に拠点を置き、高齢者や障がい者に向けた訪問・居宅介護事業を営んでいます。

 「積極的にコミュニケーションを取りたい方もいれば、あまり関わらないでほしいという方もいます。認知症の方は環境の変化を嫌がるケースも多いため、2~3人で担当スタッフを固定するようにしています。利用者さんとご家族の意向をくみ取りながら、ケアをしています」

 特徴は、365日24時間対応し、肢体、知的、精神障がいなどが重い重度訪問介護サービスも提供していること。必要な時に必要な人に支援が行き届くようにしたいと、志を共にするスタッフとともに業務にあたっています。

 「難病で長く入院されていた方は、症状が重く受け入れてくれる施設もない状態でした。以前は介護保険しか利用されていなかったのですが、より手厚いケアが受けられる重度訪問介護を活用することで、自宅に戻ることができたのです。ご本人から『私の人生が変わった』との声をいただき、ご家族や幼なじみの方も『そばにいられる』と言ってくださいました」

 心掛けているのは、介護する側とされる側という関係の前に、1人の人間として関係性を築くことだと語ります。
 「日々変化する利用者さんの状態を察知する観察力、介護に関する技術はもちろん必要です。もっと大切なのは相手を尊重する心ではないでしょうか」

#chapter2

手厚いサポートのもと父を自宅で看取った経験から、恩返しをしたいと介護の道へ

 溝口さんは、結婚後子育てに専念していましたが、子どもが小学校高学年になったのを機に、パートタイマーとして再就職しました。充実した毎日を送っていましたが、やがて父親が高齢となり介護が必要に。

 「ヘルパーさんや訪問看護師さん、ケアマネジャーさんに大変お世話になりました。いよいよ体調が悪化し入院を余儀なくされましたが、最後は自宅で看取りたいという思いが強くなったんです」

 病院でたん吸引や胃ろうカテーテルから栄養剤を注入する方法を指導してもらい、退院。訪問介護などの援護を受けながら約1年間わが家で過ごすことができました。

 「父を見送った後は、『こうすればよかったかな、あれもできたんじゃないか』という後悔から逃れられませんでした。けれど時間がたって振り返ると、そのとき置かれた環境においてできることは、120%力を尽くしてやれたのではと思います」

 かけがえのない経験を得られた恩返しをしたいと、介護の仕事に携わることを決意。高齢者向けのグループホームに転職し、働きながら資格取得の勉強にも打ち込みました。その後、障がい者の居宅介護に移り、自宅に赴き心身の状況や生活に応じたサポートに携わります。

 「利用者さんのもとに顔を見せて『今日も来てくれたのね』という笑顔をいただくだけでうれしいです。気持ちを通わせながら、皆さんの生活を支えられることにやりがいを感じています。介護の世界に足を踏み入れるきっかけを与えてくれた父に感謝しています」

#chapter3

産前産後のケア、ヤングケアラーの家庭のサポートも。幅広い世代の日常を支える

 2023年、溝口さんは「共に考え、共に喜び、共に歩む」をモットーに創業しました。

  「介護は事前にメニューを組み立てるケースが多いんです。私どもは利用者さんが望む生活を一緒に考え、日々のささやかな願いをかなえて喜び合いたいと思っています。病気や障がいを抱えるつらさや不安にも寄り添い、ともに歩んでいくことが目標です」

 例えば、車いすでの移動も難しい利用者は「買い物には出掛けられないけれど店頭の商品を見たい」と要望。ビデオ通話アプリを用いてスタッフが店内の商品を映し、本人が買いたい物を選べるようにしたそうです。

 「寝たきりの高齢の方は、おむつ交換をして差し上げると心も軽くなるのか、『じゃ、どっか行こうか』とおっしゃるんです。ケアマネジャーに相談し、週に1回スタッフを増員して車いすへの移乗を介助し、縁側で食事ができるようにしました」

 さらに、熊野町の産前産後支援ヘルパー派遣事業に参画し、近年社会問題となっているヤングケアラーの家庭支援にも従事。幅広い世代をサポートしている溝口さんが最も伝えたいのは、介護サービスをもっと積極的に活用してほしいということ。

 「他人が家に入ることに抵抗がある方、費用負担を考えて二の足を踏む方もいらっしゃるかもしれません。事業所はたくさんあるので、ご自身に合う所があるはずです。一人で抱え込まないで、ぜひお近くの居宅支援事業所や相談支援事業所で悩みや困りごとをお話しください。課題に応じた提案により日常を見守ります」

(取材年月:2024年10月)

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溝口裕利子

高齢者と障がい者の生活をサポートする訪問介護のプロ

溝口裕利子プロ

訪問介護

Mana株式会社

安芸郡熊野町を拠点に、高齢者や障がい者が自宅で自分らしい生活を送れるようケアをしています。必要な時に必要な人にサービスを届けるため365日24時間サポート。より手厚い支援が可能な重度訪問介護にも対応。

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