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住み慣れたわが家から旅立てるよう、故人や遺族に寄り添った自宅葬を提案

葬儀業界20年のキャリアで自宅葬・家族葬をサポートするプロ

廣田篤

廣田篤 ひろたあつし
廣田篤 ひろたあつし

#chapter1

母の在宅介護を機に、広島で自宅葬・家族葬を手掛ける会社を設立

 人生の最期をわが家で迎えたい。そんな願いをかなえるのが、「広島自宅葬儀社」の代表、廣田篤さん。

 「昔はお家でお葬式をするのが一般的でしたが、昨今は減少傾向にあります。『自宅葬は広いスペースがいるのでは』と心配するかもしれませんが、六畳一間あればできます。今一度、選択肢の一つとしてご検討いただきたいですね」

 広島の大手葬儀会社に約20年勤め、母の在宅介護を機に自宅葬や家族葬をメインとした事業を立ち上げました。
 「ケアを始めたとき、旅立ちの時を家で迎えることも視野にありましたが、経験上、葬儀社に頼むのは容易ではないとわかっていたので、母のために自分がやろうと。私と気持ちを同じくする方々の力になりたいという決意もありました」

 近年は、家族葬のような小規模な式が増加。コロナ禍によって、葬儀のあり方について見直す人も増えています。
 「自宅で、家族だけで行うのであれば人との接触は最小限。専用会館を使用しないので移動の負担も少なく、費用も抑えられます」と廣田さん。マンションでエレベーターがない、階段が狭い場合でも棺(ひつぎ)を部屋に運び入れることはできると言います。

 遺族の望む形で執り行えるのも自宅葬ならでは。プロ野球球団のファンだった故人を偲び、テレビで野球観戦をしながら送った家族もいたそうです。
 「試合が盛り上がるたびにメガホンをたたいて、『お父さん、見よるか?』とお声を掛けていました。儀式だけでなく、出棺するまでの時間すべてが自宅葬なのだと感じ入りました」

#chapter2

故人や遺族の思いをくみ取った葬儀プランで送り出す仕事は天職

 1978年に広島の熊野町で生まれた廣田さん。小・中学生の頃は勉強が得意で、父の影響で地元球団を、その他にもサッカーなど興味のあることに次々にのめり込むタイプでした。
それでも将来やりたいことは定まらないまま時が過ぎて広島経済大学へ。「東京の大学に行きたかったけど、ずっと広島におってよかった。地域への思いが育まれたから」と話します。

 就職氷河期といわれた世代で、職が決まらぬままアルバイトをしながら実家暮らしをしていたある日、母から「あんたにもできるけ、やってみんさい」と促され、葬儀業者に入りました。
 「実際には大変で母に文句を言ったことも(笑)。でも今では天職と思っているので母に感謝しています」

 当時、業界は年配者が多く、20 代前半は珍しかったそう。「入社時、最も年が近い人で10歳上でした。個人の裁量に委ねられる部分も多く、個性を発揮しやすくて私には合っていました」

 例えば、故人がプロ野球を好きだった場合、担当者によってさまざまなプランが生まれます。「野球場をイメージした祭壇を作る人や、霊柩車が球場周辺を通るようにする人、出棺時に球団の応援歌を流す人とか。担当者次第でお葬式はすごく変わるんです」

 廣田さんはこれら三つを提案し、実行。遺族に驚きと感動を与え、お礼の言葉をもらいました。
 「現職を通じて、何をしたら相手が喜んでくれるかを考えるのが好きだと気づきました。『ありがとう』と言われると、自分が人の役に立ったと実感できてうれしいですね」

廣田篤 ひろたあつし

#chapter3

終活に関する相談にも対応し、地域に貢献していきたい

 前社に在職中だった2020年の年始、廣田さんの母は脳梗塞で倒れました。要介護5となり、医師からは設備の整った施設への入所を勧められましたが、「母は家が大好きで入院中も帰りたがっていたから」と在宅介護を選びました。
 「退院してわが家に戻った母は涙を流して喜んでいました。今も忘れられない1日です」

 当時、県内9施設を統括する責任者を務めていたことから、まわりに迷惑をかけられないと退職。自宅で仕事がしやすいWebコンテンツの運営会社を興しますが、自宅葬の実現を目指すように。2021年4月に県が策定した「第8期ひろしま高齢者プラン」にも背を押され、同年12月に創業しました。

 「当社の理念は『できません』は絶対に言わないこと。難しい場合は、必ず代替え案を複数出します。それが葬儀屋のプロとしての価値であり、本領を発揮するところ」と廣田さん。心には強い地元愛があります。

 「料金は、県内全域で一律にしています。広島のどのエリアでも同じサービスを受けられることにこだわっていきたい。自分なりの地域貢献です」
 終活カウンセラーとして、エンディングに関する相談を無料で受けているのもその一環です。
 「『広島で終活サポートならこの人』という存在になりたいですね。夢としては、自宅葬に対応できない人のために、住まいのようなアットホームな斎場を造るとか、応援している地元のプロ野球やサッカーチームのスポンサーになるとか、たくさんあります」と熱く語りました。

(取材年月:2022年6月)

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専門家プロフィール

廣田篤

葬儀業界20年のキャリアで自宅葬・家族葬をサポートするプロ

廣田篤プロ

葬祭業

広島自宅葬儀社

広島で葬儀20年のプロが母の在宅介護を機に、自身も望む自宅・家族葬を広島全域、均一料金でサポート。終活カウンセラーとして広島の葬儀に関する相談窓口にもなっている。

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