中小企業の集客やDX化をデザインするプロ下川貴宏

中小企業の集客やDX化をデザインするプロ

下川貴宏

ITツールの導入、ホームページやチラシといった販促物の製作に対応

　「インボイス制度のスタートや電子帳簿保存法の改正などにより、地方の中小企業は急速なデジタル化の波にさらされています。『ITツールを取り入れたいが、何をすればよいか分からない』という方々の力になるのが私の使命です」

　こう話すのは、福岡県須惠町の「和禅雅」代表の下川貴宏さん。企業の収益向上や業務効率化をかなえるため、集客やIT導入をサポート。ホームページやチラシなどの販促物の製作も請け負っています。

　「特に力を入れているのは、中小企業や個人事業主のDX（デジタルトランスフォーメーション）化です。確定申告一つ取っても、所得から最大65万円が差し引かれる特別控除を受けたいが、要件となる電子申告の方法が分からないといった方が多くいらっしゃいます。当方はパソコンの電源の入れ方から教えますので、お気軽にご相談ください」

　経営コンサルティングも手掛け、顧客のビジョンを実現するために尽力する下川さん。市場開拓・新規獲得などの際に利用しているのが、自作の冊子「事業計画の種」です。強みやターゲットなどを顧客とともに書き進め、効果的なアプローチ方法を導き出します。

　「お客さまそれぞれに方針や目標、解決したい課題も違いますから、コンサルやホームページ作成にテンプレート、いわゆるひな型はありません。当初の予定と異なった成果物に仕上がることもありますし、お客さまと熱い議論になることがあります。『痒いところに手が届く』『自分のイメージを具現化してくれる』と、お礼の言葉をいただいた時が一番うれしいですね」

“免税事業者”に特化？インボイス対応の請求書発行システムを開発

　「顧客の要望を細かく噛み砕くこと」をモットーとする下川さん。依頼主との対話でコンセプトやゴールを明確にした上で、ビジネスの伸展につながる戦略をブラッシュアップします。

　「地元の建材販売会社では、宅配ボックス設置・保守事業の立ち上げをお手伝いしました。集合住宅で新設するには、設備購入や工事で数十万円以上の費用がかかります。他社と差別化を図るべく、月5000円でレンタルするプランを提案して採用され、問い合わせが増えました。WEB広告や自社サイトでの宣伝、管理システムの構築などでもお役に立つことができました」

　各種販促物づくりでは、顧客が掲げる方針や目的に合わせてデザインを描き、成果を上げています。
　「ある外壁塗装業の方のチラシをお任せいただいた際は、『自分たちの取り組みを地元に根付かせたい』というご希望を聞き、サービスの宣伝は止めて自己紹介を主体としPRしました。その結果、認知が広がり依頼も増えたようで『地域で存在感を示すことができた』と喜ばれましたね」

　さらに、個人事業主など消費税の免税事業者を対象に、税理士監修のもと請求書発行システム「ワンポチ」も開発。インボイス（適格請求書）登録をしていない人と取引していても、経過措置として設けられている税額控除に対応した、正確な金額の請求書を作成できます。

　「建設業の一人親方やフリーランスの方を想定して作ったサービスで、スマートフォンでも簡単に操作が可能。売り上げ管理や封筒の宛名印刷なども行えますので、ぜひご活用ください」

キャリア教育の一環として中学校でAI問題の授業も行い、地域に貢献

　33歳まで温泉旅館のフロント係など、サービス業に従事していたという下川さん。趣味の一環でホームページ制作を学び、その面白さにひかれていきました。IT企業にも勤め、WEB集客について知見を深めたのち、2016年に故郷で独立開業しました。

　「福岡市の東隣に位置する須惠町は、工業団地や中小企業が立地するものづくりのまちです。少しでも地域に貢献できればと、地元商工会の青年部に加入。仲間たちと支え合いながら事業を営んできました」

　屋号は、下川さんの好きな漢字を並べて考えたとか。「和」には相手を尊重し自分を出しすぎないという姿勢を表現。「禅」には真の目的を探求するという意味を込めており、品のある仕事を「雅」で表しています。「よく居酒屋や呉服店に間違えられるんですよ」と笑います。

　地域経済の活性化を後押しする傍ら、キャリア教育の一環として地元中学で出前授業を行ったことも。須恵東中学校では、AI（人工知能）が人間の知能を追い越していくという2045年問題を取り上げ、「思いやりがある人、気が利く人は必ず人に求められる。その強みがあればAIには決して仕事を奪われることはない」とメッセージを送りました。

　「特に中小企業で働いている方々は、時間に追われて疲弊している印象があります。デジタル化でつまずいているお客さまに寄り添ったアドバイスで心を通わせ、実務や組織に則したツールを提供することで業務の利便性を上げ、生産性を高めていく支援を続けたいですね」

（取材年月：2023年11月）

「効果を生むデザイン、計算された経営戦略」で集客やDX化をサポート

ITツールの導入、ホームページやチラシといった販促物の製作に対応

“免税事業者”に特化？インボイス対応の請求書発行システムを開発

キャリア教育の一環として中学校でAI問題の授業も行い、地域に貢献

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