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伝統を受け継ぎながら、現代の暮らしに合う節句人形を多彩に展開

伝統と革新のオリジナル商品で親心に寄り添う節句人形販売のプロ

大松忍

大松忍 おおまつしのぶ
大松忍 おおまつしのぶ

#chapter1

7割以上がオリジナル商品。博多織の「弥三右衛門」シリーズが人気

 日本では古くから、人形が信仰の対象となったり、厄払いに用いられたり、時には子どものおもちゃとして遊び相手になるなど、さまざまな役割を果たしてきました。

 今も受け継がれるひな人形や五月人形は、生まれた子どもに災いがふりかからないように身代わりとなり、無病息災を祈願するものです。

 「昨今は核家族や共働きが増え、おじいちゃんおばあちゃんと世代を超えて交流したり、家族でゆっくり過ごしたりする時間は取りにくくなっているのではないでしょうか。おひなさまやかぶとを飾り、みなさんが集まって絆を深める機会にしていただけたらうれしいですね」

 そう話すのは、福岡県太宰府市に本店を構える「人形の松屋」代表取締役の大松忍さん。羽子板や破魔弓といったお正月飾りを含め、節句人形を各種展開しています。

 「業界ではセット品を一括で仕入れて販売するのが主流ですが、私どもは自社で企画・開発を行い、7割以上がオリジナル品です。また各地の製造元に足を運び、自らの目で良い品を見定めて商品を構成しております。洋風のお部屋になじむモダンなデザインや、住空間に応じたコンパクトなサイズをそろえているのが特長です」

 中でも人気なのが、福岡県を代表する伝統工芸・博多織をあしらった「弥三右衛門」シリーズです。
 「幅広い織物の中から、江戸時代に筑前藩主・黒田長政が幕府に献上した格式高い『献上柄』を選びました。親が子を守る様子を表した『親子縞』と、子が親を慕う意味を持つ『孝行縞』に、お子さまの健やかな成長への願いを託しています」

#chapter2

職人の魂が込められた人形を扱う者として、節句人形アドバイザーも取得

 1972年に創業した「松屋」の2代目である大松さんは、都内の大学を卒業後、大手の人形卸会社に入社。職人の工房を訪れ、その繊細な仕事に魅了されます。

 製作は分業制で、いわゆる“人形師”は着付けを担当します。他に頭師、髪付師、手足師、ぼんぼりなどを作る小道具師と、多くの人の手を経て初めて完成します。
 「一つ一つ精魂込めて手作業で仕上げる姿を目の当たりにして、こんなにも美しく、厳しい世界があるのかと。職人の魂が宿っていますから、大切にお客さまのもとへ届けなくてはと、身の引き締まる思いがしました」

 修行を終え家業に就くと、培ったノウハウやネットワークをもとに商品づくりに取り組みます。
 「江戸時代の技法に現代の色彩を取り入れ、内閣総理大臣賞ほか数々の賞に輝いた人形作家や、伝統の技術を使って新たなアイテムを生みだす若手の節句人形工芸士などと組んでいます。作品はもとより、ひたむきな姿勢にもほれ込んだ職人さんとご一緒できることに心が躍ります」

 大松さん自身も、日本人形協会が認定する節句人形アドバイザーを取得。四季折々の節句行事や、節句人形の製作工程、歴史的背景などを熟知するプロとして活動。福岡市と佐賀県唐津市の各店舗にも有資格者を配置し、相談に応じています。
 「地域によって風習が異なる場合もあり、戸惑うこともおありでしょう。どんなことでもお尋ねください」

 大安や友引の日を選んで発送する細やかな心遣いも喜ばれ、全国から注文が入るそうです。

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#chapter3

こいのぼりなどの設置・片付け・保管や、人形供養の代行サービスも用意

 大松さんのもとでは、こいのぼりや武者のぼりの設置・片付け・保険がセットになった「おまかせっち」も用意。毎年100件以上、累計2000件以上の受注実績を誇ります。

 「スタッフが現地を確認し、コンクリートの駐車場、屋上など、それぞれの場所に適したセッティング方法をご提案します。『屋根に引っかかった』『強風で降ろせない』といったSOSにも無料で応じます。使用後のクリーニングや保管もお任せください」

 また、飾らなくなった人形を預かり、感謝を込めて送り出す人形供養の代行サービスも実施。初盆用の祭壇やちょうちんを販売するほか、レンタルにも対応しています。

 今後の展望としては、「全国の方に博多織の魅力をもっと知っていただきたいですね」と語ります。
 「私どもは、地元の素材を用いることにもこだわってきました。『弥三右衛門』シリーズでは、だるまやふくろう、招き猫といった日常的に飾れる小物もそろえています。ホームページで紹介していますので、ぜひ一度、そのかわいい姿をご覧ください」
 
 さらには「地域のお役に立ちたい」と、プロサッカークラブ「アビスパ福岡」、女子サッカークラブ「福岡J・アンクラス」のオフィシャルスポンサーを務めています。
 「チームが子ども向けのスポーツ教室を開いたり、街の清掃をしたりしていると知り、協力させていただきました。地域の子どもたちに、心身ともに健康に育ってほしいという気持ちは当社も同じ。これからもできることを見つけて取り組んでいきたいと思います」

(取材年月:2023年9月)

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節句人形アドバイザー

人形の松屋

日本の伝統文化を受け継ぎ、次世代に残していく為に、新たなライフスタイルに合わせた節句人形の開発を心掛けています。博多織をはじめ伝統工芸を取り入れ、こだわりの商品を提供する事が使命だと考えています。

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