目に見えない世界のエネルギーを描き出すアートのプロ八坂圭

目に見えない世界のエネルギーを描き出すアートのプロ

八坂圭

形がなく心でしか感じられないもの、言葉にならないものを絵で表現していきたい

　「私のアートの世界は潜在意識というか、目には見えない部分という感覚をすごく大事にしています」

　柔和な表情でそう語るのは、「八坂圭アートスタジオ」の主宰でアーティストの八坂圭さん。見たものを見たように描くのではなく、自然界のエネルギーなど見えないものを感じ取りながら、無意識に任せて絵筆を走らせる……。そんな独自の手法で創作したアートを、長年人々に届けてきました。その独創的な作品は、現代美術のカテゴリーには収まりきらないもの。「そこにこそ、多くの人が響いてくれているんです」と話します。

　福岡を拠点に、作品の制作販売、イベント開催、アートレッスン、グッズ制作など多彩な活動を続ける八坂さん。その中心にあるのは、「目に見えない部分をアートとして表現する」というテーマです。
　例えば、ポートレートの制作サービス「エナジーポートレート」では、依頼者と潜在意識でつながり、感じ取ったエネルギーを描き出します。つまりその人の外見ではなく、内なるエネルギーの肖像画へと仕上げていくのです。
　「天国に旅立ったペットでも制作が可能で、『見えなくてもそばにいると思っていたけれど、作品を見てそれを臨場感をもって実感できた』というお声をいただいたこともあります」

　またアート講座「インナーアーティスト®覚醒講座」は、絵の技術的な上達ではなく、創造性を目覚めさせることを目的にしたカリキュラムを構築。いずれも目に見えない部分こそ重要と考える八坂さんならではの内容で、一般的な肖像画や絵の講座とは一線を画すものです。

水木しげる氏の世界にひかれた幼少時代。パプアニューギニア留学中の体験が原点に

　福岡で生まれ育った八坂さんは、幼い頃から不思議と目に見えない世界にひかれたと言います。
　「とりわけ漫画界の巨匠・水木しげる氏の描く、どこか温かみある妖怪の世界が好きでしたね。作品に親しむ中で、水木氏とゆかりの深いパプアニューギニアと、その精霊文化への関心を深めていきました」

　また高校生のときには、交換留学で行ったオーストラリアで、先住民族アボリジニのアートに魅了されます。そして多摩美術大学大学院を修了後、パプアニューギニアに留学。人と自然界の精霊が共に生きる世界に身を置き、絵を描くうちに、自身の中に覚醒とも呼べる変化が起こります。

　「日本にいたときは、精霊と一体になって描くということを想像で補っている部分がありました。だけどニューギニアでシャーマニズムの文化に触れて描くようになってからは、本当に無意識に任せることで精霊とつながって、僕を通して精霊たちが描いているような感覚がつかめたんです」

　このときの感覚を自分の中心に据えて、帰国後の創作活動をスタートさせた八坂さん。今も自然と向き合い、その背景にある生命力を感じることで、多くの作品を生み出しています。

　例えば2024年版のオリジナルカレンダーは、鹿児島県は霧島神宮周辺の、豊かな自然のエネルギーを受け取って制作したそう。
　「霧島神宮の境内で、雨や風の力も借りて作りました。実際に雨に打たせてみたりもしたんですよ」と作品の世界観を語ります。

心の花にアートという水を。女性の中に眠る創造性を目覚めさせたい

　八坂さんのアートに触れた人からは、さまざまな感想が寄せられています。ある人は完成したエナジーポートレートを受け取って、「この絵を見ていると、自分の中にもっといろんな可能性があると実感できる」と口にしたそうです。

　「アート講座の受講生からは、『ゾーンを体験できた』『つらい記憶を思い出さなくなってきた』といった声があり、レッスンを重ねるうちに自己肯定感が高まり、家族関係まで好転した方もいます」

　あらためて、「アートってすごい」と思った八坂さん。より多くの人、とりわけ女性に自分のアートを知ってほしいと力を込めます。
　「女性がもつ創造性を生かすことは、アートの世界だけでなく、日本にとって大事だと考えます。中でも30代、40代、50代のこれから社会に自分たちの命の価値を還元していく方々、子どもたちの社会を作っていく人たちに、ぜひ僕のアートに触れてもらいたいです」

　また、今後はアートによるリトリート体験を提供していきたいとか。「阿蘇や高千穂、霧島など、九州には自然のエネルギーを感じられる場所が多いんです。大地の息づかいが体感できるような環境の中で数泊して、制作やワークショップに取り組んでもらえるプログラムをご用意していきたいですね」

　内面にアプローチし、時に癒やしをもたらす八坂さん。「みなさんが生きていらっしゃる以上、心の中に必ず一輪の花をもっている。その花をしおれさせてしまうような頑張り方をしているときは、一度肩の力を抜くために、アートに触れてみてください」と呼び掛けます。

（取材年月：2023年9月）

目に見えないエネルギーを感じ取り、独創的な作品を生み出すアーティスト

形がなく心でしか感じられないもの、言葉にならないものを絵で表現していきたい

水木しげる氏の世界にひかれた幼少時代。パプアニューギニア留学中の体験が原点に

心の花にアートという水を。女性の中に眠る創造性を目覚めさせたい

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