円滑な相続と事業承継をサポートする税務と会計のプロ佐田明久

円滑な相続と事業承継をサポートする税務と会計のプロ

佐田明久

もめない遺産分割や節税などポイントをおさえた相続対策をアドバイス

　「相続は、事前の準備が何より大切です」と話すのは、福岡市にある「アイ・タックスファーム」代表で税理士の佐田明久さん。地域に根差して個人の相続から企業の税務、事業承継などの相談に応じています。

　相続手続きで意識するポイントは、次の三つと言います。
　「第一に、不公平な遺産分けにより争いが生じる〝争族〟とならないか。次に、納税資金が確保できるか。最後に、適切に節税できているか。この3点を軸に、円滑な相続に向けた準備を進めます」と佐田さん。

　まずは、資産状況をヒアリングし、相続税のシミュレーションを行います。
　「税額は、二次相続もあわせて計算します。例えば、両親と子どもがいる家庭で、先に父が亡くなり、母と子が遺産相続するのが〝一次相続〟で、その後母が亡くなり、子がその遺産を相続するのが〝二次相続〟です。一次・二次相続の遺産分割方法によってトータルの相続税負担が大きく変わるため、効果的な生前贈与や資産の引き継ぎ方を考えます」

　佐田さんが目指すのは、「残された家族がハッピーになる相続」です。ファイナンシャルプランナー資格のCFPとしての知見も生かし、資産運用の相談にも対応できます。
　「資産を〝残す〟対策とあわせて、運用により〝増やす〟策も提案できます。株や投資信託、保険などトータルでのライフプランを作成して、より良い方法を一緒に考えます。2024年1月から法改正により暦年贈与やマンションの相続税評価が変更されるなど、近年、相続税は増税傾向にあります。あらかじめ考えておくことで、思わぬ税負担を回避できます」

大手監査法人の経験をもとに、事業承継や経営改善のサポートも

　佐田さんは、三代目として義父と共同で事務所を経営しています。今も税理士として活動する義父は、長年相続支援に携わり、不動産評価、小規模宅地の特例適用、家族信託など、複雑な案件でも豊富な実績があります。

　また、税務顧問として、中小企業を中心に約150社をサポート。長いところでは50年以上の付き合いが続き、事業承継の相談も増えているそうです。
　「後継者が決まっている場合は、自社株式の移転に関するお悩みが多いですね。自社株の評価は、贈与税・相続税に大きく影響するため、後継者の負担を減らしてスムーズな移転を実現するための株価引下げ方法のアドバイスや移転スケジュール作成。最近は、跡継ぎがおらず困っているケースも多いので、将来的にM＆Aにも注力していきます。」

　もともと大手監査法人で、公認会計士として30年近い実績を誇る佐田さん。経験を生かして、経営コンサルティングにも力を入れていきたいと言います。
　「これまで大手企業の内部統制や経営管理を見てきました。精度の高い財務分析をもとに、業績や資金繰りの改善、財務体質の強化など、課題解決を導きます。例えば、設定した予算と実際の業績を比較して管理する〝予実管理〟まで行う中小企業は少ないですが、経営状況を把握することは目標達成に役立ちます」

　現在、税理士3人と事務スタッフ6人が在籍し、アットホームな雰囲気も自慢の一つだとか。
　「それぞれがお客さまに寄り添った対応を心掛けています。記帳代行や月次報告などの補助業務を行うスタッフは、勤続20年以上のベテランも多く、対応力を評価いただく声は多いですね」と話します。

顧客の笑顔をかなえるために専門知識を生かしたい

　佐田さんは、大学で経済学を専攻し、公認会計士に。資格専門学校の講師を経て、4大監査法人の一社に入社し、大手企業の会計監査やアドバイザリー業務、IPO（株式上場）支援などに従事しました。
　「大学生のときに〝資本市場の番人〟と呼ばれる公認会計士の仕事に魅力を感じました。大きな経験になったのが、30歳のときに社内プログラムに手を挙げ、約2年間オーストラリア・シドニーの会計事務所で働いたことです。現地の文化に触れ、視野が広がりました」

　その後、パートナー就任を経て、50歳を機に退職。2021年に妻の家業である「アイ・タックスファーム」に加わりました。監査法人から転職を決意した思いを次のように話します。
　「会計監査は、第三者の立場から企業の財務諸表をチェックする役割で、クライアントから直接感謝されている実感があまり持てませんでした。一方、税理士業務では、お客さまの笑顔を目の前で見られることにやりがいを感じます。また、顧問先の大半が中小企業であり、中小企業が元気になってこそ日本全体が活性化すると思うので、そのお役に立てることがうれしいですね」

　相続相談でも、家族の笑顔を第一に考えます。
　「大切な資産をできるだけ多く残し、その後も円満な親族関係が続くようお手伝いします。事前に対策することによって、相続税の額は変わります。残す側も引き継がれる側も納得できるような、家族の幸せにつながる相続を一緒にかなえましょう」と呼び掛けます。

（取材年月：2024年12月）

家族や企業が幸せになるための相続や事業承継をお手伝い

もめない遺産分割や節税などポイントをおさえた相続対策をアドバイス

大手監査法人の経験をもとに、事業承継や経営改善のサポートも

顧客の笑顔をかなえるために専門知識を生かしたい

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