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あらゆる災害から生命、身体、財産を守る消防・防災のスペシャリスト

消防・防災のプロ

仙波誉子

仙波誉子 せんばたかこ
仙波誉子 せんばたかこ

#chapter1

消火器から消防車まで取り扱う消防・防災の専門商社

 30年以内に50~60%という高い確率で発生が予測されている南海地震。しかし災害経験が乏しい瀬戸内海地域では、自然災害や地震に対する意識が低く、備えが不十分といわれています。松山市大手町1丁目に本社を置く株式会社岩本商会は、愛媛県と香川県で消防・防災用品の販売やサービスを手掛ける商社で、仙波誉子さんは70年以上続くこの会社の3代目です。

 同社は1938年の創業以来「地域の皆さまの生命、身体、財産を守ること」を使命に事業を展開しており、これまで培われてきた信頼と実績は大きな強みになっています。消防車や消防用ホース、防火服などの専門的な商品から、一般家庭用の消火器や火災警報器まで、実に幅広い品ぞろえ。取り引き先は県や市町、消防、警察、学校などを中心に、企業・工場、一般家庭など多岐にわたります。「商品点数はとても数え切れません。パンフレットを集めると辞典が何冊もできる厚さになると思います」と仙波さん。

 近年、消防・防災用品の販売状況に変化が見られると言います。「ゲリラ豪雨や新型インフルエンザなど、これまで予期しなかった災害、被害が多発していることもあり、火災や地震だけでなく、テロや原発事故なども含めた危機管理全般の商品・サービスが求められるようになってきました」とその変化を教えてくれました。

 また、自主防災組織も増えているそうです。「1995年の阪神・淡路大震災のような大災害では、公的機関の災害援助だけでは間に合いません。近隣住民が助け合い、自分たちの身は自分たちで守るという意識が強まるにつれ、各地で自主防災組織が立ち上がっています。活動の初期段階として、救助工具や備蓄用食料品などを公民館に置くケースが多いですね」

#chapter2

被災者だけでなく、救助する人の命も大切

 この仕事のやりがいについてお聞きしました。「当社が納めた商品が、人命にかかわる現場で活用されているのを実感したときにやりがいを感じます。実際の災害現場での消火・救助活動、また防災訓練などで活用されている様子を見ると、災害に強い街づくりの一助となっていることに誇りを感じます」

 仕事上、大切にしていることは、創業以来受け継がれてきた「土地を愛し、人を愛し、商品を愛する」ことだとか。「消防・防災用品は、土地や組織に合ったものが求められます。例えば避難用品でも、赤ちゃんには紙おむつや離乳食が必要なように、家族構成に合わせてそろえなければなりません。実は消防車もその土地に合わせたオーダーメードです。海に近ければ錆(さ)びに強い車両、ビルが多ければ高さのある車両が必要です。街の構造によって消火方法も変わってきます。最適な商品を納品するためには、その土地のことや商品の特徴をよく知ることが大前提になります」

 商品を使用する人のことも常に念頭にあるそうです。「まずは安全性が絶対条件。救助する人の命を守るために、ハイクオリティーな商品を納めています。そして過酷な現場でスムーズに活動できる機能性を重視しています。最近では地球に優しいエコな商品も開発されています」

 仙波さんのこうした考え方の背景には、祖父である先々代と、父である先代の影響があります。「地域や業界のために尽くした二人の信条を、これからも受け継いでいきたいですね」

仙波誉子 せんばたかこ

#chapter3

「備えあれば憂いなし」も、年に一度は点検しよう

 仙波さんに防災のアドバイスをいただきました。「阪神・淡路大震災以降に震度6以上の震災を体験した方へのアンケート結果を見ると、飲み水、生活用水、トイレなどの水回り品や懐中電灯のほか、災害復旧までの最低3日分の食料品、携帯ラジオ、乾電池などの備蓄の必要性が指摘されています」

 日ごろから「今、地震が起きたらどうするか」を頭の中でシミュレーションする癖をつけておくと、いざというときに慌てません。「『備えあれば憂いなし』と言いますが、備えただけで満足しないで、防災の日など年に一度は日を決めて、家族で緊急連絡先、避難場所、防災避難用品の確認・点検をすることが大切。防災避難用品は日常生活でも使える物として準備し、使い慣れておくのがよいでしょう。水と食料品の賞味期限チェックも忘れずに。誰でも簡単に持ち出せることを考え、常に目に付く場所に置くことをお勧めします。今まさに行政、企業、市民が一体となり、災害に強い街づくりに取り組むべき時が来ています。企業や組織においてはBCP(事業継続計画)を検討し、万が一に備えていただきたいと思います」

 岩本商会本社ビルの10階会議室からは、松山城や堀端の景色が一望できます。「この美しい街並みを災害から守るためにも、危機管理のプロ集団として災害に強い街づくりに貢献したいですね」と力強く語る仙波さん。最後に「現在テナント募集中。この美しい景色がもれなく付いてきますよ」と、経営者としてちゃっかりした部分も見せてくれました。

(取材:2010年3月)

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仙波誉子

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防災士

株式会社岩本商会

私が代表を務める株式会社岩本商会は、1938年創業以来一貫して、地域の皆様の生命・身体・財産をお守りすることを使命として参りました。創業者から受け継ぐ信条は「土地を愛し、人を愛し、商品を愛する」です。

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