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Mybestpro Interview

「お金を残す経営」から「人と地域を育てる経営」へ

事業と人生に魂を吹き込む起業と経営支援のプロ

下山英子

プロフィール
下山英子 しもやまえいこ

#chapter1

理念と利益を両立し、社会に求められ続ける企業の価値づくりを後押し

 弘前市を拠点に、個人事業主や小規模事業者の経営改善、起業をサポートする「universe philosophy」の下山英子さん。グループ講座でのコーチングや研修、個別コンサルティングを通じて、スキルやアイデア、意欲があっても一歩を踏み出せずにいる人、今よりもっと人生を輝かせたい人の可能性を引き出しています。

 「ビジネスでは、収益や認知度といった“目に見える成果”に意識が向きがちです。しかし、提供する商材やサービスには、事業者の理念や信条といった“目に見えない魂”を吹き込んでこそ、唯一無二の価値が生まれるもの。顧客や社会に求められる存在であり続けるためには、理念と利益のどちらも欠かせないのです」

 下山さんは、マーケティングや事業計画書の作成、経費計算といった実務支援に加え、信頼され魅力ある人間であるための「人間力」と「関係性の構築」にフォーカス。半年から1年をかけてビジネスマインドを磨く独自の育成プログラムを展開し、誰を何を大切にするのかという理念を軸にした事業づくりを実践へと導いています。

 結婚や子育てなど、ライフステージによる環境の変化に影響されやすい30代以降の女性を中心 に、これまで3000人以上にセッションを実施。それぞれが抱えてきた自己実現への想いや夢を、事業づくりを通して形にしてきました。

 営業力やコミュニケーション力の向上を目指す経営者や起業家に向けたプログラムのほかに、 オンラインでの「1day講座」も実施。ワークライフバランスや「労働者脳から経営者脳へ」について学ぶトライアル講座も用意されています。

#chapter2

「誰かのようにではなく、自分らしく生きたい」を胸に、可能性を模索

 幼い頃から、やりたいことが見つかると迷うことなく計画を立て、目標に向かって突き進んできた下山さん。中学時代には担任の教師に少し驚かれながらも「裁判官になりたい」と勉学に励み、憧れの筑波大学へと進学しました。

 「当時、都会に比べて地元では選択肢が限られているように感じていて、外に出れば無限の可能性が広がると思っていたんです。でも、実際には、経済の低迷や災害など、社会は激動の時代。自分の力だけではどうにもならない現実があることを思い知らされました」

 司法試験に複数回挑戦するものの、結果は実らず。地元に戻ってからは自分と向き合い、持ち前の行動力で20を超える職場を経験しながら、さまざまな可能性を模索します。しかし、出産と育児を機に再びリセットを余儀なくされます。

 「女性の多くはライフステージの変化に大きく影響を受け、生き方の再考を迫られます。当時の私も同じ。ただ、どの人にも共通する『誰かのようにではなく、自分らしく生きたい』との思いだけは、心に強く刻んでいました」

 専業主婦時代に身につけたスキルを生かし、フラワーアレンジメント講座を主宰。ブログやSNSを活用して集客を一気に5倍に伸ばすなど、経営手腕を発揮しました。その後は、起業や事業運営にとどまらず、経営理念の言語化や自己啓発の分野にも探究の幅を広げていきます。

 「『成果につなげる実務』と『自分軸の持ち方』。この二つを両輪として伝えていくことが、自分に与えられた使命ではないか」。気づきは、やがて新たな事業立ち上げへとつながったのでした。

下山英子 しもやまえいこ

#chapter3

人を主役に地域経済を考える視点を育み、 組織と人の未来をデザイン

 半年から1年のプログラムを通して、下山さんが手掛けるオリジナル講座のテーマは、「組織と人の未来をひらく」。社会や未来のことも考えた事業の在り方や、人としてリーダーとして導き共に成長するために必要な視点を網羅的に伝えています。

 1day講座では「主婦であっても自分らしく輝ける」「女性が世界を変える」をテーマに、女性の起業を応援する講座も開催しています。2014年に「地方でも、女性でも、子どもがいても、自分らしい起業はできる」と、下山さん自身も子育てをしながら起業という形を選択。

 「自ら人生を切り開く女性が増えれば、社会も子どもたちも、もっと笑顔になるはず。出産や育児を理由にあきらめず、むしろ強みに変える、そんな女性たちの歩みに伴走していきます」

 これまでの活動を通して、経営の枠を超えた気づきもあったと言います。
 「地域の未来を考えるときに、子どもたちと地域の生活者の今に目を向けずにはいられません。我が子に『未来に希望を持って』と呼び掛けても、大人がチャレンジ精神を持てなければ伝わりませんから」

 そこで、地域の空き店舗を活用し、大学生をアドバイザーに迎えて、自治体・大学・企業が連携する中高生向けの起業体験の機会を創出。さらに元気な高齢者を呼び込み、子育て中の保護者を支える体制づくりにも奔走しています。

 「事業の本質は『理念・人・お金の循環』にあると考えています。一人一人の想いによって街が形づくられています。想いを形にできずにいる人を見逃さないことこそが、これからの地域を元気にしていく鍵になるでしょう」

(取材年月:2025年10月)

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専門家プロフィール

下山英子

事業と人生に魂を吹き込む起業と経営支援のプロ

下山英子プロ

経営コンサルタント

universe philosophy

グループ講座でのコーチングや研修、個別コンサルティングを通じて、「理念・人・お金の循環」を本質とする経営と起業を支援。個人の自己実現を後押ししながら、産官学の連携に向けた地盤づくりにも取り組んでいます

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