光と風を生かしたオリジナル住宅を提案するプロ菅原晃

光と風を生かしたオリジナル住宅を提案するプロ

菅原晃

デザイン、機能性プラスアルファの家づくり

　インターネットや雑誌などで知識が得やすくなった一方、膨大な情報量に戸惑い、迷ってしまうのもまた事実。一生に一度の大きな買い物である住宅のこととなると、なおさらではないでしょうか。「重要なのは、ご家族の住まい方、スタイルです。住まい方とデザインがかみ合ったときに初めて、満足のいく家ができるのだと思います」

　情報の洪水の中で見失ってしまいがちな家づくりの基本を説くのは、一級建築士で設計工房SD代表の菅原晃さんです。三沢市古間木山に建築設計事務所を構え、八戸工業大学では非常勤講師として教鞭も取っています。

　仕事のメインとなる住宅の設計では、光と風を生かすことを大切に、開口部を広く取った明るく開放的な住まいが好評。設計依頼のほとんどが、顧客からの紹介だといいます。37年に及ぶキャリアをもち、飲食店や医療機関など住宅以外の設計経験も豊富で、木造、鉄骨造、鉄筋コンクリートとさまざまな素材・工法を駆使しながらプランを練っています。

　「お客さまは多くの選択肢からわざわざ設計事務所を選び、足を運んでくださるのですから、デザイン、機能性プラスアルファの家づくりを心がけていますね。まずは生活パターン、趣味、将来の夢など、その方その方によって違うライフスタイルをじっくり聞きとり、『本当はどう暮らしたいか』を引き出します。人と同じでは満足しないというお客さまばかりなので、期待に応えるのは大変ですが（笑）、問題が難しい分、逆にやりがいを感じますね」

住む人の個性が光る、オリジナルの提案を必ず1つ

　菅原さんは東京理科大学建築学科を卒業後、東京・青山の建築事務所に就職。老健施設建築の大型プロジェクトを経験しました。キャリアアップを求めて転職した埼玉県の設計事務所では、学校、病院、ショッピングセンターなどのあらゆる施設や住宅の設計に携わる日々。「はじめはトイレ部分から。2～3年間は一部分の設計しか任せてもらえませんでした。やっと1軒の住宅を丸ごと任された時は、嬉しかったですね」。帰郷後は建設会社に勤務。厳しい修業時代を経て独立開業したのは、1984年のことです。飲食店、病院、保育園などの設計をオールマイティーに手がけながら、住宅建築のコンクールや、まちづくりのデザインコンペティションでも賞を獲得してきました。

　「その方に合わせたオリジナルの提案を必ず1つは入れるようにして、個性が光る住まいを考えていきます」という菅原さん。2階建てを希望していた施主夫妻に平屋を提案し、実現したこともあります。敷地に余裕があることと、2人が描いていた将来のイメージを考えあわせたアイデアでした。またあるときは、お風呂好きの施主に、ガラス張りの開放的な浴室を提案。浴室外側に坪庭を作り、自宅で露天風呂気分を味わえるように工夫しました。「図面を見せたときは皆さん驚かれるんですが、住んでみて、使ってみたときに『よかった』って言っていただくことが多いんですよ」と目を細めます。

自然エネルギーを生かし、地方だからできる贅沢を

　「設計工房・SD」は1階がガレージ、2階がワークスペースです。2面に大きな窓があり、天窓からも日光が降り注ぐ明るい空間。北国の冬は長く厳しいからこそ大胆に開口を設け、光を確保することが大切だと菅原さんは考えています。

　「明るさは、住む人の気持ちにも影響しますよね。北国では、熱を逃がさないためにとにかく窓を小さくし、北側の開口を抑えるのが一般的ですが、窓を小さくすると、光と風も通りにくくなってしまいます。今は断熱材の性能も高いですし、高気密高断熱にこだわりすぎる必要はないと思います」

　太陽光は明るさだけでなく熱も含むので、冬場の暖房費節約にもつながります。地域の気候風土に合わせた設計の工夫で、自然エネルギーを生かす家づくりができるのです。取材当日は雪。大きく開いた窓一面に、雪原が広がっていました。

　「窓は景色を切り取るフレームでもあります。昔から『借景』という言葉がありますが、借りられる景色があるのはとても贅沢なこと。これから新築を考えている方は、大草原の小さな家のような、ちょっと不便でも景色が良い家はどうでしょうか？　ある程度、敷地が広いと建物のデザイン性も生きます。自然に囲まれた広い家に住むことは、地方だからこそできる贅沢だと思います」。今後の抱負は、設計・監理サブマネージャーの息子・秀さんとともに敷地の提案にも力を入れ、理想の家づくりをサポートしていくことです、と微笑みました。

（取材年月：2013年1月）

光と風を生かした、オリジナルな家づくりを目指して

デザイン、機能性プラスアルファの家づくり

住む人の個性が光る、オリジナルの提案を必ず1つ

自然エネルギーを生かし、地方だからできる贅沢を

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