葬送・お墓・供養にまつわる悩みを解消する終活のプロ佐々木博一

葬送・お墓・供養にまつわる悩みを解消する終活のプロ

佐々木博一

今一番の悩みを解決することから始めよう。墓石業界で30年の終活カウンセラーが指南

　「人生の終わりのための活動」を意味する〝終活〟。聞いたことはあっても、いざ始めるとなると戸惑いを感じる人もいるかもしれません。
しかし、八戸市で「お墓総合サポートサービス」を営む佐々木博一さんは言います。
「終活は〝死ぬ準備〟ではありません。これからの人生をその人らしく〝生きる〟ための活動です」
さらにこう続けます。
「楽しく生きるのに必要なものと不要なものを考えると、必要なのは健康、お金、家族、友人、趣味、仕事など。悩んでいたら楽しくないから、悩みや不安は不要。じゃあ今、何を悩んでる？その悩みを解決することこそ終活です。何から手を付ければいいか分からないなら、今一番悩んでいることから始めましょう」

　終活の多岐にわたる悩みを受け止め、必要に応じてお寺や法律家などにつなぐ「終活カウンセラー」の資格を持つ佐々木さん。墓参り代行やお墓クリーニング、墓じまいなど、お墓関連サービスを展開する一方、供養整理・樹木葬・海洋散骨・永代供養などをテーマに終活セミナーも開催しています。その際に使うのがエンディングノート。菩提寺、葬儀、相続など残された家族が困らないように書き記しておきます。
「エンディングノートを書き終えると、最後は皆さん口々に『ここに行きたい』『これをやりたい』と。いくつになっても、夢や目標は人生を輝かせます。誰と過ごしたい？何をやりたい？と想像し、生き生きと生活していただくのが終活カウンセラーの喜びです」

お墓参り代行、法要のネット配信…。故人を思う心があれば、供養の形は時代とともに変化していい

　八戸市内の高校を卒業後、家族が経営する墓石店に就職した佐々木さん。墓石の仕入れ、製造、販売まで全てに携わり、やがて代表に就任しました。しかし需要の減少や業績不振が続いた結果、会社は倒産。自宅にこもり失意の日々を送っていましたが、知人の住職からかけられた「お前はまだこの葬送業界でできることがあるはずだ」という言葉に、再び奮起。
「墓じまいってどうすればいいの？」「遠方に住んでいてお墓参りに行けない」
墓石店にいた頃から寄せられていたこんな声に応えるべく、2015年、お墓総合サポートサービスを開始しました。

　お墓参り代行の際は必ず、掃除前後の状態や線香をあげる様子を写真に収めて送ります。
身体が不自由でお寺に行けない高齢者や県外の檀家には、住職が供養を行う様子を動画撮影し、インターネットで生配信。
どのサービスでも、クライアントに満足感や安心感を届けられるよう心を配ります。ホームページに料金や内容を詳しく掲載しているのも、「（お墓や供養に関することは）料金を聞きにくい」「分からないことが多い」という依頼者の不安を取り除くため。

　「家族が離れて住み、後継者がいない場合も多い。私が関わってきたこの30年で、お墓を取り巻く環境は大きく変わりました。でも、お話を聞くと、皆さんの親や先祖を想う気持ちそのものは変わっていない。故人を思う心があれば、供養のスタイルは時代とともに変化していいと思いますし、そのお手伝いを私ができれば」
お墓参り代行や掃除は年々依頼が増え、リピーターも多いとか。丁寧な仕事ぶりに加えて墓じまいまで、ワンストップで託せる安心感も好評の理由です。

最後までその人らしく。地域の葬送のプロと個人をつなぎ、十人十色のエンディングをお手伝い

　佐々木さんは平均して月に1～2回、青森・岩手県内の終活セミナーで講師を務めます。セミナー参加者から後日、相談を受けることも多いそうで、ある時、高齢者夫婦からこんな悩みを打ち明けられました。
八戸市内にお墓の土地を持っているが、一人娘は関東に嫁ぎ後継者がいない。今後どうすべきか？
佐々木さんの答えは「この話を娘さんにしましたか？」
アドバイスを受けた夫婦が娘に話すと、実は娘夫婦もお墓問題を気にかけていたことが発覚。娘の嫁ぎ先の菩提寺に葬ってもらうことになりました。
「死は誰にでも訪れる大切なこと。ご本人だけで悩まれる前に、家族で話し合ってみて下さい。お互いがどう考えるか話すことで、家族の絆が深まる。今ともに過ごせる時間をより大切にできると思いますよ」

　「お寺、葬儀社、墓石店など各分野にプロフェッショナルがいて、それぞれについて悩んでいる人が地域にいるけれど、間をつなぐ人がこれまでは少なかった。私の役目はその縁を結ぶことかもしれません」と佐々木さん。人生100年時代の折り返し地点に立ち、葬送・供養のプロと、最期まで自分らしくありたい人々をつなぐことに後半生を捧げたいと話します。
そこで計画しているのが、生前契約で遺体の引き取りから埋葬まで保証するサービスや、人生の終末期の悩みや情報を共有できる場所づくり。海洋散骨や樹木葬といった次世代の供養の方法を紹介するツアーなど。新たなサービス提供に向けて奮闘する日々が続きます。

（取材年月：2020年3月）

終活は〝生きる〟ための活動。お墓・葬送・供養の悩みを解決したら、やりたいことを思いきり楽しんで

今一番の悩みを解決することから始めよう。墓石業界で30年の終活カウンセラーが指南

お墓参り代行、法要のネット配信…。故人を思う心があれば、供養の形は時代とともに変化していい

最後までその人らしく。地域の葬送のプロと個人をつなぎ、十人十色のエンディングをお手伝い

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