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約200チームが参加し、東北王者を決める大会など、年間20もの学童野球大会を開催

家族全員で楽しめる学童野球大会運営のプロ

山市幸大

山市幸大 やまいちゆきひろ

#chapter1

東北の小学生を対象にした大会を手掛け、家族が一緒に楽しめるようイベントを企画

 青森、岩手、秋田、宮城、山形、福島と、東北6県の小学生を対象にした野球大会の運営を手掛けるのは、青森県三戸郡に拠点を置く「BIGWEST BASEBALL CUP」。全国に向けた予選会や、県内のクラブが集うサマーカップ、地域のリーグ対決など、熱戦の舞台は年間で20ほどを数えます。

 「約200チームが勝敗を競い、東北王者を決める決戦もあり、学童野球でこれだけの規模で開催しているところは少ないはずです」と自信を見せるのは、事務局長の山市幸大さん。

 当日は、商工会と連携して屋台を用意したり、ホームラン競争やスピードガンコンテストを実施したり、本人や、そのきょうだいら家族みんなが一緒に参加できるような企画を催し、活気にあふれているそう。

 「第一回から20年近くこのスタイルを貫いてきました。打って守って、ゲームは真剣そのもの。スタジアムDJが場内アナウンスを担当し、会場を盛り上げています」

 現在プロとして活躍している人の中には、かつて大会に出場していた子どもも大勢いるそうで、「次世代のスターがどんどん生まれてほしい」と目を細める山市さん。本業は町役場の職員で、2004年に事務局を立ち上げて以来、大会に関する業務は平日の夜や休日に行っています。公務員であるため、交通費など最低限の経費を除き、お金を受け取っていません。

 無給であっても活動に励む背景には、中学の頃にお世話になった教師の存在があると言います。「『将来、子どもたちに夢を与える大人になりなさい』と。この言葉が私の大きな原動力になっているのです」

#chapter2

中学生のときに出会った人生の師の名を屋号に掲げ、大会運営を始動

 山市さんは、中学時代の野球部の顧問であり、1年から3年までクラスの担任でもあった大西一史さんを生涯の師と仰いでいます。「私は決して褒められるような生徒ではなかったのですが、先生は情熱を持って指導してくださいました。先生のおかげで今があると言っても過言ではありません」

 大西さんの薫陶を受け、練習にも勉強にも打ち込んだ山市さんは、青森県の古豪・弘前実業に進学し、ピッチャーとしてマウンドへ。後に、日本ハムファイターズなど四つの球団に貢献した工藤隆人投手との二枚看板を張りました。

 高校卒業後は弘前市内の企業に就職。20歳で三戸郡に戻り役場に勤め始めたところ、地元の野球チームの監督を打診されます。引き受けたものの、小学生に野球を教える難しさを実感したとか。
 
 「楽しくプレーしてもらいながら、なおかつ、勝たせるにはどうしたらいいのかが分からず悩みました。他の指導者から学びたいと思案しているうち、大会を開けば多くのチームを参考にできるのでは、とひらめいたことが『BIGWEST』の始まりです」
 
 屋号は恩師である大西さんの名を借りたもので、いつか恩返しがしたいと思っていたそうです。「実は2022年までの3年間、光栄なことに同じ職場で働いていました。町役場から派遣された中学校で教頭をされていたのです。大西先生からは、『BIGWESTという名前を変えてほしい。有名になり過ぎだよ』と頼まれました。教え子としては、誇らしいんですけどね」と笑顔を見せます。

#chapter3

優秀な選手に対戦の機会を作る選抜チームづくりや、低学年に向けた大会にも尽力

 長年にわたり組織を率いてきた山市さんですが、自分だけの頑張りではないと強調。「多くの方のお力添えがなければ、かなわなかったことですから。感謝の気持ちだけは忘れないようにしています」とこれまでの道のりを振り返ります。

 特に印象的だったのが、2014年10月の出来事。2日制の大会を行う予定でしたが、1日目が台風のために中止になりました。2日目も雲行きが怪しく、グラウンドは水浸し。

 しかし、保護者や各チームの指導者、審判団から「何とか試合をやらせてあげたい」との声があがり、選手も含めた約1000人で球場3面分を一斉に水抜きし、無事に催行することができました。「たくさんの人が一丸となって、懸命に取り組む姿に胸を打たれました。子どもたちやご家族、関係者のためにも、この仕事を続けていきたいと志を新たにする機会にもなりました」

 山市さんが今後力を入れていきたいことは大きく二つ。一つは、各チームの6年生たちを集めた選抜チームの結成です。「所属するチームの成績は今一歩でも、個人として優れた能力を持つ選手に、高いレベルの相手と対戦する機会を作ってあげたいのです。各方面の協力を得て、東北だけですでに80ものチームが誕生。さらに100チームにまで増やしていく予定です」

 もう一つは、小学校低学年を対象にした大会。「これから本気で野球と向き合おうとする子どもたちが、仲間と切磋琢磨しながら成長していけるよう後押ししていきたいですね」と意欲を語ります。

(取材年月:2023年5月)

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山市幸大

家族全員で楽しめる学童野球大会運営のプロ

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野球大会の運営

BIGWEST BASEBALL CUP

東北地方の小学生を対象にした野球大会を年間20大会開催。単に試合をするだけでなく、商工会と連携して屋台を準備したり、ホームラン競争を実施したりして家族全員で楽しめる空間づくりに努めています。

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