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屋根や道路の融雪から作物の生育管理まで「熱を使う仕事」はおまかせください

融雪はもちろん農産物の生育管理もおまかせ、熱源開発のプロ

澁谷和臣

融雪はもちろん農産物の生育管理もおまかせ、熱源開発のプロ 澁谷和臣さん
省電力の融雪ヒーターを使用した状態の写真

#chapter1

元ホテルマンとしての経験が光る、物腰柔らかな電気技術者

 降雪量の多さランキングでは、常にトップに近い青森県。雪との関係を切り離すことはできません。その中でも豪雪地帯と言われる津軽地方で活躍しているのが「アミティ・リージョン・インターナショナル株式会社」の代表、澁谷和臣(しぶたにかずおみ)さんです。

 省電力ヒーターを使用した温度調整可能な融雪システムで、地面から屋根まで、あらゆる場所の雪と氷の悩みを解決します。電気工事業という職業から想像していたイメージと異なり、ていねいな分かりやすい口調で話してくれる物腰柔らかな雰囲気は、ホテルマン時代を彷彿させます。「インターネットが一般普及する前に勤務していたホテルでシステムを導入することになり、その中で学んだことも多いですね」退職後、以前から起業も視野に入れていたこともあり、得意な電気関係の分野へ進むことを決めたそうです。
 融雪やロードヒーティングは、雪国で生活をしていく上で必要不可欠と言っても過言ではなく、便利ですがどうしてもコストがかさみます。「当社のヒーターは一般的に使用されている電気のヒーターよりも、ランニングコストが低く済むように設計しています」と渋谷さん。高齢化社会が進む今、雪問題は深刻です。雪下ろしの際の事故も発生したりと一般住宅でも融雪機能の必要性が重視されています。

#chapter2

効率的な熱設計、熱計算をしっかりと行いコストダウンを可能に

 「必要な部分の雪を融かすだけで、生活は楽になります」と渋谷さん。融雪というと、積もった先から溶けていき、全く雪がない状態をイメージしますが、融雪機能を設置したものの、コストがかかり過ぎて効果的に使えない、との声を聞くことも多くあります。渋谷さんがお客さまに提案するのは、積もっていたとしても、結果的には雪が融けて重労働である雪かきをしなくてもいい状態にすること。必要な場所に合わせて、必要な熱量のワット数を算出し、ピンポイントに融雪機能を設置する局所加温という方法で、ランニングコストを抑えることができるそうです。従来のニクロム電気ヒーターに比べ、約2倍の発熱量を実現した新ヒーターを開発し、既存のヒーターからの転用や熱設計開発から製品化までを行っています。

 仕事の幅は広く、一般住宅はもちろん、公共施設の融雪工事も請け負っています。協力会社との連携で県外へ出向くこともあり、北海道ではソーラーパネルの融雪工事も手掛けているそうです。「既存の施設をリニューアルしようと工事を始めたら、予想外のヒーターが出てきて(笑)短納期で対応したこともあります」常日頃のフットワークの軽さや、ネットワークの広さが功を奏したようです。
「ちょっとした工夫でできることもあるので、相談してもらえたらと思っています」融雪関係の仕事はもちろんですが、照明コンサルタントの資格も有しています。LED照明に関するアドバイスや、蛍光灯からLEDへの交換工事も行っていて、電気全般おまかせできます。

トマトやイチゴ栽培用ビニールハウスのヒーター

#chapter3

一次産業の育成管理にも役立っている熱設計の技術

 青森県では近年、新しい農産物の開発に着手しており2020年デビューの「青森きくらげ」もその1つです。「実は3年前から、通年収穫できる生きくらげのシステムをテストして実証済なんです」という渋谷さんの言葉に驚きました。「通年で収穫できるので安定した収入につながり、1つの事業として成り立ちます。地元へ定着してくれる人が増えてくれたらと思います」地場産業としてのきくらげ栽培、先見の明があったようです。

 他にも、トマトやイチゴ栽培用ビニールハウスのヒーターを手掛け、加温を必要最低限とし液肥や栽培土壌自体を加温する、という技術を提供しています。トマト農家さんからの依頼で、トマトの成長点の局所加温ヒーターを設置することもあるそうです。「自分の得意分野である熱を使って、融雪も農産物の生産も省エネで効率よくできたらと考えています」既成品を設置して終わりではなく、常にランニングコストを考えながら場所や用途に合ったものを提案、提供し、その技術は農産物育成の促進と安定化につながっています。「海産物の乾燥機にヒーターを設置することもありますし、来週はエビの養殖場を見に行くんです」と笑顔で話す渋谷さん、技術が生かされる場はどんどん広がっていきます。
 電気技術者としての他、スノーボード正指導員とノルディックウォーク上級インストラクターや空手の指導員の顔も持っています。「ホテル勤務時代、スキー場で多くの雪を見てきましたから、雪の楽しい部分も大変な部分も知っています。だからこそ、今の仕事の奥深さが分かるのかも知れませんね」と話します。雪を融(と)かすことは、厳しい冬の悩みを解(と)かすこと。アミティ(友好)・リージョン(つながり)・インターナショナル(国際的な)という社名が表しているように、渋谷さんの仕事は雪と地域の人々の友好的なつながりを生み出しているようです。

(取材年月:2020年7月)

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澁谷和臣

融雪はもちろん農産物の生育管理もおまかせ、熱源開発のプロ

澁谷和臣プロ

電気工事業

アミティ・リージョン・インターナショナル株式会社

省エネ電気ヒーターを使用した各種熱源開発により、融雪はもちろん農産物の生育管理にも取り組んでいます。ランニングコストを重視した熱設計、熱計算を行い、快適に使用できるシステムを提供しています。

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