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津軽のりんごがぎっしり詰まった「りんごたっぷりパイ」を全国にお届け

りんご産地らしいアップルパイやスイーツを作り出す洋菓子のプロ

成田勇

成田勇 なりたいさむ
成田勇 なりたいさむ

#chapter1

りんごの産地ならではのアップルパイはシャキシャキした食感が魅力

 「アップルパイは全国どこにでもあり、用いられるりんごの種類もさまざまですが、当店では、密の入りがよく、甘みと酸味のバランスが取れた津軽の生りんご『ふじ』をふんだんに使用しています。りんご産地ならではのアップルパイを皆さんに食べていただきたいですね」

 そう語るのは、青森県弘前市にある「洋菓子工房ノエル」の店長・成田勇さん。誕生日のホールケーキや、お土産や贈答品として重宝される焼き菓子などを扱う店として、1988年に創業しました。

 「当店で人気の『りんごたっぷりパイ』は、大きめに素材をカットしており、シャキシャキした食感をお楽しみいただけます。2002年に弘前市で開催された『第二回アップルパイコンテスト』で『弘前市長賞』を受賞し、さらに『青森県ブランド認定商品』にも指定されるなど、青森を代表するスイーツとして紹介されています」

 サクサクと軽い歯ざわりの薄いパイ生地の中に、りんごの塊がぎっしりと入りっているのが大きな特長。バターでコクと深みを増し、シナモンを加えてかぐわしく焼き上げます。うま味が詰まった豊かな風味を求め、県外から足を運ぶ人も多いそうです。

 また、断面を見た人から「栗ですか?」と尋ねられるほどゴロゴロとしたボリューム感で、食べ応えがあるとの声も。
 「お客さまから『さすが青森のアップルパイですね!』とお褒めの言葉をいただくと、うれしいですね。流行に合わせたり、他のまねはしたくないとオリジナリティーを追求しました。たくさんの方にご賞味いただきたいので全国に配送をしています」

#chapter2

試行錯誤を重ねたアップルパイで青森の名物りんごを広くPR

 幼い頃からお菓子が大好きだった成田さん。学校を卒業後、青森市内の和菓子店で5年間修行を積みます。市場も大きい首都圏でもっと多くの知識や技術を身に付けたいと、神奈川県鎌倉市にあるパンとケーキを作っている店で働きます。

 「いつかは自分の店を持ちたい」という夢を抱き、店舗運営や売り上げをあげるためにはどうしたら良いかという経営面も学びます。独立するなら故郷でと弘前市に戻りますが、「資金はあるのか?」「失敗したらどうするんだ?」と、開業することに親が難色を示します。
 「親の心配も分かるので、市内の洋菓子店に勤務しながら開店の準備をしました。7年かけて何とかオープンすることができたんです」

 当初は、近所の人に向けた地域密着の店を目指していたので、アップルパイは手掛けていませんでした。
 「りんごの生産が盛んですから、各家庭に売るほどあるんです。お金を出してわざわざりんごのお菓子を買うのは考えられない土地柄でした」

 転機となったのは、商工会議所の人から「観光の方は、りんごが有名な地に訪れたからには、ご当地のアップルパイを満喫したいようだ」と教えてもらったことです。「ニーズがあるのなら応えたい」と、試行錯誤を重ねて完成させたのが「りんごたっぷりパイ」です。

 「まちの洋菓子屋さんになろうと思っていましたから、まさか国内各地からお客さまが来るようになるとは想像していませんでした。地元のりんごをPRできる立場になり光栄です」

成田勇 なりたいさむ

#chapter3

カフェスペースもオープンし、酒かすを使ったベイクドチーズケーキも開発

 成田さんは、2023年7月から店内にカフェスペースを開設。パフェやフレンチトーストなどのイートイン限定品や、店頭の品を提供しています。
 「お客さまから、購入したアップルパイをすぐに味わいたいというご要望があったんです。場所やスタッフの確保が課題でしたが、『お客さまが望んでいるなら』とやってみることにしました」
 
カフェに置かれたメモ帳には、来客者からメッセージが寄せられます。「『りんごたっぷりパイ』を食べるために来ました」「おいしかったです!」という感想を読みながら、成田さんは目を細めます。
 「お客さまとゆっくり話すことができますし、カフェをやってよかったと思います。知人が撮影した津軽半島の風景写真や、私が収集したビートルズのレコードを飾ったりして、心地よい空間になるよう工夫しています」

 お酒が好きな友人から「誕生日にチーズケーキがあれば」とリクエストされ、酒かすを加えたベイクドチーズケーキを製造。桜で知られる弘前のイメージに合わせて「SACAKE桜(さけーき さくら)」と命名し、販売しています。
 「食物繊維やビタミンなど、酒かすは栄養の宝庫と言われているのに廃棄されているんです。もったいないので活用法をあれこれ考えました」

 一人でも多くの人に喜んでもらうために、日々奮闘する成田さん。「お客さまから『こんなスイーツが食べたい』と言われると、なんとかしてかなえてあげたいと職人根性が出てくるんです」と、笑顔とともに菓子職人のプライドをのぞかせます。

(取材年月:2023年9月)

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成田勇

りんご産地らしいアップルパイやスイーツを作り出す洋菓子のプロ

成田勇プロ

洋菓子職人

洋菓子工房ノエル

パイ生地を薄くして大きな塊のりんごをたっぷり使うことで、りんごのシャキシャキ感を楽しむことができるアップルパイを製造。店舗にはイートインスペースも完備。全国に配送もしています。

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