スポット・単発から相談できる税務のプロ田村良平

スポット・単発から相談できる税務のプロ

田村良平

聞きたいときに、聞きたいことだけ質問

　会社員のまま副業や起業するなど働き方が多様化し、「ひとり社長」やフリーランスも増えている昨今。

　「確定申告書を自分で作ったけれど、合っているか見てほしい」「会計ソフトを導入したけれど、正しく入力できているか確認したい」といった声に応えるのは、山梨県北杜市で「八ヶ岳税理士事務所」を開く税理士の田村良平さん。創業準備中から事業を立ち上げて間もない人、既に事業を始めている人まで、個々の疑問や悩みに耳を傾けています。

　「聞きたいときに、聞きたいことだけ相談していただけるのが特徴です。今はインターネットで調べれば税に関する情報がたくさん出てきますが、必ずしもご自身のケースに合致しているとは限りません。お客さまの状況をお聞きした上で、一人一人に合ったアドバイスをしています」

　会計ソフトの選び方、個人事業主と法人どちらがよいか、インボイス制度に関することなど、寄せられる相談内容はさまざま。決算書や申告書の作成も引き受けるほか、相続税の生前シミュレーションなど事前対策にも応じています。

　自身も公務員などを経て開業した経歴を持つことから、独立を意味するフランス語“indépendants（アンデパンダン）”が座右の銘。
　「企業や組織に属さず自分で業（なりわい）を持ち、切り開いていこうとする人たちが増えています。自分らしく生きる事業主・経営者を、税理士として数字の面からサポートしていきたいと考えています」

セカンドオピニオンのほか、事業承継の相談も寄せられる

　「面談時間はオンライン60分、対面・訪問の場合は90分を1コマとして設定しています。箇条書きでも構いませんので、質問事項を事前にお伝えいただくと当日スムーズです」

　田村さんは、困りごとがあればいつでも問い合わせてほしいと、単発・スポットによる対応に力を入れる。その一方、顧問以外の税理士に意見を求める“セカンドオピニオン”で利用するケースもあるとか。

　「北杜市で会社を経営しているお客さまで、顧問の先生が甲府市と遠く、かつお忙しいとのことで、気軽に質問を受けたり、事業計画作成などのフォローで定期的にお伺いしているところがあります。年代や考え方が近いこともあってか『田村さんとは気軽に打ち合わせができる』と言ってくださり、ざっくばらんにお話が進み、雑談で盛り上がることもありますね」

　また、事業承継に関する相談も寄せられている。「元気なうちに子に運営を任せたい」というペンションオーナーには、税負担をなるべく少なく、円滑に事業を引き継ぐスキームを提案しました。「この先やるべきことが見え、安堵の表情を浮かべておられたのが印象的だった」と振り返ります。

　「私も金物店を営んでいた父が亡くなり、事業を譲渡しました。よい形で承継できたのですが、本人としては生前に自分で整理してクロージングしたかったのではと思います。経営者の高齢化が進んで後継者不足が問題となる中、手塩にかけた事業を志ある人に託したいという願いを叶えていくことが、私の使命ではないかと感じ始めています」

都会の便利さに危機感を抱き移住、八ヶ岳の麓で「半農半税」生活を実践

　事務所の名前に冠した八ヶ岳の麓、標高1,100メートルの高原地帯で「半農半税」のライフスタイルを送っている田村さん。仕事の傍ら、ニンジン、ジャガイモ、トマトなどを栽培する自給農を実践しています。

　「東日本大震災やコロナ禍などの非常時に、インフラや日用品の供給が停滞しました。都市生活の便利さに頼り過ぎることに危機感を覚え、休日を使って地方へ足を延ばし、野菜を育ててみることを始めました。当初は東京と山梨の二拠点生活でしたが、同じ志を持つ仲間が山梨の方で増えていき、軸足を置くことを決めました」

　北海道出身で、家業に精を出す両親の姿を見るうちに独立した生き方を志向。大学では経済学を学んだことから「数字を通じて事業主や経営者の力になれれば」との思いを強くします。卒業後は神奈川県庁で働きながら、税理士を目指します。

　「仕事で疲れて帰宅し、その後さらに勉強する習慣を身に付けるのに苦労した」という田村さんですが、合格への手応えを感じたことから税理士法人に転職して実務を重ね、2020年に資格を取得。山梨に移り住み、2023年2月に開業しました。

　税の専門性と移住・起業の経験を持つことから講師のオファーも多く、北杜市内のコワーキングスペースでは個人事業主に向けて経理・税金について解説するセミナーを開催。移住に関するトークイベントでは、パネリストとして自身の体験談を披露しました。

　地域に根ざしてネットワークを広げていく田村さん。「今後はオンラインツールをさらに活用し、八ヶ岳から全国へサービスを展開していきたいです」と思いを語ります。

（取材年月：2024年4月）

スポット相談や申告書作成で、顧問税理士のいない経営者を中心にサポート

聞きたいときに、聞きたいことだけ質問

セカンドオピニオンのほか、事業承継の相談も寄せられる

都会の便利さに危機感を抱き移住、八ヶ岳の麓で「半農半税」生活を実践

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