「日本人の心」を追求する空手指導のプロ
伊藤龍吾
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「日本人の心」を追求する空手指導のプロ
伊藤龍吾
#chapter1
「せいっ」―。今夜も甲府市大里町の住宅街から、子どもたちの元気いっぱいの掛け声が響いています。新國際空手拳法道「士衛塾」山梨県支部長師範の伊藤龍吾さんは、空手の指導を通じて、門下生に日本人の心を教えています。
新潟市に総本部を持つ「士衛塾」は現在、国内外約2,000人の門下生がおり、山梨県支部では4歳から50代までの60人が6つの道場で日々汗を流しています。県本部では練習は日曜日を除いて毎日行われ、月謝を納めれば何回でも通うことができます。
伊藤さんが空手に目覚めたのは意外にも遅く、33歳の時でした。「何か武道を習いたい」という長女とともに空手を始めた伊藤さんは、次第にその面白さや奥深さにのめりこんでいったといいます。「かつてボクシングを遊び程度にはしたことがありましたが、娘と一緒に汗を流すのが楽しくてね。仕事が事務職だったこともあって、なかなか体を動かすこともなかったでしょう。気が付けば娘に負けたくないと毎日練習に励むようになったんですよ」と、伊藤さんは当時を振り返ります。
その努力は大きな実を結び、2011年5月に行われた極真館主催の第5回全日本壮年空手道選手権大会41歳~45歳重量級の部での優勝をはじめ、これまでに数々のタイトルを獲得。また、長女と次女も10年12月にモスクワで行われた極真館主催の2010全世界青少年空手道選手権大会で姉妹で優勝を争うまでに成長し、伊藤さんも「決勝戦に臨む娘の姿に涙が止まりませんでした。生涯忘れることのできない思い出です」と話します。
伊藤さんが指導で一番心掛けていることが「日本人の心」を教えることだといいます。「最近の子どもを見ていると、大きな声であいさつができない子どもが多いですね。また、相手の話に耳を傾けることができない子どもも増えています。武道は教育の場と考えています。日本人に忘れられようとしている、努力、忍耐、そして相手を敬うという『日本人の心』を指導することで、日本独自の文化や素晴らしさを取り戻してもらえればと思っています。日々の練習はつらくても、仲間と切磋琢磨(せっさたくま)することで確実に実力が付き、次第に礼節も身に付いていきます。空手は1人ではできません。相手が本気で取り組んでくれるからうまくなれるんです。それが相手への思いやりにつながると思います」と話します。
#chapter2
伊藤さんは、門下生からの相談はもちろん、親からも子育ての相談を受けることが多いといいます。「学校でいじめられているとか、子どもとどう接したらよいのか分からないなどの相談はよくありますね。親に相談できないことや、親子ではどうしても甘えが出てしまう部分も、道場ではしっかり教えていきたいと思っています。つらい練習に耐えてきた自分を振り返って自信を付けてもらうとか、親御さんの下で練習に通うことができるありがたみとか、そんなお話をさせていただきながら、少しでも子どもたちの健やかな成長の手助けになればと思っています。娘もかつていじめにあった時期がありましたが、空手を始めて自然と克服しました。私たち家族も空手に教えてもらうことが多いと感じています」
伊藤さんの指導は、時に厳しく、時に楽しくがモットー。時にはしゃれが飛び出すこともあります。「昔のような根性論だけでは今の子どもに通用しません。メリハリを付けて指導することが大切だと思います。そのためには絶えずアイデアを考えています。親御さんもよく見学されているので、最近では親御さんも飽きさせない工夫をしています」
#chapter3
伊藤さんの夢はもっと道場を増やし、多くの人たちに空手の魅力を伝えていくことだといいます。「ボランティアで指導されている人もいますが、お金をいただいている以上、プロ意識を持って自分に甘えることなく指導に取り組みたいと思います。ただのサークルのような集まりではなく、常に上を目指し、世界に羽ばたく選手を育成していきたいと思います。子どもたちには将来はどんな職業についても空手を続けてほしいと思いますね」と、伊藤さんは目を細めます。
子どもの日々の成長が何よりの楽しみと話す伊藤さん。「あっという間に人生の折り返しに来て、この先、何を残していけるかと考えた時に、やはり空手しかないと思います。自分の生き様、そしてこれまで築いてきたものを子どもたちに残すことができればうれしいですね」。子どもに真剣に向き合う伊藤さんのはつらつとした声は、今夜も道場に響きわたっています。
(取材年月:2011年8月)
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「日本人の心」を追求する空手指導のプロ
伊藤龍吾プロ
格闘家
新國際空手拳法道「士衛塾」山梨県支部
世界大会入賞者を多数持つ士衛塾では、初心者から上級者まで、目的に沿った指導ができます。指導者はプロとして自覚と誇り持ち、常に研究と勉強・実践を怠りません。一流の道場からは一流の選手が育ちます。
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