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不登校の子どもたちの自己肯定感を育む体験型フリースクールを開校

子どもの自己肯定感を育てる学びの場づくりのプロ

中西紀説

中西紀説 なかにしのりつぐ
中西紀説 なかにしのりつぐ

#chapter1

「答えはその子の中にある」子どもの意思を尊重し、のびのびと個性を発揮出来る学びの場

 文部科学省の調査によると、2022年度に30日以上欠席した全国の小中学生の数は約29万9000人。前年度から2割以上増え、過去最多を更新しています。

 不登校児童・生徒を対象に、安心して過ごせる居場所を作っているのは一般社団法人ワンオブハートの代表理事・中西紀説さん。2021年、山梨県南アルプス市に体験型フリースクール「みんなのおうち」を開校し、小学1年生から中学3年生までの子どもたちを受け入れています。

 みんなのおうちは『答えはその子の中にある』を理念に、子ども達の幸せな人生(真に自立した人生)に寄与すべく、「生きる力」を養うことを目的としています。特に自分は自分のままでいいという自己肯定感(自己受容感)の育成を最重要課題に掲げ、子ども達の心が育つ人間性教育を実践しています。

 「ここは、子ども達が主体の場。基本的なスケジュールは子どもたちのミーティングによって決まります」と中西さん。活動内容はインドアからアウトドアまで多岐にわたりますが、一切強制はありません。生活を通した学びという観点からクッキングも導入しています。

 「みんなのおうちに偉い人はいません。人間対人間として対等な関係の中で、信頼関係を構築しながら大人も子どももともに成長していく『共育』の場でもあります。開校から3年が経ち、登録している25名の子ども達は生き生きと元気に成長を続けています。最近では、喫茶店やボードゲームスペース&駄菓子屋さんを自ら企画したり、演劇ワークショップに参加したりと活動の幅も広がってきました。『学校以外の学びの場』として山梨県内に欠かせない場所となりつつあります」

#chapter2

発達障がいがあるわが子と自身の不登校体験から得た、多くの気づきをもとに開校

 「私自身が不登校の経験者であり、わが子も長く学校に通えない時期がありました。当事者として、親として、子ども達の痛みがよく分かるのです」

 中西さんは中学時代に不登校を経験。その時に負った劣等感・無能感・自己否定感がトラウマとなって42歳まで苦しみ続けました。一時は引きこもりになり、自殺未遂を図ったことすらあるそうです。そのような経験から「不登校は問題ではない。不登校になると行き場がなく、自己否定的になってしまうことが問題だ」と痛感しています。

 また、中西さんの長男と次男は自閉症スペクトラムの発達障がいがあり、不登校になった時期がありました。
 「特に次男の不登校が長期化し、かつての私同様に自己否定感や劣等感に苦しみ続けていました。そんな次男のために新たな環境でゼロからやり直すべく移住を検討。生まれ育った福岡から見ず知らずの山梨へと移住を決めました」
 当時、中西さんは福岡で不動産会社を経営していたため家族だけが移住。家族と離れ一人で過ごす中で、自身や子どもたちの生き方について深く見つめ直す時間を持てたと語ります。
 「『学校とは何か?』『教育とは何か?』『子育てとは何か?』さまざまな疑問が浮かぶ中で、『結局、いかに自己肯定感を育むかに尽きる!』という答えに至ったのです。ならば、『子ども達の心が育ち、自己肯定感を育める学校ってないのだろうか』と考えた時に、『それは自分が創るしかない!』との思いに駆られ、突き動かされるように移住を決意。『みんなのおうち』の開校に至りました」

中西紀説 なかにしのりつぐ

#chapter3

安心して過ごせる居場所が、自己肯定感や主体性を育み、子どもが本来持っている能力を開花させる

 自らの経験をもとに多くの子どもたちを支援してきた中西さんは、信じて待つ姿勢を大事に彼らの心の傷をゆっくりと癒やしていきます。
 「はじめは他者との交流に不安があり対人恐怖症のような感じだったり、暴力的だったりする子もいますが、『ここに偉い人はいない』『思い切り自分の感情を出していいんだよ』と伝えて接していく内に信頼関係ができ、自分は自分のままでいいんだという気持ちが芽生えてくるものです」

 「みんな思い切り自分を表現しながら、夢中になれる活動に取り組むことで見違えるように元気になっていきます。そして、心が元気になると自ら学び始めるんですね。大人が知識や枠を与える教えではなく、子どもの主体性を引き出す学びの場。不登校児童の心が育ち、笑顔になれるみんなのおうちです」

 中西さんは、実現したい大きな夢もあると話します。
 「私は子ども達が学びの場を選べる環境を整えることが、真の不登校対策だと思っています。学校に限らず、フリースクールやオルタナティブスクールなど自分に合った学びの場を選べる社会になること。そのための挑戦を続けていきます!」

 2023年9月には県内のフリースクール代表者で構成される「山梨県フリースクール連絡会」を設立し、代表も務めています。
 
 「不登校はその子の一生を左右しかねない大問題です。何かお困りのことがあれば、みんなのおうちに通うかどうかは別として、いつでもお問い合わせください。真摯(しんし)に対応させていただきます」

(取材年月:2024年2月)

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中西紀説

子どもの自己肯定感を育てる学びの場づくりのプロ

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フリースクールの運営

一般社団法人ワンオブハート

発達障がいがあるわが子と自身の不登校経験から得た多くの気づきをもとに、体験型フリースクール「みんなのおうち」を運営。子どもの心に寄り添って自己肯定感を育み、主体性を引き出す学びの場を提供。

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