遺品整理のプロ古元奈保美｜マイベストプロ山梨

遺品整理のプロ

古元奈保美

遺品整理から不動産相談まで幅広く

　一人暮らしのお年寄りが増えたことで、誰にも看取られずに亡くなる孤独死が現代社会の大きな問題になっています。山梨遺品整理センターは、遺族などに代わって、故人の部屋の片付けや清掃、不用品の処分を行っています。
「片付ける時間がない」「気持ちの整理がつかない」「県外に住んでいる」など、遺族の事情はさまざまです。同社代表の古元奈保美さんは「ご遺族の状況を把握し、その気持ちに寄り沿った対応を心掛けています。それぞれのお客さまにできる精いっぱいのことを毎回、全力で考え、取り組んでいます」と力を込めます。
遺品の取り扱い手順や法規制などの専門知識を学んだ「遺品整理士」の資格を持つ古元さんですが、業務は遺品整理だけにとどまりません。「多くのお客さまが、まだ使える物は有効活用したいと考えていますし、片付けた後の空き家をどうすればいいかという悩みを抱えています。疑問や要望に丁寧に対応し、納得のいくまでお付き合いすることが当社の強みです」
空き家については、売却や賃貸といった活用方法を遺族と一緒に考え、信頼できる不動産会社への橋渡しをしているほか、調度品や着物など売却を望む物については、適正な金額で同社や専門業者が買い取っています。また、なるべくごみを出さないことを心掛け、遺族が処分を希望したシーツや食器など未使用の贈答品は県内の施設に寄付。お焚き上げ、リフォーム、産廃業、造園業など多様な業者と連携し、幅広いニーズに対応しています。

お客さまが納得する作業手順や料金

　作業の流れは、まず遺品整理士の資格を持ったスタッフが現場に足を運び、状況を確認して見積もりを出します。基本料金には①廃棄物の運搬収集処理費②遺品の整理・分別③簡易清掃―などが含まれ、部屋の間取りや状況、作業日数などを加味して費用を算出します。「費用や作業内容の疑問点については、ご遺族が納得いただけるまで説明します。基本的に、作業後の追加料金は請求いたしません」
片付けを担当するスタッフは女性が中心です。作業に入る前には必ず、残しておきたい物と処分していい物などを確認しますが、故人が大切にしていたと判断できる物は遺族に手渡すなど、一つ一つの遺品に真心を込め、きめ細やかに対応しています。
実は、同社に依頼した遺族のほとんどが、最初は自分で片付けを始めたものの、必要な物と不必要な物が分別できずに時間と手間が掛かり、途中で断念するケースだそうです。放置された空き家は、雑草や庭木が生い茂ったり、ごみが捨てられたりと、近所から苦情がくるケースも少なくありません。
「第三者の判断があれば、片付けはスムーズに進みます。故人とご遺族にとって良い思い出だけを残すことができるのです」と、古元さんは遺品整理士の役割を説明します。

故人と遺族の心つなぐ仕事に達成感

　古元さんが同社を設立したのは30歳だった2014年。一人暮らしの祖父を亡くしたことがきっかけでした。仕事や子育てに忙しく、祖父の家の片付けがままならなかったことで、この仕事の必要性を感じたといいます。
それをあらためて痛感したのは、遺品整理士として初めて請け負った仕事でした。依頼人の女性の母親が暮らしていた家は、長年空き家になっていて、近所からも苦情が出ていましたが、きれいに片付け、さらに賃貸として利用できるように手配。作業中、食器棚の奥から、女性が幼いころ母親に宛てた手紙や絵、通信簿などが見つかりました。女性は「私はこんなにも母に愛されていたんですね。お願いして良かった。本当にありがとう」と涙を流したそうです。
　「これほど人に感謝されたことはありませんでした。ご遺族はずっと気に掛けながらも、さまざまな理由から遺品整理ができないでいます。その悩みを解消できることに大きな達成感を感じますし、故人とご遺族の心をつなぐことができるのもこの仕事のやりがいです」と語ります。古元さんは、遺品整理に関するセミナーの講師を務めるほか、エンディングに向けた準備としての生前整理などにも応じています。
「夢は、生まれ育った山梨を良くしていくことです。遺品整理や終活の取り組みを通じて、山梨の大きな課題になっている空き家を一つでも減らしていきたいです」と笑顔を輝かせました。

（2016年5月取材）

故人の思い出と遺族のココロの整理士に

遺品整理から不動産相談まで幅広く

お客さまが納得する作業手順や料金

故人と遺族の心つなぐ仕事に達成感

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