山間の古民家でアンティークのような革製品を生み出すプロ
古賀雅臣
Mybestpro Interview
山間の古民家でアンティークのような革製品を生み出すプロ
古賀雅臣
#chapter1
「革は使っているうちに手になじみ、使えば使うほど経年変化を楽しむことができます。移りゆく自然のごとく、時間とともに味わい深くなるアイテムをお届けします」
そう語るのは、山形県最上郡鮭川村、緑の木立に囲まれ、風情あふれる池を配した古民家で、革工房「Koga」を営む古賀雅臣さん。伝統的な技法を基本として、トートバッグやブリーフケース、ショルダーバッグ、財布、名刺入れ、キーケースなど、革製品を一つ一つ手作りしています。
「私のこだわりは、天然素材の特性を生かすことです。革を縫う糸は丈夫で締まりが良い麻糸を使用し、革の断面なども顔料系の塗料などは使わず染料と溶剤とワックスだけで何度も磨き上げ硬く美しく仕上げています」
丁寧に磨くことで滑らかで上品な光沢を生み出し、年月を重ねるごとに落ち着きが出てクラシカルな風合いを醸すのが特徴。素材は、馬具に用いられ耐久性が高いイギリス製のブライドルレザー、表面処理を施さず、使い込むほどに蜜ろうがなじみ、色つやが増すヌメ革など、上質な品を厳選しています。
「スタンダードモデルをもとに革や糸、金具を変えることができ、要望に合わせてデザインからご提案するフルオーダーも用意しています。自分だけの品を大事に慈しみ、独自の表情に育てていただけます」
山形県内で出会った人との縁で、築150年の歴史ある茅葺きの家を借りている古賀さん。職人の手仕事による太い梁を見上げながら、お気に入りの音楽を流して作業するのが「何ものにも代えがたい最高のひととき」と目を輝かせます。
#chapter2
福岡県で生まれ育った古賀さん。高校時代はバンドを組み、夢を抱いて上京。自動車関係の会社で営業職として働きながら音楽活動を続けていました。幼い頃から絵を描くことやもの作りが好きで、中学生の時には友人と木を組んでボートを作り、川に浮かべて遊んでいました。
「母親も創作が好きで、ミシンを何台も駆使して、お手製の洋服や帽子が何点も家にあり、ものを作ることがとても身近でした」
東京では、蒲田の手芸店でレザークラフトコーナーを発見。道具を買いそろえ、自分用の財布やバイク用のカバンを作ったことをきっかけに、革製品の製作に熱中するように。趣味で始めたところ友人の間で評判となり、周囲のすすめで神奈川県の武蔵小杉駅前にショップを開きます。
「小さな店なので問屋で仕入れる際も1枚単位で、選んでいても相手にされませんでした。3~4年通い続けてようやく良い革を案内してもらえるようになり、憧れの革職人のもとにも毎日のように通い詰め、技術を習得しました」
店は順調だったものの、自然豊かな場所でものづくりがしたいと長野へ拠点を移した古賀さん。技能を高めるため、山形の革小物の製造会社に入社し、一日中ミシンを踏む生活を送ります。
「型紙の設計や裁断を工夫して素材の個性を引き出すなど、革製品の世界は奥が深いです。数をこなして知見を蓄え、2000年に満を持してオリジナル品の製作を再開しました」
#chapter3
スマートフォンのカバーやポーチ、ギター用のワイヤレス送信機ケース、楽譜用のミュージックバッグなど、多様なニーズに応える古賀さん。渋みのあるグリーンや洗練されたブラウン、成熟したワインのような赤、シックな黒など、色合いも多彩です。
「時には『ベルトが長すぎて実用的ではない』とアドバイスをいただくこともあります。まだまだ修行が必要だと真摯(しんし)に向き合い、製品を手掛けるたびに成長を感じます」
スタイリッシュな男性向け以外に、やさしい雰囲気をまとう女性向けのバッグなどもオーダーメード。一針一針、丹精込めて縫製しています。
「心掛けているのは、お客さまに末永く大切に愛用していただくこと。傷んでもメンテナンスをしてまた使える、アンティークのように愛着が持てるものづくりです。『同じものをもう一度作ってほしい』とご注文いただくこともあり、作り手として一番うれしい瞬間です」
大量生産・大量消費の現代において、武蔵小杉で店舗を構えていた時から20年以上製品を使い続けるファンも。シミやすれが目立ち、磨き直しのために製品を送ってくれる顧客もいます。
「音楽活動で培った情熱を原動力に、自分なりのオリジナリティーを突き詰めた作品も打ち出したいと思っています。春は草木が芽吹き、夏には青葉が茂り、秋は紅葉し、冬には雪化粧する四季折々の暮らしの中で養った感性も生かし、手に取ってくださる方の人生に寄り添う魅力ある革製品をつくっていきたいですね」
(取材年月:2026年8月)
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山間の古民家でアンティークのような革製品を生み出すプロ
古賀雅臣プロ
革職人
Koga
上質な革を厳選し、一つ一つ手作り。縫製には丈夫で締まりの良い麻糸を使用し、革の断面は染料、溶剤、ワックスで繰り返し磨き上げます。使うほどにつやが増し、手になじむ製品を生み出しています。
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