物の価値を見いだし必要としている人につなぐ出張買い取りのプロ西畑直樹

物の価値を見いだし必要としている人につなぐ出張買い取りのプロ

西畑直樹

自宅で気軽に利用できる出張買い取りサービスで、1点から無料で訪問

　「廃棄するしかないと思っていた品でも、それを必要としている人はいます。捨てる前に私どもにお声がけください」と話すのは、富山市の「出張買取専門店マガジーノ」代表の西畑直樹さん。

　バッグや財布、時計をはじめとするブランド品、掛け軸や茶道具のような骨董品、プレイヤーやアンプといったオーディオ機器、テレビ、電子レンジなどの家電、本・コミック、カメラ、おもちゃ、服、アクセサリーなど幅広いアイテムを扱っています。

　「当方は出張サービスに力を入れ、富山県内なら1点からでも無料でお伺いします。重くて運びにくい、壊れやすく持ち出すのは心配、品物がたくさんあって大変という場合もご自宅に赴き、お客さまの手間を省きます」

　西畑さんのもとでは持ち込みや宅配にも応じていますが、顧客が想定していなかった品に値が付くケースもあるため、現地に赴いて逸品を見極めるようにしています。

　「ご家庭で整理されていた際、目星をつけておられたお皿は残念ながらお引き取りできませんでしたが、処分予定だった別のお皿がお値打ちだったこともあります。価値を判断するのは難しいため、眼識を備えた私どもが拝見するのが確実です」

　時に「部屋が散らかっていては恥ずかしい」と事前に片付けをする人もいますが、「そのままで問題ありません」と呼び掛けます。

　「私たちは日頃から物に囲まれ慣れているのでお気遣いには及びませんし、収集、保管された数々の中からレアな品を見つけ出すのも得意です。例えば、レトロなシールが貼られたブリキのバケツを発見し、買い取ったこともあります」

おもちゃなど、日本の中古品「USED IN JAPAN」は海外で高評価

　西畑さんは多様な品を鑑定するテレビ番組が好きで、蔵に眠っていた掘り出しものや代々受け継いだ家宝などに値段がつく様子に興味を持っていました。

　インターネットオークションが普及したのを機に自分が使った物品を販売するようになり、「商売としてやっていけるかもしれない」と手応えを覚えたことから古物商の道へ。2016年に創業しました。

　「古物市場に仕入れに行き、売れそうな物を購入してネットで販売していました。特にスピーカーやターンテーブル、CDデッキなどのオーディオ系が好きでしたね」

　コロナ禍の影響で市場に通えなくなったことから、買い取りに力を入れるように。売れ行きなどから、どんな品に需要があるか把握できるようになったため、2021年に買い取りに特化した専門店を始めました。

　「ファンが多いブランド品やコレクターが根強い骨董品のほか、海外でニーズが高いものもあります。戦隊ヒーローシリーズなどがそうです。番組が海外で放映されると、現地の子どもたちが日本のおもちゃを欲しがるんです」

　ワンシーズンの放送が終了して熱が冷めたとしても、海外では高値で取引されることも。日本人は物を大切に扱うため、日本の中古品は「USED IN JAPAN」として高く評価されるそうです。

　「最近では、中国の方が自国の掛け軸や陶磁器、香炉などを日本で探すケースもあります。人気商品は常に変わるため、輸出業者やバイヤーと情報を交換しながら、私自身も知識をアップデートしています」

遺品・生前整理の際も不用品を査定することで処分費用や環境負荷を軽減

　「近年、遺品・生前整理をする方が増えています。思い入れのある品をむげにしないためにも、私たち買い取り業者が査定した後で回収業者に依頼されることをおすすめします」と西畑さん。

　品数によっては1日かかることもありますが、数十万円になるケースも多いとのこと。ごみに出す量が減れば廃棄費用の削減になり、環境にも優しくなります。

　「お客さまから『捨てずに済んで良かった』と喜ばれます。遺品整理では、お金よりも、故人が大事にしていた品を誰かに使ってもらうことで心を軽くされる方が多いんです。必要とする誰かにつなぐお手伝いをするのが当方の役割であり、やりがいです」

　査定にあたって顧客には「期待感」があるため、結果については理由を丁寧に説明していると言います。

　「時には予想外の高値がつくこともありますし、ご希望に添えない場合もあります。ネットで中古品を販売していた頃は、お客さまと接する機会がありませんでしたが、今はご自宅に訪問して一品一品に刻まれた歴史や記憶を聞く機会が増えました。物に込められた思いをくみ取り、細やかに配慮することを心掛けています」

　また増加している空き家にも目を向け、家財の処分でも力になりたいと熱意を見せます。

　「私たちができるのは不用品の買い取りだけですが、地域に根差した業者として皆さまのお役に立ちたいと考えています。リサイクル、リユースで再び役割を与えて資源を無駄なく生かし、社会に貢献していきたいですね」

（取材年月：2025年4月）

「思いがこもったもの」「まだ使えるもの」を必要としている人へつなぎ、再び役割を生むお手伝いを

自宅で気軽に利用できる出張買い取りサービスで、1点から無料で訪問

おもちゃなど、日本の中古品「USED IN JAPAN」は海外で高評価

遺品・生前整理の際も不用品を査定することで処分費用や環境負荷を軽減

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