防音設計に使う資材選びのプロ上羽真史

防音設計に使う資材選びのプロ

上羽真史

防音室、オーディオルームのアドバイス

　住宅建材総合商社「ヤマイチ」（本社・富山市野口）の上羽真史さんは防音設計に使う資材選びの専門家です。愛好家が周囲への音漏れを気にせずに楽器演奏や音楽・映画鑑賞を楽しめるように、自宅に防音室やオーディオ・シアタールームを設けるサポートをしています。

　建物の防音に対するニーズは、ピアノをはじめとする楽器の演奏家やオーディオマニアを中心に少ないながらも根強くあり、ヤマイチは建築資材の選び方をアドバイスする立場から多くの案件に関わってきました。県内では防音工事自体がまだ一般的ではないため、相談をいただくお客様に対し、防音資材の選び方や施工方法で気を付けなければならないことについて助言もしています。これらの経験を通じて培った防音についての知識と経験が上羽さんの強みとなっています。

　新型コロナウイルスの影響によって、「おうち時間」で音楽などを本格的に楽しみたいと考える人が増えており、一般ユーザーに対しても設計・施工についての相談がかなり増えてきました。2020年7月から富山市の大手モールにヤマイチがオープンした店舗「ハイズ大手町」には防音・音響効果を体験できるオーディオルームを開設。大手建材メーカーの金沢市のショールームにも同様の性能を有した体感ルームがありますが、「これからは富山のまちなかで防音性能、オーディオ・シアタールームの魅力を気軽に肌で感じていただくことができます。こちらを拠点にして積極的にお役立ちしていきたい」と意気込んでいます。

愛好家の“夢”実現への近道をサポート

　防音について相談を受けると、上羽さんは依頼主の希望を聞き取りながら「どの程度の遮音性能が必要か」「音の響きは長くするのか、短くするのか」などを検討し、必要な資材や施工方法をアドバイスします。遮音性があるシートや吸音性の高い素材、比重が重いボード、ゴム製の防振材などを組み合わせて壁や天井、床といった周囲の防音性能を高めるのはもちろん、照明機器や換気扇などからも音漏れがないように考えなければいけません。使途によっては防音性をより高めるために前室を設けて、二重のドアにするよう薦める場合もあるそうです。防音資材はメーカーごとに多彩なラインアップと特徴があり、複数の専門メーカーと取引がある強みを生かして最適な商品を提案しています。

　実は上羽さん自身がドラムを演奏し、仲間とバンドを組んで楽しんでいます。「思い切り楽器を演奏できる部屋を持つのは僕らバンドマンにとっての憧れであり夢。コロナの影響で音楽スタジオなど練習場所の利用が制限され、その思いを強くした方も多いのではないでしょうか」と話します。防音事業を推進する社内のチームには上羽さんのほかにも音楽好きが集まっており、地元の愛好家が「夢」を実現する手助けをしたいと考えています。

　これまでは防音ルームを設けたいと思っても県外にしか専門業者がおらず、遠距離で専門業者に発注すると工賃や経費が割高になるため費用面が大きなネックとなっていました。ヤマイチでは地元で設計・施工する体制を整えてコストダウンを図ります。「簡単な防音工事はご自身でのDIYでも実現可能なので、資材とノウハウを提供していきたい。動画サイトでの発信なども現在計画しています」。

地域と業界への貢献目指して新事業を展開

　上羽さんは1995年にヤマイチに入社し、長年にわたり営業畑で歩んできました。建物をイメージ通りに仕上げるために、どのメーカーのどんな建材を使うのがよいのか。その豊富な商品知識を取引先も頼りにしています。期待に応えられるように提案力を磨き、二級建築士の資格も取得しました。「資材納入を通じ、さまざまな建物に関われるのが楽しく、やりがいを感じます。住宅やマンション、美術館といった公共施設まで、県内のありとあらゆる所に仕事で携わった建物があり、それぞれに思い入れがあります」と話します。

　ヤマイチでは住まいづくりのお悩みを解決するワンストップの相談窓口「ハイズ（hi-s）」を開設し、建材商社の情報力を生かして施主と地元の優良ビルダーをマッチングするサービスなども提供しています。消費者とビルダー、当社の三者がそろって携わる事で満足感ややりがいを得て、富山の住宅関連業界全体が発展するのが願い。防音関連事業についても、ニッチな分野の専門的な知識や技術をヤマイチが提供することで、ユーザーとビルダーそれぞれに貢献できると考えています。

　ほかにも、自らの趣味がアウトドアやフライフィッシング、野遊びなどで、自然と戯れることが大好きだったこともあり、アウトドア用品のスノーピーク（本社・新潟県三条市）と事業提携して、北陸初のスノーピークアーバンアウトドア事業もスタート。おうちに居ながらアウトドアを満喫できる「野遊びできる家。」の提案を地元ビルダーにするなど、新しい分野の事業にも乗り出しており、「接客を通じエンドユーザーのみなさんと話す機会が増え、新たな発見があります。刺激をいただきながら、多くの方々のお役に立てるオンリーワンの企業を目指して頑張っていきたい」と話しています。

（取材年月：2021年7月）

楽器演奏やオーディオ・映像機器を存分に楽しめる防音ルーム設置をサポート

防音室、オーディオルームのアドバイス

愛好家の“夢”実現への近道をサポート

地域と業界への貢献目指して新事業を展開

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