住まいの騒音問題に寄り添う環境計量士
浦山英樹
Mybestpro Interview
住まいの騒音問題に寄り添う環境計量士
浦山英樹
#chapter1
「『近隣の家からの音楽やテレビ、話し声が気になる』『自動車や電車の走行音がうるさくて眠れない』といった場合は、当方にお声掛けください」
そう話すのは、東京都世田谷区にある「浦山環境計量士事務所」の代表、浦山英樹さんです。
大手デベロッパーや設計事務所、防音建材メーカーをクライアントに持ち、騒音の計測や報告書の作成、新築建物の遮音対策などに従事。遮音設計に携わった建物の物件数は900件以上になります。蓄えたノウハウをもとに住まいの音に関する課題に向き合い、個人からの要望も受け付けています。
「規模の大きい会社は、道路や工場など法律で決められた調査が中心なので、個人の方は依頼しづらいかもしれません。当方は都内でも数少ない個人事務所ですので、フットワークも軽く、気軽にご相談いただけるのが大きな強みです」
浦山さんは、騒音計やレコーダー、分析器などさまざまな機器を完備。中には100万円以上する機材もあるのだとか。
「測定には、計量法の基準をクリアした製品を用いています。長年の経験から、状況に適した望ましい測定方法のご提案が出来ます。また、必要な場合は音の性質や頻度、時間ごとの変動など、可能な限り細かい点まで調べます」
音圧レベルなどを公に明示する書類として計量証明書を発行する事も可能。結果を通知する際は、依頼主への心遣いも怠りません。
「お客さまには、データに基づいた客観的な情報を提供しておりますが、環境基準を満たしていても、音の感じ方は人によって異なるため、ご心情に配慮した対策のご提案も行いたいと考えております」
#chapter2
メールや電話で問い合わせが入ると、浦山さんはまず現地に足を運んで現状を確認。必要に応じて計画書を策定し、現況に即した測定方法を提案します。
「お打ち合わせを通じて作業の進め方が決まると、見積もりに移ります。内容に承諾いただければ予定を組み、指定された日時にお客さまの自宅などに赴きます。休日にも伺いますし、自動測定器を使った夜間の計測も可能です」
測定データは分析したのち、報告書を作成して依頼主に説明します。
「測定値を提示し、例えば二重窓にしたら何デシベル下がる、といったこともアドバイスできます。環境基準を違反していれば行政などへ対処を求めることになりますが、そうでなければ自衛するしかありません。客観的な数値を導き出すことで、今後の施策が立てやすくなります」
デベロッパーや建材メーカーからの要請で、マンションの建設予定地などでも音を測定。通常は高さ1.2~5メートル程度で測りますが、近くに高架の道路や鉄道が通っている場合は、高さ12メートルまで対応できる特殊な機材を使用するなど、現状を正確に把握するよう努めています。
「結果に基づきサッシなどの外壁部材にどれだけの遮音性能が必要かを計算し、報告書にまとめて提出します。建築後も、実際に遮音性が保たれているか追試をすることがあります。クライアント企業の営業担当者から、『調査による数字的根拠が性能をアピールする材料となり、契約や購入につながっている』と言われると、やりがいを感じますね」
#chapter3
石川県金沢市出身の浦山さんは、高校卒業後、父が営んでいた建設会社に就職しました。
「窓サッシや外壁部材などの施工会社でしたので、当初は職人として施工を担当していました。建材メーカーさまから丁寧な作業を見込まれ、お客さまとの打ち合わせやメンテナンスを担当するようになりましたが、その過程でサッシに関わる室内騒音の測定を行うようになりました」
最初に騒音計を渡された時は、説明書を見ながらなんとか業務を終えたという浦山さん。しかし、専門用語の意味を調べるうちに計量法の存在を知り、騒音測定の国家資格である環境計量士を目指すようになりました。
「騒音測定自体は誰でも行えますが、業務上他人に測定結果を『真実である』として報告する事は、計量証明に該当する可能性があります。計量証明を行うには計量証明事業所の登録を受ける必要があり、そのために環境計量士になる事は必然でした」
数学や物理などをこつこつと独学し、試験に合格。その後は建設業界から多くの問い合わせが舞い込むことになりました。東京に本社を構える事業者からの案件が多かったため、2008年に東京に事務所を構え、計量証明事業の登録を受けました。
クライアント企業のオファーで、社員を対象に騒音に関する講習会で講師を務めたこともあるなど、浦山さんの知見は多方面から信頼を集めています。
「生活をする中で、耳ざわりな音に悩みを抱えている人は多いですが、相談できるところは多くはありません。一般の方にも気軽に相談していただける親しみやすい事務所として、自分の技術や知識を役立てたいと考えています」
(取材年月:2023年10月)
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