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エンタメのデザインで培った発想を生かし、企業のブランディングを支援

ロジックと感性でブランド価値を高めるブランディングの専門家

小笠原真一

小笠原真一 おがさわらしんいち
小笠原真一 おがさわらしんいち

#chapter1

右脳=アートと左脳=サイエンスを往来しながら、“選ばれる価値”をデザインする

 「人々に共感され、長く愛されるブランドづくりをお手伝いします」と話すのは、東京・自由が丘のデザイン事務所「ロッケン」代表の小笠原真一さん。CDなどのジャケットや商業出版物といった文化領域のデザインを多く手掛けてきた経験を生かし、ブランディングで企業を支援しています。

 「エンタメ分野の意匠は、手に取る人の文化度や視点を感じ取った上で、コンテンツが持つ思想をビジュアルで的確に示すことが重要です。このプロセスは、企業や商品、サービスの価値やイメージを消費者に伝え、信頼や愛顧を得ていくブランド構築の手法と共通しています」

 小笠原さんのブランディングの特徴は「右脳と左脳で“選ばれる価値”をデザインする」こと。コンセプト開発からブランド戦略などの理論面を固めた上で、人々に響くパッケージや表現を生み出します。

 「ロジックやデータはもちろん深掘りしますが、それだけに頼ると感性が失われ、人々にメッセージが届かなくなります。前提知識を習得しお客さまへのヒアリングを進めると、速やかにデザイン制作やキャッチコピーの検討といった創造的な工程に取り組むようにしています」

 美意識とロジックを統合することで、良いものをつくり上げていく小笠原さん。「感覚(センス)を視覚化すれば、人々の心を動かすことができます。アートとサイエンスを往来しながら、お客さまと一緒にブランドの魅力を磨き上げていきたいです」と語ります。

#chapter2

米菓のブランディングでは定石を打ち破る試みも取り入れ、売り上げは8倍に

 醤油、塩、梅―と、味ごとに異なるカラフルなパッケージ。東京の米菓メーカー・金吾堂製菓のせんべい「おすきなひとくち」シリーズは、小笠原さんたちがリブランディングを手掛けました。老舗の味はそのままに、デザインとネーミングを刷新することで、従来の「堅くて食べにくい」というイメージを転換。3年間で売り上げが8倍に伸長しました。

 「まず、フレーバーごとに個別の商品名が付いていたのを、一つのシリーズに整理。統一感を高めることで、消費者への認知が広がるようにしました。ブランド名は、『好き』と『空き』のダブルミーニングにし、いつでも気軽に食べられる一口せんべいであることを表現。また、袋に『チャック付き』と明記し、保存しやすい包材である点も価値として伝えています」

 透明な袋ではなくアルミ袋を採用し、塩味のパッケージには食品にあまり用いない青色を基調とするなど、定石にとらわれない試みも行いました。

 「クライアントさまは、若い世代などへの認知拡大を望まれていました。そこで、あえて中身を見せないことで想像力をかき立て、ブランドの世界観を広げてもらうことを狙いました。既存の常識やデータだけに頼らず、未来志向のデザインができるのが私たちの強みです」

 商品のヒットを受け、同社の他の製品のデザインにも携わるなど、支援を継続。他にも、健康食品会社のサプリメントや、靴メーカーのスニーカーブランドなど、ブランディングの分野は多岐にわたっています。

 「打ち合わせでは一方的に提案するのではなく、互いにアイデアを出し合うことを大切にしています。消費者に価値を伝える取り組みを通じて、お客さまと長くお付き合いできればうれしいですね」

小笠原真一 おがさわらしんいち

#chapter3

デザイナーやディレクターとして多彩に活動。顧客とともに成長を目指す

 「クリエーターを目指したきっかけは、子どもの頃に見たスポーツメーカーのテレビCMでした。商品名ではなくブランドそのものを打ち出す表現が格好良くて、憧れましたね。大学に進学しましたが夢を諦めきれず、専門学校とのダブルスクールでデザインの勉強に打ち込みました」

 その後デザイン事務所やレコード会社で経験を積み、有名ミュージシャンのCDのジャケットも手掛けた小笠原さん。2006年にフリーランスとして独立し、3年後にロッケンを設立。DVDやBlu-ray、本の装丁を手掛けるなど、デザイナーやディレクターとして活動の幅を広げてきました。

 「仕事を続けるうち、経営者の方々とお目にかかる機会が増え、お役に立ちたいという気持ちが強くなっていきました。ちょうど金吾堂製菓の社長さまからお声掛けをいただき、リブランディングに取り組む中で、エンタメ分野のデザインとブランディングは“方程式”が同じだと気付いたんです」

 大学の環境デザイン学科でゲスト講師に招かれ、ブランディング戦略とデザインの重要性について話すなど、その知見を若い世代に伝える活動も始めています。

 「欧米ではブランディング会社がメーカーと協力し、消費者に響く商品づくりを行うことが一般的です。しかし日本ではまだ市場が確立しておらず、発展の余地があると考えます。今後もチャレンジを続け、お客さまとともに大きく成長していきたいですね」

(取材年月:2026年3月)

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専門家プロフィール

小笠原真一

ロジックと感性でブランド価値を高めるブランディングの専門家

小笠原真一プロ

ブランディング/デザイン

株式会社ロッケン

文化領域のデザインを手掛けてきた経験を生かしてブランディング。コンセプト開発やブランド戦略など理論を固めた上で、人々に響くパッケージやキャッチコピーを創造し、商品やサービスの認知拡大をサポートします。

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