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障がい福祉サービス事業の手続きに精通した行政書士が、開業から運営後もサポート

障がい福祉サービス事業所の開業・運営手続き専門の行政書士

古川貴之

古川貴之 ふるかわたかゆき
古川貴之 ふるかわたかゆき

#chapter1

基準に適合した物件探しや設備の導入、職員の採用など、書類作成を通じてコンサルティング

 障がい者を支える仕組みは多様化しています。就学前の子どもを迎える児童発達支援事業所、6歳~18歳を対象にした放課後等デイサービス、働く場を提供する就労継続支援、日中過ごす場所を提供する生活介護、少人数制のグループホーム、自宅でケアを受ける居宅介護支援など。「古川行政書士事務所」の代表・古川貴之さんは、障がい福祉サービス事業の開業手続きおよび運営サポートを専門としています。

 「事業の種類ごとに人員配置や施設の広さ、設備について基準があり、利用者の安全を守るため審査は厳格です。適正な事業者として指定を受けるための申請書の数も多く、自治体によって必要書類が異なります。自身で手続きをするのは時間も手間もかかるでしょう」

 古川さんは、基準に適合した物件探しや内装工事、設備・備品の導入、職員の採用など、豊富な知見で開業に向けて伴走します。

 「多岐にわたる申請書類を作成することが、そのまま開業に関するコンサルティングにもなっています。気をつけないといけないのは、資金計画です。利用者の所得に応じた自己負担分以外は、国や自治体からの報酬によって運営していきますが、実際に給付されるまでに約2カ月のタイムラグがあるんです。その間の運転資金についても把握した上でアドバイスします」

 さらに、開業後も発生するさまざまな事務手続きをフォローしています。

 「営業時間や定員、代表者など各種変更も逐一届け出なくてはなりませんし、補助金などの申請が必要になることもあります。処遇改善加算の集計や、およそ3年おきに改正される法律関連への対応も当方で行います」

#chapter2

開業にあたって何から始めていいか分からない人も本業に専念できるよう伴走支援

 古川さんは早稲田大学を卒業後、法律事務所に入職。10年以上にわたって、民事再生や破産などに関する書類作成に携わりました。2017年に、以前から保有していた行政書士の資格を生かそうと、行政書士法人に転職。2年間の実務経験を積み、独立しました。

 当初は、外国人の在留許可といった入管業務をメインとする予定でしたが、程なくしてコロナ禍となり、仕事がストップ。改めて今後について考えた結果、行政書士法人に在籍時、上司と放課後等デイサービスに赴いたことを思い出しました。手掛けている人が少ない障がい福祉サービスの分野を主業にしようと決意します。

 「参考書籍もマニュアルもほとんどない状態でした。コロナ禍で空いた時間を活用して、各自治体における実例をインターネットで調べたり、役所に問い合わせしたりして、知識を蓄積。次第に、ホームページや紹介を通じて依頼をいただくようになりました」

 法律事務所での勤務経験も現職の役に立っているとか。申請する先が裁判所か行政かという違いはあるものの、適切に書類をそろえる上で共通点が多いからです。

 「何から始めたらいいか分からないというゼロの状態からスタートして、経営が軌道に乗り、多くの利用者さんの生活を支えている様子をみるのが喜びであり、やりがいです。障がい者の自立を後押ししたいなど、志を持って開業される皆さまの事務作業を当方が担うことで、ビジョンを実現するという本来の職務にまい進していただければと思います」

古川貴之 ふるかわたかゆき

#chapter3

100以上の事業所の手続きに携わった知見をもとに、クライアントの疑問に迅速に対処

 「組織を運営していくにあたり経営者が考えるべきことは多々ありますが、周囲に相談しにくいもの。さまざまな事業所のケースを見てきた当方がお力になりたいですね」と古川さん。心掛けているのは、クライアントからの問い合わせに迅速に対応すること。

 「疑問は生ものですから、すぐに処理しないと意味がありません。1週間後に答えても状況が変わって、役に立たないこともあるでしょう。本業がおろそかにならぬよう、判断が難しい場合などはお声掛けください」

 これまで、100事業所以上の手続きに携わってきた古川さんが次に見据えるのが、自身で障がい福祉サービス事業を立ち上げることです。

 「自分で実践することでサポートに磨きがかかるのでは、というのが理由の一つです。もう一つは、業務を通じて自治体と関わる中で、重度障がい者向けの支援施設がまだまだ足りないことを知ったからです。新規開業は、軽度を対象としている事業者が多いんです。受け皿がない実情を鑑み、また取り組む人がいないからこそ、自分がやるべきではないかと考えています」

 開業する際は、申請手続きの過程をオープンにするつもりだとか。公開することで、重度障がい者に向けた支援事業へ参入を検討している人の背中を押したいと言います。

 「重度障がいのあるお子さんの預け先が見つからない、見つかっても順番待ちという現状で、キャリアをあきらめる保護者の方も少なくありません。ご家族の不安や負担を和らげる一助となればと思います」

(取材年月:2024年12月)

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古川貴之

障がい福祉サービス事業所の開業・運営手続き専門の行政書士

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古川行政書士事務所

児童発達支援、放課後等デイサービス、グループホーム、生活介護、就労継続支援、居宅介護支援など障がい福祉事業の開業・運営手続き専門の行政書士。何から始めたらいいか分からないという人も迅速丁寧にサポート。

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