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心を癒やす診療を提供

患者さんの心に寄り添った治療を考える精神科医

鹿島直之

町田の精神科医 鹿島直之さん
町田まごころクリニック 受付

#chapter1

どなたでも安心して通えるクリニックを

 「働き盛りの方はもちろん、お子様やお若い方、お年寄りまであらゆる世代の方がクリニックにいらっしゃいます。また、東日本大震災をきっかけに、心のバランスを崩す人が増えているように感じます。そういった状況で、どなたでも安心して心を癒やす場を提供できることは、非常にやりがいのある仕事だと感じています」

 今年1月、東京・町田市に開院した「町田まごころクリニック」は、小田急・JR町田駅から徒歩8分の心療内科・精神科。開院から4か月足らずで300人以上もの患者さんが訪れるなど、心の病に対応する地域の医院として順調に受け入れられています。
 院長の鹿島直之さんは、市内の中核病院である町田市民病院に三年間勤務し、そのうち一年間を精神科の責任者として務める中で、地域とのつながりを大切にしてきました。一方でこの時期、患者さん一人ひとりの診療になかなか時間を割くことができないことに強いジレンマを感じていたそうです。

 「例えば土・日・祝日・夜間は診療しないなど、本当に患者さんのためになる治療ができているのだろうかという葛藤がありました。こうした思いが、独立を後押ししたのだと思います。クリニックまで足を運んでくれた患者さんに対し、少しでも楽になってもらうことを心がけています。今まで温めてきた考えを現実のものとし、自分なりの精神医療のスタンダードを模索する場としても、この地で独立できたことは大きな転機だと考えています」

#chapter2

患者さんに少しでも楽になって帰ってもらいたい

 町田まごころクリニックでは、診療時間を効率的に生かすべく様々な試みを打ち出しています。例えば、うつ病やパニック障害など疾患ごとの基礎知識や治療法を記したプリントを、待合室やホームページで閲覧できるようにしたのも一つ。これには患者さんに自身の病状や診療の流れについて勉強してもらうことで、その後の診察をスムーズに行おうという狙いがあります。

 「精神科の治療とは、自信や希望を見失っている患者さんに、自分自身を取り戻してもらうことに尽きます。大切なことは患者さんをよく観察し、不安や心の傷を見抜き、言葉で手当てすること。診療では、必ず患者さんが楽になれるような言葉を選ぶようにしています。人間は言葉を糧として生きているからこそ、コミュニケーションの中で安心できる言葉をプレゼントすることが最大の癒やしになるのです」

  鹿島さんご自身が“言葉の処方”と名づけた、メッセージカードを使った治療法もユニーク。これは患者さん自身がホッとできる言葉をカードに書いてもらい、それを繰り返し読むことで気持ちを安静に保つというものです。他にも日本独自のカウンセリングの技法である森田療法や、瞑想を通じて精神的な緊張や動揺を和らげるリラクゼーションなど、多彩な治療法を患者さん自身が選択できるサービスとして展開しています。

 またクリニック自体も良い意味で病院らしくなく、洗練された印象。ホテルのロビーを思わせる上品な雰囲気も、診療全体の質の向上に一役買っているのです。

町田まごころクリニック 鹿島直之さん

#chapter3

どんなことでも話せる場がそこにある

 近年、心の病が市民権を得るにつれ、病をカミングアウトする人が増えています。ところがこの望ましい状況に現代の精神医療は対応できていない、というのが鹿島さんの持論です。

 「一番の問題は薬偏重の診療スタイル。もちろん私も症状が重い時には薬をお勧めしますが、長い目で見れば薬の服用をやめるというプロセス自体が治療になります。そのことが患者さんの自信につながるということを、多くの人に知ってもらいたいのです」

 現在、鹿島さんは成城大学で非常勤講師も務め、カウンセリングと精神医学についての2講座を受け持っています。多忙にも関わらず講義に時間を割くのは、学生たちと接して得られるものを患者さんに還元し、患者さんと向き合って得られたことを学生に教えることが務めと考えているから。「医学と教育は切り離せない」という考えの下、広く精神医学について啓蒙していくことはライフワークの一つになっているのです。

 「悩みを抱え込んでいる人には、どんなことでも話せて批判されずに認められる——そういう場があることをまず知ってもらいたい。信頼できる精神科医を見つけることで道が開けることがあります。私も一人でも多くの患者さんの笑顔が見られるように、これからも頑張っていきます」

 最後にこんなメッセージで締めくくった鹿島さん。その柔和な表情には、不思議と人を安心させる何かが備わっているようでした。

(取材年月:2011年5月)

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