働く人の心に寄り添うメンタルヘルスケアサービスの専門家本山友理

働く人の心に寄り添うメンタルヘルスケアサービスの専門家

本山友理

カウンセリングやセミナーを手掛け、臨床心理士・公認心理師とも連携

　「私がカウンセリングの際に一番大事にしているのは、ご自身が本来もっている力を思い出し、自分らしさや自信を取り戻していただくことです。相談前よりも相談後に、少しでも心が軽くなっていただくことを第一に考えています。特にキャリアで悩む人のお力になりたいと考えています」

　そう話すのは、心理カウンセラーでキャリアコンサルタントの本山友理さん。メンタルヘルスケアに関するプランニングを行う「Lilymoff（リリーモフ）」の代表を務め、個人向けのオンライン相談や、企業の要望に応じた各種セミナー・研修の企画立案などを手掛けています。

　ストレスなどで疲弊し、休職や離職するのを防ぎたいと、最近は従業員の心をケアしたいという依頼が増えているそうです。
　「企業さまによって課題も、職種ごとに抱えやすい心の不調もさまざまです。現場の状況や事情に適したサポートをするためにも、丁寧にお話を伺ったうえで、研修やカウンセリングなどを組み合わせ、オリジナルのメニューを作成しご提案しています」

　昨今は、従来の終身雇用から能力重視のジョブ型雇用が広がり、将来を不安視する人も。本山さん自身が学生時代はスポーツに打ち込み、アナウンサーとしても活動中のため、アスリートやメディア関係者もクライアントに持ちます。
　「人前に立つ機会が多い方も企業にお勤めの方も、その場、その瞬間にパフォーマンスが発揮できる精神状態でいられることが大切と考えています。臨床心理士・公認心理師とも連携し、『キャリア相談の一歩先まで』心のケアが行き届くのも弊社の強みです」と語ります。

部活に打ち込み燃え尽き症候群を経験したことがアスリートと向き合う糧に

　長崎生まれで、子どもの頃からスポーツが得意だった本山さん。中学時代からソフトテニスを始め、高校は福岡県の強豪校に進学、寮生活をしながら日本一を目指し練習に明け暮れますが、3年生のときに異変が。
　「急にやる気が起きなくなりました。頑張っていた人が突然意欲を失う『燃え尽き症候群』でした。この経験が今、日々プレッシャーと戦うアスリートの方に向き合う上で糧になっています」と振り返ります。

　「高校卒業後は上京し、大学でキャリアデザインを学び、心理学やキャリアを学問として捉える基礎を学びました。その後、縁からモデル業を開始しますが、司会をお願いされることが増え『もっと上手になれば、周りの人が喜んでくれるかも』と思い、株式会社ライムライトに所属、アナウンサーに転身しました」

　転機が訪れたのは、世界的なスポーツの祭典の自国開催を翌年に控えた2019年。パラスポーツに励む友人が多く、大会を内側から支えたいと東京2020パラリンピック大会に関連する団体に入社することに。

　「しかしコロナ禍におけるリモート勤務で、人間関係の構築も容易ではないと痛感しました。一緒に働く仲間と良好な人間関係を築くことは、個々の能力を発揮するために、とても重要なことであると感じました。働く人たちの心を癒やし、自己効力感を高めることで周囲とより良い関係性を築くお手伝いができないかと考えるようになりました」

　本山さんは新たな道に進む決意をして退職。勉強を重ね、国家資格のキャリアコンサルタントなどを取得し、2022年に会社を設立。社名は「人の心を毛布のように柔らかく包みたい」という願いを込め、シルクを表す「moff」と、自身の名前の英語訳「Lily」を合わせ「Lilymoff」と名付けました。

何歳になってもユーモアと向上心を忘れなかった祖父が人生のお手本

　これまで数々の人に寄り添ってきた本山さん。「私自身も起業直後は先が見えず、心もとない気持ちでよく泣いていました。でも途中で開き直ったんです。『心配してもしなくても変わらない』って」と明るく笑います。

　本山さんは、福利厚生のアウトソーシングサービスと提携。「従業員さまの心身の健康を保つためにも、会員企業さまに弊社のメンタルヘルスケアをもっとご利用いただけたら」と力を込めます。

　また、自己の内面を描き出す「表現療法」という心理療法を学び、対面でセッションをできる場所を作りたいという展望も掲げます。

　目標を見据え、カウンセラーとしても着実に歩みを進める本山さん。特に経営者としてのお手本は長崎で被爆し、戦後は会計事務所の社長を務めていた亡き祖父だと言います。
　「この命をどう使えば、世の中に役立てるのかなとよく考えます。私は被爆者3世で、祖父が生き抜いてくれたからこそ今の私がいると思っているからです。小学生の頃の私に『パソコンは1分間で100文字以上打てるようにならないといけないよ』なんて時流を越えたアドバイスもくれる、面白い祖父でした。私も社長となり、会社経営という仕事は決して簡単ではないと実感しています。それでも祖父を見習い、常にユーモアを忘れず、いくつになっても向上心をもってお仕事を頑張っていけたらと思っています」

（取材年月：2023年11月）

働く人の心を温かく包み、元気を引き出すメンタルヘルスケアサービスを提供

カウンセリングやセミナーを手掛け、臨床心理士・公認心理師とも連携

部活に打ち込み燃え尽き症候群を経験したことがアスリートと向き合う糧に

何歳になってもユーモアと向上心を忘れなかった祖父が人生のお手本

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