起業家にとって理想の環境を提供するシェアオフィス運営者久田敦史

起業家にとって理想の環境を提供するシェアオフィス運営者

久田敦史

起業の最初の一歩を踏み出すところからしっかりサポート

「当社はゼロからビジネスを立ち上げる人のためのシェアオフィスです」

　そう語るのは、九段下駅から徒歩30秒にあるシェアオフィス・バーチャルオフィス『ナレッジソサエティ』を運営する久田敦史さん。シェアオフィスというとワークスペースを使えるというのが一般的なイメージですが、ナレッジソサエティでは会議室やセミナールームも提供しています。

「クラウド化がさらに進めば、ここに来なくても作業は自宅やカフェでもできるでしょう。しかし、自分でビジネスを立ち上げて会社経営を始めたら、営業や打ち合わせをするシーンは必ず出てきます。そんなスタートアップ期のホームグラウンドとして打ち合わせできる場所を提供したいんです」

　そう話す久田さんは、顧客やビジネスパートナーなどの人と会って話をすることが起業する上で大事だと考えているからこそ、フロアの半分を会議室やセミナールームにして会員に開放しているのです。

　また、バーチャルオフィスを利用すると、自社の住所としてナレッジソサエティの住所（東京都千代田区）を使えるようになります。セキュリティの面で自宅の住所をWeb上などに公開したくない場合や、法人登記する際に建物の規約上できないこともあります。そんなときにバーチャルオフィスを活用すれば問題なし。さらに郵便物が届いても転送してくれるし、オプションで会議室も使えるようになります。

　起業したばかりの人は、金額的にも手ごろなバーチャルオフィスから使い始め、ビジネスが軌道に乗ってきたらシェアオフィスに移るとリスクなく展開できるでしょう。
　こうした配慮からも久田さんが起業家を最初の一歩を踏み出すところから応援したいという気持ちが伝わってきます。

場所を提供するだけでなく起業に必要なノウハウまで伝えて共有できる仕組みづくり

　久田さんは起業家を応援するにはオフィスを貸すだけでは足りないと話します。

「中には勤めていた会社を辞め、起業するしかない状況になって初めて『Webでの集客ってこんなに大事だったんですね』という人がいます。簡単に起業できる環境になったがために、生き残る戦略を持たずに独立してしまう。『戦争をやるときにどう戦うかを戦場に行ってから考える人はいないでしょ？』と説明していますが、そこを起業家たちにも理解してもらいたいです」と久田さんは語ります。

　このことからも、オフィスを提供するだけでなく、起業に関するセミナーや他の起業家との交流できる会を開催してトータルに起業をサポートしています。

　セミナーでは、法人の設立方法から、資金調達、経理、税務、人事、マーケティング、集客など、起業してビジネスを継続していくために必要な知識や情報を、各専門家から教われる体制を整備しました。

　また、月に一度、久田さんがホスト役になってランチ会やお茶会を開催しています。講師の話を聴くのではなく、参加者が同じ目線でディスカッションをする。そこではみんなの会話の中から浮かび上がってきたものを話し合うことが多く、日頃の悩みを参加者全員で話し合い、フィードバックし合うことで気付きを得る場として機能しています。

「ランチ会やお茶会でディスカッションに参加した方の満足度はとても高いです。そこから学び取って改善や実行に移せるヒントがたくさん手に入るからでしょうね。逆に生かせない人は、ビジネスは成功しないかもしれません。ヒントを得たらそれを実行に移すのはあなたの責任ですよ、と常に言っています」と久田さん。厳しい中にも徹底的に起業家を応援したいという熱意を感じさせます。

週休4日制は社員から起業家を輩出するための礎

　久田さんは、ナレッジソサエティで働く従業員に対しても起業支援をしています。中でも興味深いのは「週休4日制」。週に3日働いて4日は休みという制度です。その休みを活用して自分でビジネスすることを推奨しています。現在2名の従業員がこの制度を使っています。

　週5日勤務で40時間働くところを、週3日でこなすので1日当たり13時間勤務（差分1時間は調整）になります。「『やらされている13時間』と『自分で選んだ13時間』では、働く本人の意識の持ち方が違うようです。通勤時間についても2日間出社しないで済むので、時間的負担や精神的ストレスを考えればメリットは大きい。起業家として自分で働こうと思っているのなら、自分で望んだ13時間勤務は問題ないでしょう」と久田さんは話します。一見大変そうですが、勤務を3日間に集中するのでメリハリがついて好評なのだそうです。

「夢を実現させるために、リスクを取って挑戦している人が好きです。もっと起業家を増やして、大好きな日本を元気にしたい」

　そう熱く語る久田さんは、自分の可能性を信じて挑戦しようという起業家が一人でも多く増えるようこれからも活躍していくことでしょう。

（取材年月：2019年1月）

夢の実現のためにリスクを取って頑張っている起業家を応援していきたい

起業の最初の一歩を踏み出すところからしっかりサポート

場所を提供するだけでなく起業に必要なノウハウまで伝えて共有できる仕組みづくり

週休4日制は社員から起業家を輩出するための礎

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