相続対策に強い“みなさまのための”不動産鑑定士
比留間康昌
Mybestpro Interview
相続対策に強い“みなさまのための”不動産鑑定士
比留間康昌
#chapter1
団塊の世代が2025年には70代後半になるなど高齢化が加速する日本。相続の発生もますます増えていくことが予測される中、国は2015年、制度改正で相続税の対象を拡大。基礎控除額の引き下げなどにより、相続はもはや他人事ではなくなりつつあります。
特に、分割しにくい不動産は協議による決定が多いため、遺産トラブルに発展しやすい財産のひとつです。「相続と不動産は切っても切り離せません。鑑定士の立場から不動産を公平に評価し、スムーズな相続を手助けしたい」と話すのは、不動産鑑定事務所「ヒルマ」の比留間康昌さん。豊富な相続対策の経験を生かし「大相続時代」で頭を抱える人たちの力になりたいと意気込みます。
「開業後、東京都での評価実績は450件以上、他府県では140件以上です。『権利関係が入りくんだ複雑な案件だからこそ、比留間さんにお願いしたい』、そんなお声をいただくこともあります」
面倒ごとが多く舞い込むのは、評価への徹底的なこだわりが広く知られているから。図面をうのみにせず、承諾が得られれば現地でメジャーを転がし、間口や奥行きを細かくチェック。資料と現場とが一致しているか一つひとつ地道に確認します。
現地へ行き、予想と異なる状況に直面することもしばしば。高層ビルが立ち並ぶ地域なのに人がまばらで活気がない、古い建物が軒を連ねる場所なのに意外と若者が歩いている……。「いい物件か悪い物件か、実際に現地に行くとすぐわかります。いい物件は訴えてくるものがあります。机の上で悩んで答えが出なければまず現場へ。鑑定はAI(人工知能)ではなく人が判断するものだからこそ、肌感覚を大切にしています」
#chapter2
相続関連の相談を受け最も心を砕くのは、依頼目的を明確にすること。「不動産は世の中に同じものが二つとなく、相続も個別性が強いからこそ慎重になります。なぜ売却を目的とするのかなど、その背景を探り、依頼主にとって最良の選択になるよう尽力していきたい」と比留間さん。
過去に2人きょうだいの遺産分割について相談を受けたとき、依頼主である姉の目的は「波風を立てずに終わらせたい」というものでした。
「誰もが取り分を増やしたい、得をしたいと望むわけではありません。『こっちの方があなたに有利になる』と出しゃばらず、雑談も交えながら本人の希望を聞き出します。人の感情が入り交じる相続だからこそ、不動産評価の観点に立った対策は、問題解決のための武器になるはずです」
対象が山林なら、動きやすい服装に身を包み現地へ。生い茂った草をかき分け、境界石を探すため地面を見据え額の汗を拭うことも。「士業のイメージとは違って、泥臭く極めて地味な仕事ですね」。わずか数センチの違いが価格に影響するからこそ、比留間さんは現場主義を貫いています。
「鑑定評価の仕事は社会のインフラです。土地の取引価格の指標となる公示地価をベースに、相続税路線価や固定資産税評価も決まります。『社会の基礎となる大事な一翼を担っている』と自負しております」
#chapter3
比留間さんが不動産業界に足を踏み入れたのは、1991年のバブル絶頂期。日本経済が好景気にわき、不動産価格も右肩上がりでした。しかしピークを境に価格はどんどん下落し、不良債権の担保不動産を評価する仕事も手がけるように。企業の行く末を決める不動産の存在に、改めて「人と土地の関係は切っても切り離せない」と痛感しました。
旧三和銀行系不動産会社でコンサルティング業務や鑑定業務を経て2009年に独立し、生まれ育った東京都東村山市に現事務所を設立しました。地域の人たちの相談に乗るかたわら、千代田区麹町にも分室を構え国や都などの業務に対応しています。
研修も年間目標とされる15単位の倍近い数を受講し、常に情報をキャッチ。「熱心な方ではない。勉強するのは生き残っていくのに当然のこと」と謙遜しますが、積み重ねた数字から比留間さんの実直な姿勢がうかがえます。
「仕事のうえで大切な心構えは」と尋ねると、返ってきたのは「寄り道」という意外な答え。
「依頼を受けてゴールまで一直線に進むことはなかなかありません。実際には蛇行しながら目的地に向かっていきますが、その『寄り道』が次の案件の解決に役立ちます。勢いに任せず寄り道で得た気づきを蓄え、次につなげていくのが大事だと思っています」
これまで比留間さんのたどってきた道には、膨大な数の案件が記録されています。「だから相続関係で困ったら、何一つわからずとも、まずは相談をしてください。蓄えた知識と経験の棚から、より良い答えを引き出します」
(取材年月:2021年5月)
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Profile
相続対策に強い“みなさまのための”不動産鑑定士
比留間康昌プロ
不動産鑑定士
株式会社ヒルマ
不動産の評価の観点から相続対策を行うのが強み。地価公示・地価調査などの実績(2700件以上)を生かし「大相続時代」の遺産トラブルを解決します。著書や雑誌掲載、研修会の講師など実績も多数。
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