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運動が苦手な人こそ続けられる。脳科学に基づいた「頑張り不要」のストレッチ

脳科学と細胞学に基づく独自の運動理論を広める専門家

小川清貴

小川清貴 おがわきよたか
小川清貴 おがわきよたか

#chapter1

無理のない動きで体への変化を目指す「セラサイズ」

 「頑張らなくていい」「汗もかかなくていい」。一般的な運動のイメージとは異なるコンセプトで、長く通い続ける会員もいるスタジオが東京・港区南青山にあります。「国際細胞活性協会」代表の小川清貴さんが考案した「セラサイズ(脳細胞活性ストレッチ理論)」は、負担の少ない動きを中心に構成されており、全身の血流に働きかけながら、神経のつながりに着目した体の使い方を意識する運動理論です。

 「高い負荷をかければかけるほど、怪我のリスクが増えます。限界まで頑張ることが必ずしも良いとは限らず、『耐久試験』のようになってしまうこともあると感じています」

 限界まで追い込む運動は疲労が残りやすく、体への負担も大きいと小川さんは話します。セラサイズでは、筋肉を鍛えることだけでなく、脳と神経の働きにも目を向けた体の使い方を重視。普段あまり行わない動きを取り入れることで、これまで使われにくかった筋肉にも意識が向きやすくなり、体の使い方の幅が広がることを目指しています。

 低負荷であることから、年齢や体力を問わず取り組みやすく、長く継続している会員もいるといいます。中には遠方から通う方もおり、それぞれのペースで無理なく続けられている様子がうかがえます。「運動は苦手」「一般的な筋トレや運動がきつくて続かなかった」という人が訪れる点も、このスタジオならではの特徴の一つです。

#chapter2

脳科学とITの視点から生まれた、6000種を超えるオリジナルメニュー

 プロのダンサーやアスリートでも、初めての動きに戸惑うことがあると小川さんは振り返ります。

 「普段からスポーツをしている人は、反復練習によって動きが自動化されていることがあります。だからこそ早く動くことができるのですが、一方で、新しい動きに対しては意識的に取り組む必要がある場合もあります。セラサイズでは、考えながら行う動きを取り入れることで、新しい体の使い方を身につけていく」

 セラサイズでは毎週異なる動きを取り入れており、これまでに約6000種のメニューが考案されています。同じ内容を繰り返さないことで飽きにくく、事前に動きを覚える必要がない点も、継続しやすさにつながっています。

 こうした独創的なアプローチの背景には、小川さんの経歴があります。システムエンジニアとしてのキャリアを積みながらゲームクリエイターやプロデューサーとしても活動。「ゲームはストーリーを乗せると面白くなる。運動にもストーリー性を取り入れることで、楽しみながら取り組めるのではないか」という考えから、古事記やギリシャ神話をテーマにした動きを取り入れるなど、工夫を重ねてきました。

 身体への関心は20代から持ち続けており、仕事と並行して運動理論の研究を継続。細胞学のヒートショックプロテインの概念がヒントとなり、2008年に脳細胞活性ストレッチ理論としてセラサイズをまとめました。人体を一つの制御システムとして捉えるIT的な視点は、現在の理論にも生かされています。

#chapter3

「ハッピーになれる場所」を目指して広げてきた取り組み

 小川さんがセラサイズを広めようと考えた背景には、自身の健康への意識の変化がありました。IT系上場企業の管理職として激務をこなしていた50歳ごろ、脳梗塞の前兆のような症状を経験し、63歳で他界した父親のことが頭をよぎったといいます。「こんな働き方を続けていたらまずいと思った」と当時を振り返ります。

 起業するにあたり、最初は自分と同じような企業の管理職向けを想定していましたが、モニターテストを通じて考えが変わったといいます。

 「いつも笑顔で過ごしているように見えて、実は体調不良を抱えている女性が多いことに気づいたんです。生理や更年期があって体調の変化が激しい。そうした女性たちが、行くとハッピーになれる、安らげる空間をつくろうと思いました」
 
 少人数制の会員制としたのも、一人一人に向き合える環境を整えるためです。

 2011年の起業後、公共スペースでの無料体験会から始まり、口コミで参加者が増え翌2012年にスタジオをオープン。Zoomレッスンや動画配信(セラサイズTV)も開始し、現在は秋田から福岡まで全国に認定トレーナーが在籍しています。
 会員としてレッスンを受けていた人や、ピラティスやヨガ、エアロビの指導者として活躍していた人がセラサイズの理論に魅了されてトレーナーになるケースも多く、裾野は着実に広がっています。

 「筋肉を鍛えるのではなく、神経のつながりを整える。その積み重ねが、結果として健康寿命の延伸につながると考えています」

 小川さんは現在も社会人大学院で研究を続け、独自の視点から、人の体と向き合い続けています。

(取材年月:2026年3月)

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Profile

専門家プロフィール

小川清貴

脳科学と細胞学に基づく独自の運動理論を広める専門家

小川清貴プロ

運動指導者

社団法人国際細胞活性協会

元エンジニアのIT的視点で人体を研究し、脳科学と細胞学に基づく独自のメソッド「セラサイズ」を考案。毎回新しいメニューで飽きずに続けられ、脳と体のつながりに着目した運動指導を行っています。

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