「売れる体験」を提供するEC運営の専門家藤井玲

「売れる体験」を提供するEC運営の専門家

藤井玲

商品の強み、訴求点を踏まえて戦術を立て、アクセス解析を重ねて売れるサイトを育てる

　日用品や食料品、ファッション、コスメなどインターネットを通じて買い物をするのが当たり前になった昨今。「オンラインストアで販路を広げたいが、社内に人的リソースがない」「ネットショップを立ち上げたけれど、売れ行きが芳しくない」といったメーカーや小売業者は多いのではないでしょうか。

　EC（電子商取引）サイトを活用して集客につなげたいという企業の声に応えるのは、「アートトレーディング」代表の藤井玲さん。
　「『売れる体験』を提供することが私たちのミッション。培ってきたノウハウでお客さまのビジネスを後押しします」と力を込めます。

　藤井さんのもとでは、クライアントが目指す成果などを丁寧にヒアリングし、扱う商材の強みや訴求ポイントを踏まえて販売戦術を立案。クライアントとミーティングを行い、サイトのアクセス数や購入確率、売上額、客単価などを分析し、増減の理由を検証した上で、新たな施策を提案していきます。
　例えば、季節によってニーズが増えるアイテムがあればサイトに特集ページを開設。消費者に認知してもらうため、メールマガジンなどでアプローチも図ります。

　「ECサイトは作って終わりではなく、継続的に改善を施し、一歩一歩売れるサイトに育てていく必要があります。売り上げの数字を追うだけのコンサルタントではなく、事業メンバーのような立ち位置で、商品やサービスの『ファンづくり』をすることで、共に成長を目指していくことが私たちのモットーです。お客さまにとことん寄り添う伴走型でサポートします」

プラットフォームサービス「mylogi」や自社にEC運営のプロを育成するサービスも展開

　黎明期からECに携わり、サイトの構築と運用経験は15年以上という藤井さん。これまで請け負ったのは200社以上に及び、初期に手掛けたのが、バッグなどの小売店を全国で600店舗以上も展開する「サックスバーホールディングス」のサイト。運営支援は十数年にわたります。

　「まだ世の中にECのコンサルタントが少なかった頃からのお付き合いです。当時からECモールに出店されていましたが、私たちのアドバイスでネット販売を拡大させ、あわせて実店舗も増やしていきました。現在は、物流倉庫の管理システムに関しても当方にお任せいただいております」

　ECサイトと並ぶ事業の柱が、「フルフィルメント」と呼ばれるサービス。クライアントに代わって顧客からの問い合わせ対応や受注処理、商品の検品、梱包、発送などを行います。
　さらに、これら一連の業務を一元管理できるプラットフォーム「mylogi（マイロジ）」を2017年にリリースしました。
　「私がEC販売をしていたときに必要性を感じたことから開発しました。リアルタイムで在庫状況が分かることから、確認作業などの手間が減ったと好評をいただいております」

　藤井さんの知見を生かす新たな事業として2022年にローンチした企業のEC人材を育成する取り組みをスタート。ECサイトの売れる戦略の立て方、アクセス解析、SNSでの情報発信や広告キャンペーン施策、外注コントロールまで、EC運営に必要なスキルを伝授します。
　「ECはマーケティングやWeb制作など、幅広い知識を要します。さらに育成メニューをブラッシュアップし、立派なEC店長を育てていきたいですね」

失敗を糧にしてECのコンサルティング事業を拡大し、将来は地域活性化にも貢献したい

　アートトレーディングは1996年に藤井さんの父親が創設。当時は輸入雑貨や家具の小売店を営んでおり、学生時代に父の仕事を手伝ったことから物販の魅力を知ったとか。

　「ショッピング施設での催事だったのですが、応対したお客さまが納得して商品を購入し、喜ぶ姿を目の当たりにして、やりがいを感じましたね。大学卒業後は父の会社に入社し、仕入れなどを担当しました」

　ECとの出会いは、とある失敗からでした。
　「イタリア製の家具を取り寄せ、膨大な在庫を抱えてしまったのです。懇意にしてくださった輸入食器会社の役員から、ECモール大手の楽天市場の存在を教えてもらい、すぐに出店しました」
　その後すぐに月商300万円を達成するなど頭角を現し、他のECサイトでも実績を積んだことが注目され、講師を務めたりもしました。

　「しかし成功は長く続きませんでした。ECサイトの運営や広告運用、マーケティングのノウハウが全然足りなかったためです。広告の知見がないためにお金をつぎ込んでも成果が出ないこともありました。そんな時に、今の私のように支援をしてくれる人がいれば、失敗を重ねることもなかった。そんな思いから、現在のECコンサルティング事業をはじめました」

　ECの普及により経営は軌道に乗り、従業員も30人にまで増加。藤井さんは近い将来、ECで各地の商品を広く流通させることで地域活性化に貢献したいと言います。
　「ECと地方創生は相性がいいんです。少子高齢化が進む地方に拠点を設け、その土地の知らせざる逸品を都市部の消費者に届けることで、お役に立てればと考えています」

（取材年月：2023年4月）

ECサイトの開設や運営の伴走支援を通じて「売れる体験」を提供

商品の強み、訴求点を踏まえて戦術を立て、アクセス解析を重ねて売れるサイトを育てる

プラットフォームサービス「mylogi」や自社にEC運営のプロを育成するサービスも展開

失敗を糧にしてECのコンサルティング事業を拡大し、将来は地域活性化にも貢献したい

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