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帰国子女が英語力と“論理的に考える力”を磨き、世界で活躍する基礎を築くための英語教室

世界で通用する英語力とコミュニケーション力を育む英語教育の実施

千葉紘一

千葉紘一 ちばこういち
千葉紘一 ちばこういち

#chapter1

ディスカッションやディベート中心の授業で思考力や発信力を習得

 「ABCD学院は『Academy of Business Communication & Debate』の頭文字を取ったもので、Dは他の人との差別化を図る『Difference』も意図しています。多様な背景や考えを持つ人々と対等にコミュニケーションする力を伸ばし、たとえ大統領であっても臆さずに『No』と言える、そんな人材を育成するのが目標です」

 そう話すのは、東京都渋谷区代々木で、8~17歳の帰国子女に特化した英語教室「ABCD学院」を開く学院長の千葉紘一さん。アメリカで国際宇宙ステーション・プロジェクトに参加するなど、海外での活動実績をもとに1999年に同学院を創立。一貫して“生徒が自ら考える教育”を実践してきました。

 「カリキュラムは、身につけたい言語の環境に浸ることで習得する『イマージョン教育』をベースとしています。実際にアメリカで使用されている教育方法と教材を採用し、語学だけでなく理科や歴史などの専門科目も、経験豊富な外国人講師が英語で教えます」

 また小学校低学年から、学習内容や興味のあることについて発表するプレゼンテーションを年6回実施(各学期毎に2回)。かっ達に討論し、自身の見解を述べるディスカッションやディベートに多くの時間を割き、生徒の思考力や発信力を養います。

 「全学年を通じて2~4人の少人数制のセミプライベートレッスンで、習熟度の違いにもきめ細やかに対応しています。『留学コース』では、アメリカの一流大学進学を目指す高校生をサポート。入学に必要なTOEFLテストを行うほか、学校の試験や入試対策も一人一人に寄り添って指導します」

#chapter2

多様な人々と協働するために有効な“クリティカルシンキング”を子どもたちに

 「ビジネスでの交渉や欧米の大学の講義においては、英語が話せるだけでは不十分。納得してもらうには、広い知識と相手への理解、説得力のある発言が不可欠で、筋道を立てて考え、的確に伝える力を育むことが大切です。残念ながら日本ではディスカッションなどを学ぶ機会が限られているため、発信が苦手な人が多いのです。かく言う私もそうでした」

 かつて大手の重工業会社で熱システムのエンジニアを務めた千葉さん。学院創立のきっかけは、在米時代にあると言います。

 「NASA(アメリカ航空宇宙局)や技術者と仕事を進める際や、学会発表後に質問に答える際には戸惑った場面もありました。日本では調和を重んじ、相手の気持ちをくんで婉曲的に表現したりしますが、欧米では明確かつ直接的な表現で、自分の意見をはっきり伝えることが求められるからです」

 異なる人種や宗教の人々が共存する海外では、“人は皆違う”のが前提。千葉さんは、異論も含めて多面的に捉え、論理的に分析した上で結論を導き出す“クリティカルシンキング”が重要だと気づきます。
 「目標達成のために一つの視点にこだわる“虫の目”から、全体を見渡して最適なルートを検討する“鳥の目”へ。クリティカルシンキングの手法は広く応用できると感じ、35年間勤めた会社を早期退職し、起業の道を選びました」

 学院を立ち上げてから20年余り。アメリカで弁護士として働く女性など、卒業生は国内外のさまざまな分野で活躍しています。

千葉紘一 ちばこういち

#chapter3

ディスカッションの会「YYクラブ」を定期開催し、文科省へ提言も

 千葉さんは開校以来、「YYクラブ」と名づけたディスカッションの会を定期的に開催。
 「私と設立メンバーの出身地“代々木”“ヨークシャー”の頭文字を取ると同時に、“ワイワイ賑やかに話し合う”意味です。英語教員なども加わり、英語を学ぶ意義や身近な環境問題など、子どもにも理解しやすい時事をテーマに取り上げます。新聞記事に英訳をつけ、一読してから2時間ほど話し合っています」

 2023年11月の第168回では、同年7月に文部科学省が公表した全国の小6と中3を対象とする全国学力調査を議題にあげました。
 4年ぶり2回目となった中3の英語テストでは、2021年から実施されている新学習指導要領にもとづいた「聞く・読む・書く・話す」の4技能のうち、「話す」の正答率が12.4%にとどまり、さらに6割が0点だったことが分かりました。

 「地球の温暖化や異常気象など一国では対応できない問題が増える中、世界と対話するには英語力を高めることが喫緊の課題。小学生から大学生までの対応策をみんなで議論し、ALT(外国語指導助手)の補強と、日本人講師の英語力強化が必要であるという結論にたどり着きました。結果は『文科省への英語教育に関する提言』という形でまとめています」

 帰国子女だけでなく、日本全体の英語力を向上させたいと願う千葉さん。「子どもたちの充実した人生と、日本の未来のために、主体性を持ち、自分の意思を言葉できちんと主張できる人材を国際社会に送り出していきたいですね」と英語教育への情熱を語ります。

(取材年月:2023年12月)

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専門家プロフィール

千葉紘一

世界で通用する英語力とコミュニケーション力を育む英語教育の実施

千葉紘一プロ

英語教育および英語での図書出版

ABCD学院

8~17歳の帰国子女に特化した英語教室。ディベートやディスカッションを通じ、英語力の維持・向上はもとより“考える力”“発信する力”の向上をサポート。外国人講師による少人数授業で一人一人に細やかに対応。

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