依頼主の急な要望にも柔軟に対応する土木・解体工事のプロ田中裕人

依頼主の急な要望にも柔軟に対応する土木・解体工事のプロ

田中裕人

宅地造成や道路、河川工事、解体工事など幅広い業務に対応

　徳島県阿南市に本拠を構える「シンエイコーポレーション」。県内で、宅地造成や道路・河川工事、解体工事など土木工事業を展開しています。

　代表取締役の田中裕人さんは、「私どもでは、ご依頼を受けると基本的に断らない前提で話を聞きます。困っている方の力になりたいですから。それに、難しい内容ほどやりがいがあります」と力強く語ります。

　「当社では最小限の人数で、最高の仕事をすることを心掛けています。一般的に、業者は複数の案件が同時進行していると、班ごとに分業体制を敷くでしょう。人手が足りないのも問題ですが、多くの作業員を動員することも、言ってしまえば無駄になってしまいます」

　人件費をはじめとする支出が積み重なれば、会社にとっては大きな損失に。補填するために受注費を上げるとなれば、顧客の負担にもなります。田中さんは、業務を遂行するためにどれだけの人員と日数が必要かを丁寧に割り出すようにしています。

　「ただし、例えば当社の担当先のいずれかで工程に遅れが生じている場合、他の人たちは『われ関せず』ではなく、全員で助け合います。社内のサポート体制が整っているので、お客さまの急な要望にも柔軟に対応できるんですよ。このフットワークの軽さが当社の強みですね」

　チームワークを醸成してきた田中さんにとって、うれしいことがありました。「何人かの同業者から、当社の従業員の対応がよいとほめられたのです。従業員たちに愛想があるとのことで、私は全く知りませんでした」とほがらかに笑います。

21歳で独立して以来、昼夜を問わず懸命に働き事業を拡充

　田中さんは1968年に阿南市で生まれました。高校卒業後、土木工事のアルバイトを経て21歳の時に独立し、シンエイコーポレーションを設立しました。

　「今思えば、どうやって会社を営んでいくかなど、まるで考えていませんでした。その代わり、朝から晩までとにかく一生懸命働きましたよ。大変でしたが、夢中になれましたしものすごく楽しかったですね」

　30年以上にわたって同社のかじ取りをしてきた田中さん。これまでの道のりを振り返り、事業を成長させてきた秘訣について分析します。
　「自分で言うのも変なのですが、知り合う人に気に入っていただくことが多い気がします。私は裏表のない性格だと思っておりまして、人とは常に本音でぶつかります。そういうまっすぐなところが、周囲の方の信用につながっているのかもしれません。ご縁を大事にしてくださる方から、当社にご用命いただくことが多々ありました。ありがたい限りです」

　誇らしげでありながらも、少し気恥ずかしそうに話す田中さん。創業から20年近くは自身も現場に出ていたそうですが、頼れる仲間も増えました。今では従業員に一任し、経営者としての職務に集中しているそうです。
　「私には、従業員とその家族を守っていく責任があります。同じ目線で物事を捉え、課題を見いだすだけでなく、組織を率いる立場として全体を見渡す目も求められます。健全な会社に育てていくためにも、まずは私自身がけがや病気をしないよう注意していきたいですね」

自社の取り組みを知ってもらうため、作業の様子をYouTubeで配信

　田中さんの長いキャリアの中で、忘れられない光景があります。それは、東日本大震災の被災地です。
　「地震から半年が過ぎた頃、宮城県で解体工事の依頼がありました。津波によって流された家財があちこちに散乱していて、震災の爪痕がはっきり残っていたのを今でも鮮明に覚えています」

　田中さんはこの経験から、もうけることも重要ではあるものの、それ以上に一つ一つの現場に敬意を持って臨むことを強く意識するようになったと言います。

　またコロナ禍以降は、資材の値上がりや調達ができないといった問題で、スケジュールが延期やキャンセルになることも頻繁にあるそうです。
　「私たちを信頼し、任せていただいたからには、どんな局面でも焦らず、しっかり務めを果たすだけです。これからも従業員を大切にしながら、堅実に会社を運営していきます」

　新たな取り組みとして、2021年1月からは、依頼主の許可を得た上で作業の様子を撮影。YouTubeチャンネルで配信しています。
　「集客に生かしたいと考えているんですよ。ものすごい効果があるなどとは思っていませんが、何もしなければお客さまに私たちのことを知ってもらえませんからね。自分たちにできることで、情報発信をしていくつもりです」

　動画では、地面をきれいに整地したり、コンクリートを敷設したりする姿を見ることができます。「今後は、他のSNSツールの活用にも力を入れていく予定です。たくさんの方々に興味を持っていただければうれしいですね」

（取材年月：2022年5月）

一つ一つの現場に敬意を払って臨み、土木工事業で30年余りの実績

宅地造成や道路、河川工事、解体工事など幅広い業務に対応

21歳で独立して以来、昼夜を問わず懸命に働き事業を拡充

自社の取り組みを知ってもらうため、作業の様子をYouTubeで配信

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