暮らしの中の仏壇仏具、仏像、位牌を提案するプロ
西村賢
Mybestpro Interview
暮らしの中の仏壇仏具、仏像、位牌を提案するプロ
西村賢
#chapter1
静岡市街地から北西、藁科川沿いの羽鳥地区にある「陽光堂 西村商店」。寺院も数多くあるこの地で長年、木彫を中心とした仏像や仏壇の生産、卸、販売を手がけています。
「企画からデザイン、製作まで、個人のお客様からのご注文やご相談も承りますよ」そう話すのは、二代目を務める西村賢さん。仏壇、仏像はもちろん、仏事には欠かせない仏具、位牌まで、仏壇まわりのあらゆる製品を取り扱っています。
「現社長(初代)の父親が木製の姫鏡台などの小物家具の職人だったんです。現社長は、木彫などの貿易からスタートし、その後独立して現在に至ります。私も幼少期より木製品の製造になじんでいたので、今も木製にこだわっています」と西村さん。社内や海外の自社工場で、あるいは県内外の熟練した職人さんたちとともに、オリジナル製品を作り上げるほか、修理や仏壇のクリーニングなども受け付けています。ときには西村さん自ら修理を手がけることも。
最近では、インテリアやオブジェとして、仏像を作ってほしいという依頼も少なくないといいます。「有名な仏様から、本を調べないと分からないような仏様まで、幅広くご注文をいただくこともあります。自社で企画からすべてできますから、細かいオーダーにもお応えできますよ」
#chapter2
近年、時代の移り変わりとともに仏事が簡素化する地域が増え、それとともに仏壇や仏具の仕様も大きく変わってきているのだそう。西村さんは「静岡でも、この羽鳥あたりはまだ昔ながらの仏壇が主流ですが、市街地ではかなりシンプルになってきています。東京などの都市部に行けば、もっと変化が顕著に表れていますね」
昔ながらの仏壇は、きらびやかな金箔や漆塗りのものが印象的ですが、それらは仏教になぞらえた形や装飾によって作り上げられているもの。お盆やお彼岸にその前で手を合わせることで、人々の先祖を思い敬う気持ちも一緒に代々伝えられてきていました。「飾りや扉、一つひとつにもちゃんと意味があるんです」と西村さんは話します。
核家族化や住宅事情の変化などから「家具調」と呼ばれるデザインのものが登場。ここ10~15年で急速に広まっています。陽光堂でも時代のニーズに合わせて、機能やデザインを取り入れています。洋風のインテリアにもしっくり溶け込むもの、マンションなどでも場所を取らないものなどを企画し、時には1年以上時間をかけて仕上げることもあります。それに合わせて、位牌や仏具なども現代風の仏壇に合うものを考えます。
「ただ、まったく伝統を無視したもの、奇をてらったものではなく、基本はおさえつつ、今の暮らしに馴染むもの、という点を心がけています。例えば、仏壇は何代か前から使っていて、まだまだきれいだけど仏具だけ新調したい、といった場合。古い仏壇に置いてもらっても違和感のない仏具なら、そこでまた大切に使っていただける。旧来のものをすべてなくしてしまうのではなく、それらを大切にしつつ、新しいものを提案していく、そういう商品を目指しています」
#chapter3
仏壇や仏具、仏像の伝統を伝え守ると同時に新しい時代を切り拓こうとしている陽光堂。西村さんが力を入れようとしているもう一つのことが、仏事に関する情報発信です。お彼岸にはお墓参りに出向き、仏壇にお供え物をし…といった、人々の間に長く続いてきた風習に少しでも目を向けるきっかけになってくれれば、と西村さんは話します。
「SNSなどで、今日はお彼岸の入りです、お墓参りに行ってきました、と書き込む。そんな簡単なことですが、それを読んでくださった方から、わが家も行ってきました、というような反応がある。そろそろそんな時季なのか、と思って下さる、それだけでも発信する意味があると思っています」。ともすれば、仏壇の簡素化とともに、ささやかで温かい風習まで消えてしまわないよう、少しずつでも伝えていければ、と西村さんは話します。
静岡市内でも地域によって、また宗派などでも習慣や道具に違いがあるのが仏事の複雑さ。いざ供養や法要を…といったとき、ちょっとした礼儀や様式について分からない、といったケースも少なくありません。仏壇や仏像のことだけでなく、法事のことなどの問い合わせにも、分かる範囲で応えていきたい、と西村さん。
「一番いいのは、それぞれの菩提寺でお聞きになることですが、私で分かることならお答えしています。ぜひお気軽にお問い合わせください」
(取材年月:2013年10月)
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Profile
暮らしの中の仏壇仏具、仏像、位牌を提案するプロ
西村賢プロ
陽光堂 (株)西村商店
自社、国内協力工場と海外拠点を持ち、企画、デザイン、生産、卸、販売に到るまで一貫管理。木彫や仏壇、仏具に関するあらゆるニーズに応えられる技術と、伝統を守りつつ、新しさも取り入れる柔軟さ、開発力に強み。
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